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フランボワイヤン・ワールド
中国神話伝説ミニ事典/コラム編(4)
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イオの末裔
〔Kindle版〕

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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
中国神話の世界について
●中国の宇宙創成神話


 中国の古代神話には、宇宙創成についてのまとまった物語は残されていないが、まったくないともいえない。
 よく知られているのは、とくに道教系の思想家が語ったもので、陰陽というきわめて哲学的な言葉で、宇宙の創成について語ったものである。たとえば、前漢代初期に編纂された『淮南子』には次のような物語がある。
 大昔、天地には形がなく、世界は渾沌としていた。この渾沌から虚空が、虚空から宇宙が、宇宙から気が生じた。やがて気は二つに分かれ、明るく澄んだ気は上昇して天となり、重く濁った気は固まって地となった。そして、天(陽)と地(陰)の混ざりあいからこの世の万物が生まれてきた。
 ただ、この物語はあまりに哲学的過ぎるので、神話学者の多くも、これを神話とは認めていないようである。
 紀元後3世紀の三国時代に呉で書かれた『三五歴記』という書の中には、盤古という巨人が宇宙の創成に深く関わっていたという物語が取り上げられている。この神話はもともと中国南部のヤオ族やミャオ族の間に伝わっていたもので、中国古来の神話とはいえないが、『三五歴記』以降は中国の宇宙創成神話として様々な書で取り上げられ、また改変されていった。
 それによると、宇宙がまだ渾沌としており、天地も分かれていなかったとき、その状態はまるで大きな鶏卵に似ていた。この鶏卵の中で盤古は生まれ、眠り続けて、1万8千年かけて成長した。それから天地が分かれ始め、軽くて澄んだ部分は上昇して天になり、重くて濁った部分は降下して地になった。天は一日に一丈高くなり、地は一日に一丈厚くなった。そして、盤古は一日に一丈ずつ背が高くなった。こうして1万8千年たつと盤古はとてつもなく巨大になった。
 この盤古が死んだとき、その体からいろいろなものが生まれてきた。盤古の左目は太陽に、右目は月になった。頭は東岳泰山、腹は中岳崇高山、左腕は南岳衡山、右腕は北岳恒山、足は西岳華山になった。盤古が口から吐き出した息は風と雲に、声は雷鳴になった。また、血液は河川に、髪や体毛は草木になったという。

●天円地方の宇宙観と『山海経』


 もうひとつ、神話とはいえないが、中国古代の架空の地理観に関わりあるものとして、漢代には存在していた宇宙論である蓋天説(がいてんせつ)にも触れておきたい。これは宇宙を天蓋のついた戦車に見立てたもので、ここから天は丸く、地は方形(正方形)という「天円地方」の考え方が出てきた。長安や洛陽といった中国の歴史的大都市が基本的に正方形をしているのもここからきているので、宇宙論ではあるが、現実の世界でも大きな影響力を持っていたことがわかる。
 さて、この考え方に基づいて古代中国では中国帝国も正方形だと考えられ、その四方は「四海」に囲まれているとされた。ここで、「四海」といっているのは実際の海のことではなく、異民族の土地のことである。
 中国古代の地理書『山海経』も基本的に同じ構造になっている。つまり、『山海経』には中国帝国とその外にある異民族の土地の二種類のことが書かれているのである。
 日本語に翻訳されている平凡社版のものを見てもわかるように、現在の『山海経』は基本的に、南山経など五編からなる五蔵山経、海外南経など四編からなる海外経、海内南経など四編からなる海内経、大荒東経など四編からなる大荒経、一編のみの海内経から構成されている。このタイトルだけを見ると、いったいどの辺の土地なのかさっぱりわからないが、これを中国帝国とその外にある異民族の土地の二種類に分けてみれば、少しは理解しやすいかもしれない。
 すなわち、中国帝国内=五蔵山経=海内経であり、異民族の地=海外経=大荒経である。
 同じ一冊の本の中で、同じ土地のことが別な呼び方をされ、繰り返し記述されているというのは奇妙かもしれないが、現在の『山海経』はもとは一冊ではなかったのだから仕方がない。『中国の神話伝説』の著者である袁珂氏は現在の『山海経』はもとは三書であり、〈五蔵山経+四編の海外経〉、〈四編の海内経〉、〈大荒経四編+一編の海内経〉という組み合わせだったろうと見ている。また、『山海経』世界の中心、つまり五蔵山経の中心は洛陽というのが一般的な見方である。
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イオの末裔
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