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夷城 |
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中国神話中、巴族(はぞく)の祖とされる廩君(りんくん)の都城。現在の湖北省枝城市。
廩君は南方の鍾離山(しょうりさん)に住む巴氏という氏族の出身で、もとは務相という名だった。鍾離山にはほかに樊氏(はんし)、瞕氏(しんし)、相氏、鄭氏(ていし)という氏族も住んでいた。山には赤い穴と黒い穴があり、巴氏は赤い穴から、他の四氏は黒い穴から生まれた。
これらの人々ははじめ互いに争い合っていたが、やがて話し合って、首長を決めることにした。各氏族から代表者が出て、剣投げと泥舟に乗る競技が行われ、いずれも務相が勝利した。こうして、務相が五氏族の首長となり、廩君となった。
廩君は泥舟に乗り、夷水を下って塩陽へ行った。すると塩水(夷水)の女神が現れ、廩君に求婚した。廩君が断ると、女神は虫に変身し、他の無数の虫たちを引き連れて空を覆い、あたりを真っ暗にしてしまった。このため、廩君は十日あまりもそれ以上先へ進めなかった。やむを得ず、廩君は計略を使って女神を殺した。
その後、廩君はさらに川を下って、夷城に着いた。そして、その地に城を築き、それから一族は大いに繁栄したという。 |
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