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フランボワイヤン・ワールド
中国神話伝説ミニ事典/地名編
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竜虎山
リュウコザン
小説
 中国明代の小説『水滸伝(すいこでん)』中、108人の魔王が封じ込められていたとされる山。かつては道教の大本山で、現在の江西省貴渓(きけい)県にある。
 『水滸伝』に登場する108人の豪傑たちは36の天罡星(てんこうせい)、72の地煞星(ちさつせい)の生まれ変わりとされるが、これらの星にはもともと魔王が宿っていた。魔王は災厄をもたらす存在なので、唐の時代に洞玄国師(どうげんこくし)という道士が竜虎山の地下に封じ込めた。それから竜虎山は道教の大本山となり、魔王を封じ込めた場所には伏魔の殿が建てられ、決して開けてはならない場所として守られるようになった。
 ところが、宋(そう)の四代皇帝・仁宗(じんそう)の時代のこと、都の東京(とうけい)で疫病が流行した。皇帝と政府の高官たちは、竜虎山の法主・嗣漢天師(しかんてんし)の祈祷で疫病を払ってもらうことに決め、使者として大将軍の洪信(こうしん)を派遣した。洪信が迎えに来ると嗣漢天師は自分ひとりだけ雲に乗り、東京に向かった。これで洪信は務めを果したわけだがその後で余計なことをしてしまった。洪信は竜虎山の伏魔の殿の内部が見たくなり、道士たちに命じて無理やり扉を開けさせ、中にあった石碑をどけ、穴を掘らせた。すると、そこから黒雲がわきあがり、天罡星36柱、地煞星72柱の魔王たちが金の光となって飛び散ってしまったのである。
 この108柱の魔王たちの生まれ変わりこそが『水滸伝』の中心人物たちで、ある者は軍人に、ある者は役人に、またあるものは山賊の姿を借りた豪傑として梁山泊(りょうざんぱく)に結集するのである。
 歴史的には竜虎山は2世紀ころに興った道教的宗教集団である五斗米道が拠った山として知られている。

→梁山
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