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無支き |
ムシキ |
中国神話 |
淮渦(わいか)の水神 |
淮渦(わいか)の河神。背丈が五丈もある猿に似た怪物である。体は黒く、首は白く、目は黄金色で、真っ白な牙があり、首が自由自在に伸び縮みする。また、九頭の象を負かすほどの怪力があるとも、鎖でつないだ50頭の牛をずるずると引っ張るともいわれる。だが、驚くほど頭がよく、人間の言葉を話し、黄河や淮水の深さ、原野や沼沢の位置を熟知していたという。
堯(ぎょう)の時代に起きた大洪水を治めるために桐栢山(とうはくさん)(河南省)に赴(おもむい)いた禹(う)が、部下の庚辰(こうしん)に命じ、無支きを捕らえさせたという伝説がある。庚辰は木精、水怪、山怪、石怪といった無数の妖怪変化の妨害にあいながらもついに無支きを捕らえ、鎖で首をつなぎ、鼻の穴に黄金の鈴をつるし、亀山の麓に移して、治水を妨害できないようにした。そして、このときから庚辰の子孫たちは無支きの絵を描いて、淮水(わいすい)の氾濫の災害除けにしたという。 |
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