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洞庭君 |
ドウテイクン |
中国神話 |
洞庭湖の守護神 |
湖南省北部にある洞庭湖(どうていこ)の神。強風や大波を起こし、洞庭湖に浮かぶ船を危険にさらす恐ろしい神である。
清代(1662~1911)初期の伝説によれば、洞庭君は鬼のような真っ赤な顔に牙を生やしており、その顔を人に見られるのを恥じていた。そこで、船に乗った人々が何か話したり、何かを指差したりしていると、自分のことがうわさされていると考え、腹を立てて湖を荒らしたのだという。
明の時代に洞庭湖を船で通りかかった陳明允(ちんめいいん)という男が不思議な体験をしたという話が清代の短編小説集『聊斎志異(りょうさいしい)』にある。このとき、陳は矢傷を受けていた猪婆龍(ちょばりゅう)(一種の鰐)を救ったが、それが偶然にも洞庭君の妻だった。このおかげで、陳は洞庭君の美しい娘と結婚し、幸福な生涯を送ったという。
洞庭君にまつわる伝説には恐ろしげなものも多いが、気に入られさえすれば、そうでなかったことがわかる。 |
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