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フランボワイヤン・ワールド
水滸伝の豪傑たち
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

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水滸伝のあらすじ
 108人の豪傑を紹介する前に、まず『水滸伝』全体のストーリーについて簡単に見ておくことにしよう。『水滸伝』の中で、多くの豪傑たちがいかに勝手な活躍をするといっても、『水滸伝』はとにかく一編の小説であって、一貫したストーリーを持っている。豪傑たちの行動の中には、全体のストーリーを知っていてはじめて理解できるものも少なくないからだ。

◆水滸伝は義士銘々伝と戦記物語の二部構成

 『水滸伝』は大きく分けると、前半と後半の二部構成になっている。
 『水滸伝』に登場する108人の豪傑たちは、運命のいたずらで、結局は梁山泊に結集することになった山賊たちの親分である。親分たちの下には、最盛期では十万を超える手下がいた。梁山泊というのは彼らの寨の名前で、梁山泊という水沢地の中に山があり、そこに彼らの寨があったのでそう呼ばれた。これだけの豪傑が一度に梁山泊に集まってくるわけがないので、物語はこの108人が梁山泊に結集する前とその後とに大きく分けられるのだ。
 大集結以前の前半部分は、いうなれば豪傑たちの義士銘々伝で、これらの豪傑たちの個人的な活躍が取り上げられている。あくまでも個人的な活躍で、『水滸伝』全体の物語とはあまり関係のないものが多い。
 これが、後半になってがらりと変わる。後半部分は戦記物語で、梁山泊集団が宋という国の軍隊となって、敵対勢力との戦争を繰り広げるのである。
 では、それがどういう物語なのが、もう少し細かく見ていくことにしよう。

◆飛び散った108星――『水滸伝』の序章

 いまから約千年もむかし、中国を統一していた宋という国の4代皇帝・仁宗の時代に都の東京で疫病が大流行した。皇帝と政府の高官たちは、竜虎山(道教の大本山)の法主・嗣漢天師(しかんてんし)の祈祷で疫病を払ってもらうことに決め、使者として大将軍の洪信を派遣した。洪信が迎えに来ると、嗣漢天師は自分一人だけ雲に乗り、東京に向かった。これで洪信はつとめを果たしたわけだが、その後で余計なことをしてしまった。このころ、竜虎山には伏魔の殿という祠があり、唐の時代に108人の魔王を封じ込めたと伝えられていた。洪信はその中を見たくなり、道士たちに命じて無理矢理に伏魔の殿を開けさせ、中にあった石碑をどけ、穴を掘らせたのだ。と、そこから黒雲がわき上がり、天罡星36柱、地煞星72柱の魔王たちが金の光となって飛び散ってしまった。この108柱の魔王たちが、やがて人間に生まれ変わり、梁山泊に結集するというわけだ。

