ようこそ。ここは草野巧のホームページです。
フランボワイヤン・ワールド
海の冒険者たち
フランボワイヤン・ワールド・トップ海の冒険者たち目次
 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。


カリブの海賊・バカニーア
第一章 カリブ海を荒らしまわるバカニーア

1.カリブ海の無法者

 コロンブスが、初めて西インド諸島に到達してから100年以上を経た後、ヨーロッパ諸国が新大陸に注ぐ視線は大きく変貌してきた。それまでヨーロッパの各国は、まるで海賊のように、ただやみくもに新しい土地を荒らすばかりだった。しかし、17世紀になると彼らはもっと組織だったやり方で大きな利益を上げようと考えるようになった。ヨーロッパ諸国は、新大陸において恒久的な植民活動を開始したのである。
 17世紀初頭から、オランダ、イギリス、フランスなどに、相次いで「東西インド会社(★1)」に代表されるような株式会社が設立され始めた。これは、ヨーロッパ人たちが組織や国家を優先し始めたことのあらわれといえるだろう。

 ところが、このような大きな時代の転換期にあって、ヨーロッパから遠く離れたカリブ海城では、まったく自分のためだけに、各国の商船や植民都市を襲っては膨大な金品を略奪する、純粋の海賊たちが跳梁し始めたのだった。「バカニーア」と呼ばれる海賊たちがこれである。
 バカニーアたちは、時として大船団を組織して海賊行為を行うこともあったが、国家や組織とは無縁だったから、簡単には大きな艦船を持つことはできなかった。バカニーアたちは、無謀にも手漕ぎのボートで大きな商船や艦船に向かっていく。そして、略奪を繰り返すことにより、だんだんと大きな船に乗り換えていくのだ。たとえば、トルチュガ島の海賊ピエール・ルグランは、わずか1隻の小さな帆船と28名だけの部下を引き連れて航海に出発し、冒険的な海賊行為を成就したことで、カリブ海における海賊の先駆者と有名である。

 1635年 (1665年ともいわれる)頃のことだった。28名の部下を引き連れたピエール・ルグランは、サント・ドミンゴの農場を襲い食料を確保すると、ウインドワード海峡を通って西に向かった。
 しかし、獲物はなかなか見つからなかった。
 そのため彼の航海は、遠くコスメス島からユカタン半島のカトチェ岬へ、さらにキューバ沿岸にまで達した。そのあたりまでくると、すでに食料も尽きていたため乗組員たちはみな餓死寸前の状態だった。
 そんな時、洋上に浮かぶ1隻の大型スペイン船を発見した。それはヴェラ・クルスから金を運ぶ武装ガレオン船だった。遠くの方に船団の姿を見ることもできた。してみると、その1隻だけが船団から遅れてしまったに違いない。

 ルグランは当初、大物を狙おうなどとは考えていなかった。しかし、彼は決心した。武装した大型ガレオン船を襲うことは、いうまでもなく一か八かの冒険だったが、手ぶらでトルチュガ島に引き返すのは船長としての威信にかかわることだった。彼は乗組員たちに向けて演説した。
「あのガレオン船には、おそらく100人以上の水夫がいるだろう。だからあの船を襲うのはたしかに無謀なことかもしれない。しかし、勇敢な者はしばしば奇跡を行うものだ。それに、今なら奴らの不意をつくことができる。スペイン人たちも、海賊が襲ってくるなどとは夢にも思っていないだろう。船団を組んで航行する軍船を、こんなちっぽけな海賊船が独力で襲ったことなど、いまだかつて一度もないんだからな。どうだろう、みんな、考えてみてくれないか! 成功すれば、明日の朝には俺たちはみんな大金持ちになれるんだぞ」

 乗組員たちは全員計画に賛成した。そこで、彼らは夕闇の中、スペイン人たちに気づかれぬようにガレオン船に近づいていった。敵船の武装は海賊たちとは比較にならぬほど強力だったが、油断していたスペイン人たちは、海賊が近づいたことに気づかず、戦闘準備をしていなかった。
 チャンスと見たルグランは、部下に命じて自分たちが乗っている小さな帆船の底に穴をあけさせた。もはや引き返すことはできないという覚悟を全員で確認するためだった。それから彼らは敵船の横腹にボートを寄せると、片手にピストル、片手に剣を握って敵船によじ登り、どっとなだれこんだ。
 敵と味方が入り乱れた甲板上の戦いは一気にけりがついた。それは電撃作戦のようだった。甲板の下の船員たちはあまりにも不意を襲われたため、戦う以前に降伏した。ルグランが手下の4人と船長室に押し入った時、船長はまだ事態の急変に気づかず、数人の士官とトランプをしているありさまだった。


◆脚注◆
★1 東西インド会社
 17世紀~19世紀、英国を筆頭に、仏、蘭などが設立した一連の会社群。本来の目的は、インド、インドシナ、東南アジアとヨーロッパ間の貿易活動だったが、植民地経営、果ては略奪行為にまで手を伸ばした。
カリブの海賊・バカニーア目次
●第一章:カリブ海を荒らしまわるバカニーア|1.カリブ海の無法者2.初期のバカニーアたち3.カリブ海に散らばったバカニーア
●第二章:バカニーアの冒険|1.スペイン船を狙え2.バカニーア時代の初期の船長たち3.バカニーアの掟4.総勢400人の大海賊船団5.バカニーアの悲惨な最期
●第三章:バカニーアの総本山|1.トルチュガ島の時代2.バカニーアの生活3.海賊都市ポート・ロイヤル
●第四章:バカニーアの船|1.バカニーアの船と17世紀の造船術
●第五章:残虐非道のヘンリー・モーガン船長|1.ヘンリー・モーガンの名声2.火船作戦で危機を脱出3.ヘンリー・モーガンのパナマ攻略
●第六章:バカニーア時代の黄昏|1.海賊の時代は終わった2.カリブ海を逃げ出した海賊とパイレーツ
海賊学

 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
Copyright(C) 草野巧 All Right Reserved