小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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山海経 |
センガイキョウ |
小説 |
中国古代の地理書。現存する書のうち、古代中国神話の資料を最も多く保存しているといわれる奇書である。古代の巫師が神事を記録した巫書(ふしょ)だともいわれる。全18巻で、次のような構成になっている。
五蔵山経 |
①南山経、②西山経、③北山経、④東山経、⑤中山経 |
海外経 |
⑥海外南経、⑦海外西経、⑧海外北経、⑨海外東経 |
海内経 |
⑩海内南経、⑪海内西経、⑫海内北経、⑬海内東経 |
大荒経 |
⑭大荒東経、⑮大荒南経、⑯大荒西経、⑰大荒北経 |
海内経 |
⑱海内経 |
このように、『山海経』は古代中国の世界をいくつかの地域に分け、その特色を順次記述したもので、その地の動物・植物・鉱物・神々・住人などがひたすら羅列されている。
伝説では、夏王朝の始祖である禹の臣下・伯益の著とされる。実際には戦国時代初期から秦・漢時代にかけて、多くの人の手で次々と新しい部分が書かれたので、著者は不明である。
こうして成立した『山海経』は古くは図入りだったが、それは現在には伝わっていない。
晋代の学者・郭璞 (かくはく)は『山海経』に序と注を追加したが、その序に「世の『山海経』をよむ人たちは、いずれもその荒唐無稽にして奇怪奇抜な言葉が多いために(その内容の真実性に)疑問を持たないものはない。」(『山海経』平凡社より)と書いた。この言葉のとおり、全く空想的な動物や妖怪めいた神々、奇怪な人々が次々と登場する。たとえば、「海外北経」には次のような記述がある。
「無ケイの国は長股の東にあり、人となりケイ(ふくらはぎ)がない。鍾山(しょうざん)の神の名は燭陰(しょくいん)。(この神が)目を開けば昼となり、目を閉じれば夜となる。吹けば冬となり、呼べば夏となる。飲まず食わず息(いき)せず、息すれば風となる。身の長さ千里、無ケイの東にあり、この物たるや人面蛇身で色赤く、鍾山のふもとに住む。一目国(いちもくこく)はその東にあり、一つの目が顔の真中にある。柔利国は一目の東にあり、人となり一つの手、一つの足、膝(ひざ)が反(そ)り、足はまがって上にあり。共工(きょうこう)の臣を相柳氏(そうりゅうし)という。九つの首で九つの山のものを食う。」
体長が千里の人面蛇身の神だとか、九つの首を持つ相柳氏だとか、手も足も一本しかない人間だとか、「奇怪奇抜」で信じられないとされるのは当然といっていいだろう。だが、近年の研究で、このような「奇怪奇抜」さこそ、中国の原始神話・原始宗教の姿をそのまま伝えるものだということが分かってきた。中国古代神話の資料として『山海経』が重要視される所以である。
ところで、古代の中国には「天円地方」という考え方があり、大地(中国帝国)は正方形で、その周りを「四海」が取り囲んでいるとされた。ここで、「四海」といっているのは実際の海のことではなく、異民族の土地のことである。
中国古代の地理書『山海経』も基本的に同じ構造で、中国帝国とその外にある異民族の土地の二種類のことが書かれていると考えられる。すなわち、中国帝国内=五蔵山経=海内経であり、異民族の地=海外経=大荒経である。
同じ一冊の本の中で、同じ土地のことが別な呼び方をされ、繰り返し記述されているというのは奇妙かもしれないが、現在の『山海経』はもとは一冊ではなかったらしい。
『中国の神話伝説』の著者である袁珂(えんか)氏は現在の『山海経』はもとは三書であり、〈五蔵山経+四編の海外経〉、〈四編の海内経〉、〈大荒経四編+一編の海内経〉という組み合わせだったろうと見ている。また、『山海経』世界の中心、つまり五蔵山経の中心は洛陽(らくよう)というのが一般的な見方である。 |
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