小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
|
|
《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆（鬼塚サヤ）の孫として生まれた鬼塚宏樹（主人公＝私）は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のＫ市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
|
| 三俠五義 |
| サンキョウゴギ |
| 小説 |
中国、清代の光緒（こうしょ）５年（１８７９）に発刊された俠義小説。１２０回。石玉崑（せきぎょくこん）編。現在の武侠小説の祖先にあたるものである。
裁判小説である『龍図公案（りゅうとこうあん）』の影響下に生まれた作品で、宋代に実在した名裁判官・包拯（ほうじょう）が一応の主人公となっている。ただ、包拯が活躍するのは物語の始めの方だけで、その後は三俠五義と呼ばれる侠客（きょうかく）たちの活躍が中心となる。その活躍ぶりは、魔法に類した超人的パワーを発揮するような荒唐無稽（こうとうむけい）なものではなく、全く武芸と知恵による戦いという特徴がある。
三俠五義というタイトルはもちろん登場する侠客たちを指している。三俠は南俠の展昭（てんしょう）、北俠の欧陽春（おうようしゅん）、双俠の丁兆蘭（ていちょうらん）・丁兆蕙（ていちょうけい）兄弟、五義は鑽天鼠（さんてんそ）の盧方（ろほう）、徹地鼠（てっちそ）の韓彰（かんしょう）、穿山鼠（せんざんそ）の徐慶（じょけい）、翻江鼠（ほんこうそ）の蔣平（しょうへい）、錦毛鼠（きんもうそ）の白玉堂（はくぎょくどう）である。
物語は北宋皇帝・仁宗（じんそう）の出生秘話から始まる。三代皇帝・真宗（しんそう）は李妃（りひ）と劉妃（りゅうひ）という二人の妃が同時に懐妊したのを喜び、先に太子を生んだものを正宮にしようと約束した。
ここで悪辣な劉妃は策謀をめぐらした。李妃が太子を生むと産婆を使って皮をはいだ猫と取り換えさせ、太子を殺そうとした。侍女の機転で太子は叔父・八大王に預けられ、その子供として育てられたが、李妃は化け物を生んだというので冷宮に幽閉された。
こうして、劉妃が皇后となり、彼女の生んだ子が太子となったが、その子は六歳で夭折し、結局は八大王に育てられた李妃の子が太子となった。その太子が李妃に似ているので疑心暗鬼になった劉妃は今度は幽閉中の李妃を殺そうと図ったが、忠実な宦官たちの活躍で李妃は落ち延びた。
ここで物語は包拯の話題に移る。包拯は江南の廬州府合肥県（ろしゅうふごうひけん）の長者の家に生まれた。母親がすでに四十を過ぎていたため、父親は子の誕生を喜べず、さらに悪い夢を見たためになおさらその子を嫌った。遺産が減ると考えた次男夫婦も同様だった。
このため、包拯は生まれるとすぐに山に捨てられたが、正直者の長男夫婦がひそかに助け、自分たちの子として育てた。こうして生き延びた包拯だが、学問を始めるやその才能を発揮した。上級の役人になるための試験を次々と突破し、知事になるや難事件を次々と解決し、人々の人気を得た。
このころには、真宗皇帝は死に、李妃の子が第四代皇帝・仁宗となっていた。あるとき、草州橋を探訪した包拯のもとに婦人の訴人が現れた。話を聞いて包拯はびっくりした。その人こそ仁宗皇帝の母・李妃だった。包拯は都へ帰るや事の真相を仁宗に報告した。仁宗は驚き、劉妃と共謀した宦官・郭槐（かくかい）を捕えさせた。郭槐は悪玉だけあってなかなか白状しなかったが、包拯の活躍で最後にはすべてが露見した。そして、劉妃も急死した。こうして李妃は皇帝の母として宮廷に戻ることができ、包拯も宰相へと出世したのである。
さて、ここから三俠五義の侠客たちが本格的に登場し始める。南俠の展昭は以前に数度、包拯の危難を救ったことがあり、その包拯が宰相になったというのでお祝いに駆けつけた。このとき仁宗皇帝の前で見事な武芸を披露し、官職を賜った。その身のこなしが人間技でなく、「朕の猫そっくである」というので、これからは「御猫（ぎょびょう）」と呼ばれるようになった。また、展昭との関係で双俠の丁兆蘭・丁兆蕙兄弟、その知り合いだった北俠の欧陽春も包拯のもとに参じた。
ところで、丁兆蘭・丁兆蕙兄弟は漁師の親分だったが、その隣の漁場の親分に五鼠と呼ばれる五人組の義兄弟がいた。その中でも最も若く気位の高い錦毛鼠の白玉堂は自分の二つ名が鼠なのに展昭が猫というのが気に入らず、どっちが上か確かめてやろうと都に乗り込んできた。その白玉堂を心配して義兄弟たちもやってきて、ここに五鼠対展昭の腕比べが始まったが、結局は五人とも展昭や包拯の人物に惚れこんで帰順することになった。
こうして重要な侠客たちが包拯のもとに結集したあたりから、物語に巨悪たちが登場し始める。まずは杭州覇王荘（こうしゅうはおうそう）の馬強（ばきょう）で、政府高官である叔父の権威を笠に着て、好き勝手の暴虐を働く男である。次に皇帝の伯父で謀反（むほん）を企む襄陽王（じょうようおう）。そして、これら巨悪一味との戦いが物語後半に展開し、三俠五義の侠客たちが痛快な活躍を見せるのである。 |
|
|