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フランボワイヤン・ワールド
中国神話伝説ミニ事典/図書編
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
黄帝内経
コウテイダイケイ
医学書
 中国医学の最古の古典。18巻。『漢書』の「芸文志」(78年)に題名が記載されていることから、前漢時代には成立していたとみられる。
 題名にある黄帝は中国神話の天帝であり、医学の神で、『神農本草経』の神農がそうであるように一種の権威づけとして用いられたのである。
 『黄帝内経』の原本は早くに散逸してしまったが、その後、原本を基にした注解書や、それをさらに改訂注解した書などが登場し、原本の内容が現在に伝わることになった。
 これらの注解書の類には5世紀末の全元起による『全元起注黄帝素問』、隋代の楊上善による『黄帝内経大素』、唐代の王冰による『素問』などがある。

 こうして現在に伝わった『黄帝内経』は『黄帝内経素問(そもん)』(『素問』)、『黄帝内経霊枢(れいすう)』(『霊枢』)という2書からなる。
 これらの書はともに一人の人間によって書かれたものではなく、いわば論文集のようなものであり、かつそのそれぞれにも大勢の手が加わっている。それで、全体は首尾一貫したものではなく、異なった立場の主張も多く含まれている。また、『素問』は生理・衛生・病理など養生と治病の基礎的原理に重点があり、『霊枢』は古来『針経』とも称された書で、針の運用理論や技術など臨床医学に重点がある。記述形式は問者の質問に答者が答えるというのが基本になっている。問者―答者の組み合わせは、雷公―黄帝、黄帝―少師、黄帝―伯高、黄帝―少兪、黄帝―岐伯の5つである。
 しかし、何より重要なのは『黄帝内経』の全編に一貫して流れる理論である。これは陰陽五行説に支えられた気の理論である。気の理論は宇宙の森羅万象に当てはまるが、人間の肉体にあっては経絡の理論として現れる。人間の体には縦に12本の経脈が走り、そこから枝分かれした多数の絡脈によって経脈が横に結ばれている。そして、経脈の上にある365の経穴(つぼ)を刺激することで気のバランスを調節し、健康を増進したり、病気を治したりできるというのである。
 もちろん、『黄帝内経』以前にも中国に医学はあった。だがそれは呪術や、たんに経験によって薬物を用いたりするもので、現在のわれわれが中国医学と呼ぶものとは違っていた。つまり、『黄帝内経』が登場したことで中国医学は始まり、『黄帝内経』の内容がそれ以降の中国医学の根幹となったのである。

 『黄帝内経』はその当時の新潮流だった針灸療法、なかでもとくに針療法の専門家たちによって作られたとみられている。その意味では新技術を持って登場した針療法の医師たちによって、はじめて中国医学の理論化が行われたといっていいだろう。
 ところで、中国医学は未病の医学としばしばいわれるが、これは『黄帝内経』にある「聖人(良い医者)は既病を治さずして、未病を治す」という言葉に由来するのである。
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