小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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梁山泊での順位 |
61位 |
持ち場 |
歩兵軍将校 |
特技 |
道術、流星鎚 |
あだ名 |
混世魔王(こんせいまおう) |
出身地・前歴 |
濮州・徐州沛県芒碭山の山賊の第一の頭領 |
あだ名の由来 |
混世魔王は人騒がせな魔王の意味。山賊の頭領のくせに、風を起こしたり雨を降らせたりする魔法使いで、用兵の術にもすぐれていたので混世魔王と呼ばれた。 |
どうしても公孫勝の影に隠れてしまう第二の道士 |
樊瑞は地煞星のひとつ地然星が生まれ変わった好漢である。
芒碭山の山賊の第一の頭領で、副頭領の項充、李袞とともに三千の兵を率いていた。樊瑞は陣法のことはほとんど知らなかったが、地煞星ながらも相当な道術(魔法)使いで、年若くして道士となり、武芸も身に付け、馬上で流星鎚を使うのがうまかった。項充、李袞も地煞星らしからぬ強さがあったので、梁山泊の史進、朱武、陳達、陽春が束になっても歯が立たなかった。そのふたりの上に立つ樊瑞だから梁山泊でも活躍できるはずなのだが、なんといっても梁山泊には公孫勝というとんでもない道術使いがいる。道術を使ったら公孫勝の右に出る者はいないので、樊瑞としてはいかに頑張っても公孫勝の引き立て役みたいになってしまうことが多かった。樊瑞も力の差は認めているので、出会うとすぐに公孫勝の弟子になっている。梁山泊入り後は李逵、項充、李袞とチームを組むことも多かったが、魔法使いらしい単独の活躍も目に付いた。 |
樊瑞の物語 |
◆無謀にも梁山泊を併呑しようと企む
芒碭山に三千もの手下を集めて強奪行為を働いていた山賊の頭領・樊瑞は、あるとき副頭領の項充、李袞と謀って梁山泊を倒して自分たちの配下にしようと企んだ(第59回)。この計画はすぐに梁山泊に察知され、梁山泊から軍勢が攻め寄せてきた。軍勢を率いていたのは史進、朱武、陳達、陽春の4人の頭領だった。この4人は梁山泊入りしたばかりで何の手柄も立てていなかったので、芒碭山の話を聞くや自分たちから芒碭山退治を宋江に申し出たのである。梁山泊軍が山麓に陣を敷いたのを知った芒碭山の副頭領・項充と李袞は手下を率いて徒歩で迎え撃ち、ふたりだけで史進たちの軍勢を追い払ってしまった。
しかし、梁山泊軍はあきらめず、翌日には新たな軍勢を加えて再び山麓に陣を敷いた(第60回)。これを見た樊瑞は騎馬に乗り、左右に項充と李袞を従え、三千の兵を率いて山を下りて陣頭に立った。このとき梁山泊軍は公孫勝の作戦で四面八方に陣を散らせていたが、樊瑞は 陣法のことをまったく知らなかったのですぐにも勝利を確信し、「風が巻き起こったら敵陣へ斬り込むのだぞ」と項充と李袞に命じた。そして樊瑞は馬上に立ち上がり、流星鎚を左手に、魔王の宝剣を右手に持ち、ぶつぶつと呪文を唱えてから、「えいやっ」と叫んで狂風を巻き起こした。この風のために砂はもうもうと舞い上がり、石は転がり、あたりが暗くなった。と同時に項充と李袞が手下を率いて敵陣に斬り込んでいった。ところが、梁山泊の陣営ではこのときを待っており、芒碭山の軍勢めがけて弓や弩(いしゆみ)を放ったので、多くの者は梁山泊の陣営に切り込めず自陣に引き返してしまった。さらに、梁山泊の陣が蛇のような変化を始めたうえ、公孫勝が魔法を使ったので項充と李袞は右往左往したあげくに梁山泊軍に生け捕られてしまった。と間もなく、梁山泊軍が芒碭山の陣に攻め込んできたので、さすがの樊瑞も山に逃げ込むしかなかった。
ところが、しばらくするとさっき梁山泊に捕らえられたはずの項充と李袞が山に戻ってきた。不思議に思った樊瑞が理由を問うと、二人は宋江が義に篤い男で、天に替わって道をおこなおうとしている立派な人物だということを詳しく話し始めた。これを聞いた樊瑞は、「なるほど、宋江がそんな男なら、俺たちも天に逆らうようなことはせず、明日にも投降することにしよう」と決心した。こうして翌日早朝に三人は一緒に山を下り、梁山泊の仲間に加わったが、このときから樊瑞は公孫勝を師と仰ぐようになった。
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梁山泊入山後の活躍
◆歩兵として戦うかたわら魔法使いとしても活躍する |
宣和2年 |
正月、梁山泊が北京に捕らえられた盧俊義・石秀救出策戦を実行する。樊瑞は歩兵の頭領となり項充と李袞を従えて北京攻撃軍に加わった(第66回)。
