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洞庭湖 |
ドウテイコ |
地名 |
湖 |
中国第二の淡水湖で、湖南省北部、長江(ちょうこう)の南岸にある。
伝説によれば、洞庭君という龍神が住んでいた。洞庭君は顔が醜かったので、人々の話題になるのを極端に嫌った。それで、洞庭湖を船で渡るときには人々は口を利いてはならず、手で何かを指差したり、手を目にかざして何かを見ているようなそぶりをしてはいけなかった。そんなことをすると洞庭君は自分が話題になっていると思い、腹を立て、強風や大波を起こして船を転覆させるのだという。
洞庭君は柳毅(りゅうき)という人間の男性が変じたものだともいわれた。
唐代の伝奇小説『柳毅伝』によると、柳毅は科挙の試験に失敗して故郷の呉(ご)に帰る途中で涇川(けいせん)(安徽省(あんきしょう)涇県)に至った。
ここで、彼は美しい羊飼いの娘に出会った。この娘というのが洞庭君の娘だった。娘は涇川の水神の次男に嫁いだが、夫が道楽者で大変な苦労をしているのだという。そこで柳毅は娘から手紙を預かり、洞庭湖へ赴き、龍宮へたどり着いた。
龍宮の人々は洞庭君の娘の不幸を知ってみな悲しんだ。だが、洞庭君の弟に当たる銭塘君はすぐにも涇川に行き、涇川の龍を食い殺して娘を取り返した。こうして柳毅は龍宮で大いに歓迎され、帰りには宝物を贈られた。
家に戻った柳毅はその宝物を元手に商売を初め、大金持ちになった。だが、その後に結婚した二人の妻はどちらも子供を生まずにすぐに死んでしまった。柳毅は三度目の妻を娶った。その妻はどこか洞庭君の娘に似ていた。そこで柳毅は妻に昔あったことを話して聞かせた。そのうち子供が生まれて一ヶ月ほどしたとき、妻が「実は自分は洞庭君の娘です」と打ち明けた。
その後、柳毅は40年間妻とともに人間界で暮らしたあと洞庭湖へ行き、洞庭君の跡を継いで湖の神になったのである。 |
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