◆豪傑の物語とそれぞれの出会い―『水滸伝』の前半

 108の魔王があちこちに飛び散るという大事件からおよそ60年ほどがたち、やがて時代は8代皇帝・徽宗の御代になる。この60年の間に108の魔王は完全に人間に生まれ変わり、十分に活躍できるだけの年齢(それぞれ異なる)に達しているので、ここから豪傑たちの物語が始まる。
 では、豪傑たちがどんなふうに登場するかというと、『水滸伝』では108人の豪傑たちを一人一人順番に登場させ、その活躍ぶりを描いていく。最初に登場するのは九紋竜の史進だ。史進は華州華陰県の大庄屋の一人息子で、年齢は18、9才、全身に9匹の青竜が彫ってある。この村に、ゆえあって都から逃げてきた近衛軍の武芸師範・王進という男が通りかかり、武芸好きな史進に頼まれて武芸十八般を本格的に仕込んでくれた。半年ほどで史進は十分に腕を上げ、王進はもういいだろうと再び旅立つ。こうして、一人前の腕前になった史進は、近隣の村々を困らせていた山賊たちを退治するが、山賊の頭領3人と仲良くなってしまう。この3人も後に108人に加わる者たちだが、小者なので3人に関する物語は少ない。ところが、この3人の山賊と仲良くなったために、史進は当時の警察から追われることになり、屋敷を捨てて故郷から逃げ出すことになる。
 旅に出た史進は渭州という町の茶屋で、町の駐屯軍の隊長をしていた魯達という男と知り合う。これが後に魯智深と呼ばれることになる大豪傑で、二人は大いに意気投合する。こうして新しい豪傑・魯達が登場すると、ここから魯達の物語が始まる。こんなふうに大豪傑が登場しては次の大豪傑と出会うという形で物語が続いていく。その間に小者の豪傑も多数登場する。しかし、これらの豪傑たちは、史進がそうだったようにやがて不運にも当時の警察から追われる身になってしまう。そこで、豪傑たちが選んだのが梁山泊の山賊の仲間になるという道で、数多くの豪傑たちが梁山泊に集まることになるのである。梁山泊の総頭領となる宋江も同じような事情で梁山泊入りしたといっていい。
 しかし、108人全員が同じようにして梁山泊に集まって来るというのではない。梁山泊にやってきた豪傑の中には、別に警察に追われているわけではないが、とにかく梁山泊に入りたいので仲間に加わったという者たちもいる。最初は朝廷のために働く軍人だったのに、梁山泊との戦いに敗れ、寝返るような形で梁山泊入りしたものも多い。108人の中で最後の方に入山することになった軍人の豪傑たちは、ほとんどがこの形といっていい。また、梁山泊にとって必要な人材だというので、梁山泊に誘拐され、ほとんど仕方なしに梁山泊入りしたような者たちもいる。
 なんといっても108人もいるので、みながみな同じ事情で入山するというわけにはいかないのである。

◆梁山泊と朝廷への帰順――『水滸伝』の中間部分

 梁山泊に108人がそろったとき、主の宋江が晁蓋のために盛大な供養を営んだ。晁蓋というのは小者ばかりの山賊集団だった梁山泊を生まれ変わらせた大豪傑の1人で、残念なことに梁山泊が完成する前に死んでしまったのである。すると、七日七夜の供養が満願となったその夜、不思議なことが起こる。空から火の玉が落ち、その場所から掘り出された一枚の石版に天罡星、地煞星108星の名と豪傑たちの名が記されていたのだ。つまり、梁山泊に集まった108人の豪傑たちは運命によってそこに集まると定められていたことがわかるのである。
 また、石版に記されていた108人は、梁山泊での順位通りに順番に記されていた。まずはじめに天罡星36人の名前があり、次に地煞星72人の名前があった。天罡星というのは大親分であり、地煞星というのは小親分だということだ。大親分と小親分で何が違うかといえば、基本的に大親分の方が強いということである。
 こうして、108人が星の生まれ替わりだと知った宋江は盛大な宴を設け、最終的な役職分担を決めた。本書ではこの役職分担に基づいて、108人の豪傑を順番に紹介している。
 一方、朝廷では梁山泊の山賊を退治するために、何度となく討伐軍を派遣するが、そのたびに撃退されてしまう。そこで朝廷が考えたのが、梁山泊の山賊たち全員を“招安”してしまうという手だった。“招安”というのは、朝廷が退治できない強敵に官爵や褒美を与え、朝廷の配下にしてしまうというもので、当時の中国でよく行われていたものだった。ここで大きな力を発揮するのが宋江である。宋江は不運にも人殺しをして朝廷から追われていたが、忠義心の厚い男で、いつかは国のために働きたいと思っていた。この宋江の号令ひとつで、梁山泊はこぞって朝廷に帰順し、朝廷のために働くことになるのである。