春、曽頭市との二度目の戦争が起こる。樊瑞は項充、李袞とともに攻撃軍に編入された(第68回)。この戦いの途中、曽頭市から和平の申し出がなされ、その条件として互いに人質を交換することになると、梁山泊からは樊瑞、時遷、李逵、項充、李袞が人質となって曽頭市に送られた。が、樊瑞らはのちに曽頭市で大暴れして、梁山泊の勝利に貢献した。
3月、東平府・東昌府攻撃軍が編成される。樊瑞は李袞、項充とともに盧俊義麾下の軍に編入され、東昌府を攻めた(第69回)。 |
宣和3年 |
夏、童貫率いる朝廷軍との戦い。梁山泊軍は九宮八卦の陣を敷き、樊瑞は李逵、項充、李袞とともに前軍となり、敵前に突進した後でわざと逃げだし、敵の大軍を自陣の方へおびき寄せた(第76回)。 |
宣和4年 |
3月、梁山泊が正式に朝廷に帰順する。
4月ころ、遼国戦争が起こり、樊瑞は宋軍の副将として出征した。
檀州城攻略戦。水軍の頭領たちが糧秣船に乗り込んで敵城を奪うことになり、樊瑞は項充、李袞らとともに砲手の凌振を守って敵城に近づき、城の水門が開くと同時に攻撃の合図となる号砲を撃つのを助けた(第83回)。
檀州攻略後、宋軍は兵を進軍する兵を二隊に分け、樊瑞は宋江麾下の軍に編入された(第84回)。
薊州攻略後、遼国から梁山泊を招安したいという申し出があり、宋江が遼国に寝返ったと見せる作戦が採られる。樊瑞ら十数名の将が宋江とともに遼国の文安県城に赴き、城を落とすのに成功した(第85回)。
幽州の戦い。盧俊義が十二名の頭領と一緒に青石峪という谷で動けなくなり、宋江が兵を率いて救出に出かけた。このとき樊瑞は李逵、鮑旭、項充、李袞らと谷の入口にいた遼軍をけちらした(第86回)。
昌平県境での最初の戦い。樊瑞は李逵、鮑旭、項充、李袞とともに牌手(楯の兵)を率いて敵陣に突入したが、奮戦及ばず逃げ出した(第88回)。
昌平県境での最終決戦。宋軍は九天玄女の陣を敷き、樊瑞は李逵、鮑旭、項充、李袞とともに火をつけた雷車を守って敵の中軍に突入した(第89回)。
田虎討伐戦始まる。 |
(宣和5年) |
蓋州攻略後、宋軍は兵を二隊に分け、樊瑞は宋江麾下の軍に編入された(第93回)。
昭徳城攻略戦。敵の援軍に駆けつけた幻魔君と呼ばれる魔法使い・喬道清が宋江軍を苦しめると、公孫勝が衛州城の守備をしていて陣中に不在だったので、宋軍の陣中からは樊瑞が馬に乗って出ていき、喬道清に立ち向かった。二人は馬上で剣を打ち合いながら法術を使ったので、空中では二筋の黒気が絡み合った。このとき樊瑞は敵の隙を見つけて斬りつけたが、その瞬間喬道清の姿は消え、自陣の前に舞い戻っていた。これを見た樊瑞はとてもかなわぬと見て退却した(第95回)。
王慶討伐戦始まる。
荊南州の戦い。樊瑞は李逵、鮑旭、項充、李袞らと敵基地のある紀山を背後から不意打ちして攻略した(第107回)。
南豊州での最終決戦。樊瑞は李逵、項充、李袞らと宋軍の斥候隊となって敵に戦いを挑み、わざと逃げるふりをして敵軍を宋軍の前におびき寄せた(第109回)。 |
宣和5年 |
方臘討伐戦始まる。
宋軍が敵側の大商人・陳将士の屋敷を襲う。樊瑞は朱仝、索超らと千人の兵を率いて屋敷を取り囲み、陳将士一家の者をことごとく殺した(第111回)。
潤州攻略後、宋軍は兵を三隊に分け、樊瑞は宋江麾下の軍に編入され、常州、蘇州へ向かった(第112回)。
杭州攻略戦中に張順が戦死し、宋江が現場に出向いてその供養をする。このとき、樊瑞は馬麟、石勇とともに伏兵を敷き、敵の攻撃を追い返した(第114回)。
杭州攻略後、宋軍が兵を二手に分け、樊瑞は宋江麾下の軍に編入され睦州へ向かった(第116回)。
睦州手前の桐廬県の戦い。樊瑞は李逵、項充、李袞らと歩兵を率いて城を攻め落とした(第116回)。
睦州入口の烏竜嶺で戦死した解珍、解宝の死体を取り戻そうとして宋江が危機に陥る。樊瑞は秦明、李応、李逵、項充、李袞らと駆けつけ、敵をけちらして宋江を救出した(第117回)。
睦州城攻略戦。鄭魔君と呼ばれる敵の魔法使い・鄭彪が法術を使って黒雲の中から神人を出現させて宋軍の関勝を襲わせると、樊瑞も法術を使い、白雲の中から神将を出現させて、敵の神人と戦わせた。このおかげで、関勝は鄭彪を討ち取ることができた(第117回)。
方臘討伐戦に勝利し、東京に凱旋する。樊瑞は官爵を授けられたが、官途につくことはなく、朱武と一緒に道士になって世間を渡り歩いた。それから二人で公孫勝のもとに行って出家した(第120回)。 |
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イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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