小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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■一歩も動かず旅人の邪魔をする巨大な牛
カンは巨大な牛の姿をした、中国生まれのモンスターです。目が青く、4本脚のすべてが地面にめり込んでいるため、少しも移動できないという特徴があります。もしかしたら、植物のように大地から生え出してきた巨大牛なのかもしれません。それは大いにあり得ることです。というのは、カンは別な場所に移動できないはずなのに、ある日突然に出現し、そこに住み着くようになるからです。植物と同じで何かを食べるということもありません。しかし、カンが迷惑な怪物であることは確かです。カンは山岳地帯の谷にある街道などに発生し、人間が旅するのを邪魔するからです。カンは歩くことができませんから、人間を口でくわえて放り投げたり、尾を振って追い払ったりするのです。谷間の道では迂回するわけにはいかないので、こうなると大変なのです。カンは牢獄に閉じ込められて死んだ数多くの囚人たちの霊が寄り集まったことから生まれてくるといわれることもあります。つまり、憂いを持った霊の塊なのです。そのせいかどうか、カンの頭から大量の酒をかけるとまるで蒸発するように消えてしまいます。人間と同じで、酒を飲むと憂いが晴れてしまうからです。 |
(モンスター解体新書のイラストはすべて福地貴子さんが描いています。) |
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