◆4つの大敵を退治する戦争巨編――『水滸伝』の後半

 さて、こうして梁山泊は朝廷に帰順したものの、朝廷では梁山泊集団をどのように扱ったらいいか困っていた。朝廷には自分のことしか考えない悪臣たち何人かいて、梁山泊集団を厚遇することに反対していたからだ。しかし、ちょうどこのころ宋国北方に位置する遼国が十万の兵を動員して、宋国の領土に侵入するという大事件が起こった。朝廷の高官たちは、とにかく梁山泊軍を遼国と戦わせ、その後で梁山泊軍の処遇について考えようと結論を出した。国のために尽くしたいと考えていた宋江はこの命令を喜んだ。そして、宋軍として戦争に臨んだ梁山泊の豪傑たちは大いに活躍し、遼国を降伏させ、東京に凱旋した。ところが、東京に戻ってみると、今度は河北の反乱者・田虎が軍勢を率いて宋国の諸都市を占領しているという。こうして、梁山泊軍(宋軍)は次々と戦争を繰り返すことになり、田虎の次は淮西の王慶、さらには江南の方臘をも撃退する活躍をするのである。このうち、最初の遼国というのは宋の隣のれっきとした国だが、田虎、王慶、方臘というのは宋国内の反乱者のリーダーの名前である。梁山泊にしてももとはといえば同じような反乱者の集団だったわけだが、朝廷に招安されたことで、反乱者を退治する側に回ったというわけだ。
 なお、これらの戦争物語のうち、田虎討伐戦と王慶討伐戦は百回本の『水滸伝』には含まれず、百二十回本の『水滸伝』にだけ含まれている。これは、まずはじめに百回本が作られ、そのあとで二つの戦争を追加した百二十回本が作られたという事情による。このため、余計な戦争を含む百二十回本では、一部分で年代の記述が合わなくなっている。田虎討伐戦と王慶討伐戦は両方合わせて一年を費やした戦争なので、本当ならば、最後の方臘討伐戦が終わる年代は、百回本と百二十回本で正確に一年違うはずなのだが、それが同じ年に終わったことになっている。このために、本書に掲載した年表に宣和5年という年代が二回も登場することになったが、それはこういう事情なのでやむを得ないことだったと理解してほしい。

◆むなしかった悲劇的結末――『水滸伝』のエピローグ

 4つの戦争を勝ち抜いた梁山泊の豪傑たちは、首都・東京に凱旋すれば当然のように英雄である。凱旋した者たち全員に朝廷から官爵が与えられたのでもそれはわかる。
 それでは、『水滸伝』はハッピーエンドの小説かというと、そうではないところに『水滸伝』の奥深さがある。
 最大の不幸は、108人の豪傑の大半が戦死してしまったことだろう。王慶討伐戦までは108人の中に死者は1人もいなかった。だが、最後の方臘討伐戦で59名が戦死し、10名が病死した。この戦いの中で左腕を失った武松はもはや戦えなくなったことに絶望し、杭州の六和寺に残って一生を寺男として過ごすことになった。獣医の皇甫端や印鑑職人の金大堅のように、皇帝の命令で方臘討伐戦の前に梁山泊軍を離れ、朝廷で働くことになった者も数人いる。大魔術師・公孫勝などは、すでに自分の仕事は終わったといって、方臘討伐戦前に梁山泊軍を離れてしまった。
 生きて東京に凱旋した者にも不幸は訪れた。総大将の宋江は凱旋後は高い官爵を与えられ、楚州の司令官に任命されたが、これを不満に思っていた朝廷の悪臣たちの陰謀で毒殺されてしまう。しかも、宋江は自分が死ぬことを知ったとき、すぐにも腹心の部下だった李逵を呼び寄せ、彼を毒殺する道を選んだ。李逵はどうしようもない暴れん坊だったから、宋江が毒殺されたと知れば、反乱を起こすに違いないと心配したからだった。宋江から毒を盛ったことを知らされた李逵は、「かまいませんよ。おれは死んでからも、兄貴のために働きますよ」と涙を流して死を受け入れた。また、軍師だった呉用と弓の名手だった花栄は宋江の死を夢で見るとすぐにもその墓を訪れ、その場所で二人一緒に首を吊って死ぬことを選んだ。
 最も幸福だった者たちは、戦争に生き残りながらも国が与えた官爵を辞退し、故郷に帰った者たちかも知れなかった。彼らはその後の人生を、すべてが始まる前と同じように、何事もなかったように生き始めたのである。どんなに波瀾万丈な人生を生きようと、結局すべては夢のようなものだと、『水滸伝』は語っているのかも知れない。
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イオの末裔
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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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