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羅鄷山 |
ラホウサン |
宗教 |
山、冥界 |
道教の冥府の王都である羅鄷または鄷都(ほうと)があるとされた架空の山。鄷都山ともいわれる。
陶弘景(とうこうけい)(452~536)の『真誥(しんこう)』によると、羅鄷山は北方癸地(きち)にあり、高さ2600里、周囲が3万里ある。
北方癸地は中国北方の海のはるか彼方にある。山の麓に周囲1万5千里の洞天があるが、山上にも洞内にも六天鬼神のための宮室が6宮ずつあり、山上のものを外宮、洞中のものを内宮という。宮の大きさは周囲1千里ある。
山上、洞内の6宮の制度は同じで、人間は死後にこの6宮にやって来る。
第一宮は紂絶陰天宮(ちゅうぜついんてんきゅう)といい、人間は死ぬとまずはじめにここに来て処分を受けなければならない。ただし、先に名山および泰山(たいざん)・江河に行くものは来る必要はないが、処分を受ける日や罪を責めたり吉凶を定める日には来なければならない。
第二宮は泰さつ諒事宗天宮(たいさつりょうじそうてんきゅう)で、急死者が訪れる。
第三宮は明晨耐犯武城天宮(めいしんたいはんぶじょうてんきゅう)で、賢人聖人はまずはじめにここに来る。しかし、急死者も賢人聖人も次には必ず第一宮を訪れる。
第四宮は恬昭罪気天宮(てんしょうざいきてんきゅう)で、禍福吉凶、続命罪害のことを処理する。
第五宮宗霊七非天宮(そうれいしちひてんきゅう)、第六宮敢司連宛屡天宮(かんしれんえんるてんきゅう)については『真誥』には記されていないが、現世において信仰が薄く、世間的なことに夢中になっていたものが第五宮に、道を学んだにもかかわらず戒を破ったものが第六宮に赴くという説がある。
普通、道教の冥府の主宰者は鄷都大帝とされるが、『真誥』では、第一宮にいる北帝君が六天宮を統括しているとされている。また、第四宮を鬼官北斗君(ほくとくん)が治めていたという。
羅鄷山には上記の天宮のほかに、鄷都二十四獄、鄷都三十六獄、九幽地獄という地獄があったという説もある。
羅鄷山はもともとは北方にあるという架空の山だったが、そこにあった羅鄷という冥府の王都は、後に四川省にある鄷都という現実の土地にあるとされ、鄷都とも呼ばれるようになったといわれる。現実の鄷都には平都山という山があり、これが羅鄷山の代わりになった。
→鄷都 |
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