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フランボワイヤン・ワールド
中国神話伝説ミニ事典/地名編
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烏鶏国
ウケイコク
西遊記
 中国明代の小説『西遊記』で、天竺へ取経の旅をする三蔵一行が訪れた国の一つ。
三蔵一行は平頂山蓮花洞を過ぎ、西へ進んで宝林寺に宿泊したが、その夜、三蔵の前に烏鶏国王の幽鬼が出現した。
 その話によると、烏鶏国は宝林寺の西40里ほどにある城市だったが、五年前に日照りに襲われ大変な被害を受けた。このとき鍾南山から不思議な道士がやって来て、術を使って雨を降らせ、烏鶏国を救った。以来、国王は道士と懇意になったが、二年ほどたったあるとき、道士が突然国王を井戸に突き落とし、石の板でふたをして術を使って国王になり変わってしまったという。
 話を聞いた悟空と八戒は烏鶏国へ行き、井戸の底から国王の死体を引き上げた。井戸の竜王が守っていたので三年たっても国王の死体は生きているときのままだった。そこで悟空は天界の太上老君を訪ね、還魂丹を一粒譲り受け、国王を生き返らせた。それから、再び烏鶏国へ向かい、にせ国王に戦いを挑んだ。
 だが、にせ国王というのは実は文殊菩薩が乗用にしていた青毛の獅子が化けたもので、阿弥陀如来の命令で烏鶏国に来たのだという。本物の烏鶏国王は当初は善事を好み、僧にも斎を振舞うような人物だった。しかし、あるとき文殊菩薩が一般の僧に化けてその信仰を試したところ、文殊菩薩を縄で縛り、三日三晩水につけるということがあった。そのため、如来の命令で青毛の獅子が遣わされ、三年間国王を水につけるという罰を与えたのだという。
 こうしてすべてがはっきりし、にせ国王は本来の獅子の姿に戻り、本物の烏鶏国王がその地位に復帰したのである。

→平頂山蓮花洞
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