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万寿山五荘観 |
マンジュサンゴソウカン |
西遊記 |
寺 |
中国明代の小説『西遊記』で、鎮元子(ちんげんし)という仙人が住んでいた寺。玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)一行は流沙河(りゅうさが)から西に進んでこの地に至った。
五荘観は絶景に囲まれた一種の仙境で、山門の左には石碑があり「万寿山福地 五荘観洞天」と書かれている。
しかも五荘観はただの仙境ではなく、地上でただここにだけ産する人参果(にんじんか)、別名草還丹(そうかんたん)という珍宝がある。これは人間の赤子の形をした木の実で、三千年に一度花を開き、三千年に一度実を結び、さらに三千年たって熟する。つまり、およそ一万年かかって三十ほどの実ができるというもの。その効果は絶大で、その匂いをかいだ人は360歳まで生きられ、一個食べれば、4万7千年も生きられる。
三蔵一行が到着した日、鎮元子は道教の最高神である元始天尊(げんしてんそん)に招かれて天界に出かけていて留守であり、一行は寺の僧たちに迎えられた。その僧たちから人参果のことを知った悟空はさっそく人参果園に忍び込んでその実を三個盗んできて猪八戒(ちょはっかい)、沙悟浄(さごじょう)と一緒に食ってしまった。さらに、盗みがばれて寺の僧たちが騒ぎ出すと、悟空は腹を立ててなっていた人参果の実をすべてだいなしにした上、その木そのものまで打ち倒してしまった。木は高さ千丈、根回りが七、八丈もあるものだった。
天界から帰ってきた鎮元子はそれを見て激怒し、ここに戦いが始まった。だが、鎮元子は強力で、悟空らが束になってもかなわない。やむなく悟空は観音菩薩に来てもらい、甘露水(かんろすい)をかけてもらって、人参果樹を生き返らせた。これで鎮元子の怒りもおさまって悟空らは許されたのだった。 |
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