小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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儒林外史 |
ジュリンガイシ |
小説 |
中国清代の長編風刺小説。全55回。作者は呉敬梓(ごけいし)(1701~1754)。魯迅(ろじん)によってすぐれた風刺小説として非常に高く評価されたもので、『紅楼夢(こうろうむ)』と並ぶ清代の二大小説とされている。
旧中国では、天子を頂点とした巨大官僚機構が唯一絶対の支配体制であり、支配階級になるには官吏になるしかなかった。そして、官吏になるには科挙という高級官吏登用試験に合格する必要があった。科挙には全部で十回ほどの試験があり、合格した回数によって「生員(せいいん)(秀才)」「挙人(きょじん)」と進み、すべてに合格すると「進士(しんし)」となって官吏になることができた。官吏候補生という程度の生員になっただけでも庶民からみれば特権階級だが、清代では進士になれるのは生員3000人に一人という難関で、このために激烈な競争が繰り広げられた。
『儒林外史』が風刺するのはまさにこの科挙という制度であり、これによって生まれた官吏をありがたがって疑わない社会である。
長編小説だが、一貫した主人公がいるわけではない。数多くの登場人物がおり、その人物が一場の主人公となって次から次と様々なエピソードがつながっていくという構成になっている。
たとえば、范進(はんしん)は54歳でやっと生員に合格する。試験官の周進というのが60歳過ぎて賄賂を使ってやっと生員となり、その後、どういうわけか進士にまでなってしまったような人物で、まったく文章を見る目がなかったからだ。つまり、范進は本来なら不合格であるべきなのに合格したのだ。それが続けて挙人にも合格してしまい、近所は大騒ぎとなり、土地や家屋敷まで贈られ、数か月でお大尽様になってしまった。これに驚いたのが范進の母でうれしさのあまり昇天してしまうのである。
金東崖(きんとうがい)の物語はこうだ。彼はかつて高官の私設秘書をしていたが、自分は科挙に合格したことはなかった。そこで息子を受験させたいと思うが、不出来なのは分かっているので、替え玉を雇ってどうにか生員に合格させた。だが、それが露見しそうになったので、あわてて金でことを済ませ故郷に逃げ帰るのである。
もちろん、描かれるのは科挙の合格を目指す者たちばかりでない。科挙に合格して官吏となった者たちの腐敗ぶりや愚かさも、ユーモラスな筆致で描かれている。 |
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