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望帝 |
ボウテイ |
中国神話 |
古代蜀(しょく)の王、養蚕(ようさん)の神 |
蚕叢(さんそう)、柏灌(はくかん)、魚鳧(ぎょふ)に次いで蜀(四川省)を治めたとされる中国神話上の蜀王。最後にホトトギスになったという伝説がある。
望帝はもとは杜宇(とう)という名の天神だった。天から朱提山(しゅていざん)に降り、江源(こうげん)の井戸の中から現れた利という女を妻とした後、蜀王となって望帝と称した。
その望帝が百余歳のころ、楚(そ)の国で鼈霊(べつれい)という男が死んだ。ところが、その死体は長江を遡(さかのぼ)り、蜀の都に流れ着いて生き返り、望帝に会いに来た。そこで、望帝は鼈霊を宰相に任命した。おりしも、蜀で大洪水が起こり、鼈霊がまるで禹と同じように活躍し、それを治めた。ところが、この後、望帝は鼈霊の妻と密通してしまい、良心の呵責(かしゃく)にさいなまれて鼈霊に位を譲った。王となった鼈霊は開明帝と称したが、望帝の方は退位後に修行を積んでホトトギスとなり、毎年春が来るたびに鳴いた。蜀の人々はその鳴き声を聞いて望帝をしのんだという。 |
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