ようこそ。ここは草野巧のホームページです。
フランボワイヤン・ワールド
中国神話伝説ミニ事典/図書編
フランボワイヤン・ワールド・トップ中国神話伝説ミニ事典目次図書編目次
 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
紅楼夢
コウロウム
小説
 中国、清代初期の長編小説。『金瓶梅(きんぺいばい)』と並んで中国の風俗小説の最高峰とされる。全120回。曹雪芹(そうせっきん)の作。もともと80回本だったが、その後30年ほどの間に何人かの手で続作40回が書かれ、120回本になった。発刊直後から人気を博し、その熱狂的ファンは「紅迷」(紅楼夢バカ)、その研究は「紅学」(紅楼夢学)と呼ばれた。『続紅楼夢』『紅楼復夢』などの続編や模倣小説も続出した。

 大貴族の御曹司・賈宝玉(かほうぎょく)と「金陵十二釵(きんりょうじゅうにさ)」と呼ばれる十二人の美女たちの物語で、とくに、賈宝玉と「金陵十二釵」の一人・林黛玉(りんたいぎょく)の恋愛模様が物語の軸となる。ただし、豪奢な生活を送っていた賈家が急激に没落する過程が背景となっており、物語は悲劇性を帯びている。

 主要なストーリーとは関係ないが、賈宝玉も林黛玉も天上人の生まれ変わりとされている。

 まず第一回で太古の女神・女媧(じょか)が3万6501個の石を錬って欠けていた天を補修した話がある。このとき一個だけ使われなかった石があり、これが宝石となって地上に下り、そこで見聞した話を書き記したものがこの物語だと語られる。さらに、こんな話が続く。極楽世界に絳珠草(こうじゅそう)があり神瑛侍者(しんえいじしゃ)という者が毎日、甘露(かんろ)をかけて大切に育てていた。あるとき神瑛侍者が凡心を起こし地上に男性として生まれ変わった。そこで、絳珠草は甘露をかけてもらった恩に報いるために女性として地上に生まれ変わった。この二人が賈宝玉と林黛玉なのである。また、ほかの「金陵十二釵」の美女たちも天上界の仙女の生まれ変わりとされている。

 さて、これら天上界の人々が生まれ変わって集まった場所が賈家であり、寧国府と栄国府の二つの大邸宅が物語の舞台となる。
 そこでの生活は非常に豪奢で、毎日のように宴会が繰り広げられる。主人公・賈宝玉は美少年で女好きである。ただし、肉欲的というのではなく、女性の美を愛する男で、「女は水でできた身体、男は泥でできた身体」だとか、「愛する女性たちの前で死に、彼女たちの流す涙の河に自分の死骸を漂わせ、鳥もたどり着けない場所に流れていき、二度と人間には生まれてこない」などといったりする。しかも、彼は誰からも愛されており、彼を咎める者はほとんどいないので、美しい姉妹、従姉妹、腰元たちと毎日遊んで暮している。彼は立身出世などには興味がなく、むしろそれを軽蔑しているのである。
 あるとき、賈家の姉娘・元春(げんしゅん)が宮廷で皇帝の妃に取り立てられ、それを記念して大観園が造営される。このころがまさに賈家の絶頂期といってよく、賈宝玉も美女たちとそこに移り住み、自由奔放に生活する。とはいえ、絶頂期の後は下り坂になるしかないので、賈家にも徐々に衰運の兆しが見え始め、それはいよいよ激しくなっていく。貴妃の元春も死去する。
 そんな中、賈宝玉の結婚問題が起こる。彼は幼い時から従姉妹の林黛玉と相思相愛で、当然彼女と結婚したいと思っている。しかし、そんな彼の思いとは裏腹に、祖母や母親など一族の者たちはやはり従姉妹の薛宝釵(せつほうさ)との結婚話を進めてしまう。黛玉は病弱でやせ形のほっそりした美人、宝釵は肉づきがいいというだけでなく、この二人は対照的な女性である。黛玉は聡明で口ぶりも鋭く、賈宝玉とも口げんかばかりしているが、宝釵は世間の常識を知りぬいた良妻賢母型である。しかも、賈宝玉は最後まで結婚相手は黛玉だと思っていたのが、結婚式に出てみると宝釵だったのである。このため、宝玉はショックのあまり病気が再発し、黛玉も絶望して死んでしまう。
 悪いことは重なるもので、それから間もなく皇帝のとがめを受けて賈家は全く零落してしまう。その後、宝玉は心を入れ替えて学問にはげみ翌年には科挙の試験に合格する。しかし、すでに生きる望みは失っており、最後は出家遁世してしまうのである。
Copyright(C) 草野巧 All Right Reserved