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フランボワイヤン・ワールド
海の冒険者たち
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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イオの末裔
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カリブの海賊・バカニーア
第四章 バカニーアの船

1.バカニーアの船と17世紀の造船術

■バカニーアの船

 バカニーアが海賊行為に使用した船は、手漕ぎのボートや小さな帆船の場合もあれば、大砲を備えた艦船の場合もあった。ヘンリー・モーガンなどは34門の大砲を備えた艦船を使ったともいわれている。そのため、バカニーアの海賊船を一括してこのようなものと決めつけるわけにはいかないが、最も一般的なのは20~50トンのフリゲート艦だったといわれている。

 しかし、バカニーアの船は結局のところ海賊稼業によって手に入れたものであり、だれもがフリゲート艦を使ったわけではない。はっきりいえるのは、それがヨーロッパ製だということだ。17世紀にはヨーロッパ本国のみならず、カリブ海や北米などの植民地でも造船が行われるようになったが、いずれにしてもヨーロッパの技術で造られていることに変わりはない。

 フリゲート艦は船足が早かったので、大型船を襲うにはたいへん都合が良かった。大型艦に搭載されている砲は、基本的に遠くを攻撃するためのものであり、あまりにも近づいた敵に対しては力を持たなかった。そこでバカニーアは、素早く、あるいは夜陰にまざれて大型船に近づき、一気に敵船に乗り込むと剣とピストルで血みどろの戦いを繰り広げるのだ。命知らずということが彼らの強みだったから、敵船に乗り込んだ時点でほぼバカニーアの勝利は決まっていたといえるだろう。
 当時、ヨーロッパ諸国がカリブ海を航行する商船の護衛に使った艦船は、ほとんどがそれほど大きくないガレオン船だった。17世紀の後半までにヨーロッパでは船の規格化が進み、砲の数によって1~6等級が設定された。これにより、商船の護衛を行うのは4等艦と決められていた。3等艦以上の船は、本格的な戦争のためのもので、商船の護衛にはあたらなかった。したがって、バカニーアが手に入れたのは、大きなものでも4等艦程度のガレオン船だったはずである。

■17世紀の造船術

 17世紀の船で、最も優れていたのはオランダ船だったといわれている。イギリス人ウォルター・ローリーは、1603年の時点で、イギリス船に比べてオランダ船の方がはるかに性能がいいことを嘆いていた。イギリスの100トン船に30名の乗組員が必要だとすれば、オランダ船は10人で動かせるというのだ。
 そんなわけだから、当時のヨーロッパ各国は、こぞってオランダ船の技術を学んだ。
 17世紀の船はスペースを広くし、吃水を浅くするために平底造りを採用し、舷側の内側ほど低くなっていた。また、砲台用甲板は狭くなっており、船が安定するようになっていた。
 このような特長はオランダ船でも変わらなかった。オランダ船の特長は上部構造を低くし、装飾を省き、高速性、操縦性、航用性を追及したものであり、全体として船幅に比べ、船体が長くできていた。これは、吃水線を浅くしながら耐久性を増すための工夫だった。操縦性を向上させるために、垂直型の関節つき舵取り腕木も採用されていた。砲列は比較的高い位置に装備され、船が傾いても浸水しないようになっていた。艦底は鉛のシートで覆われていた。

◆原住民たちのカヌー◆

 カリブ海域の島々にはヒマラヤ杉の一種が多く繁茂していた。原住民たちはこのヒマラヤ杉の根元を燃やして倒した後で、石斧を使ってカヌーを造っていたという。このカヌーは非常に快速でヨーロッパ人たちに「ネプチューンの早馬」と呼ばれた。

◆フリゲート艦◆
 17世紀初頭までは全長が9mくらいの小さなものでラテン・セールの2本マストと櫂のついた船をフリゲートと呼んでいた。6~12門の大砲を搭載した快速艇をフリゲートと呼ぶこともあった。正式なフリゲートを最初に造ったのはイギリスで、17世紀中頃のことだった。

◆戦列艦の役割◆
 17世紀前半までの艦隊は、大きさも装備もまちまちで、戦闘序列など存在しなかった。しかし、これでは効率が悪かったので、17世紀半ばから戦列艦という考え方が生まれた。戦列に加わる戦艦はすべて同じ程度の性能、砲数を持ち、弱点のないようにするというのがこれである。これを最初に実行したのはイギリスで、これ以降各国で採用された。
区分 砲数 役割
100以上 戦闘艦
80以上
50以上
38以上 商船の護衛、偵察用
18以上 偵察。通報用
6以上 沿岸警備用

◆オランダ船◆

カリブの海賊・バカニーア目次
●第一章:カリブ海を荒らしまわるバカニーア|1.カリブ海の無法者2.初期のバカニーアたち3.カリブ海に散らばったバカニーア
●第二章:バカニーアの冒険|1.スペイン船を狙え2.バカニーア時代の初期の船長たち3.バカニーアの掟4.総勢400人の大海賊船団5.バカニーアの悲惨な最期
●第三章:バカニーアの総本山|1.トルチュガ島の時代2.バカニーアの生活3.海賊都市ポート・ロイヤル
●第四章:バカニーアの船|1.バカニーアの船と17世紀の造船術
●第五章:残虐非道のヘンリー・モーガン船長|1.ヘンリー・モーガンの名声2.火船作戦で危機を脱出3.ヘンリー・モーガンのパナマ攻略
●第六章:バカニーア時代の黄昏|1.海賊の時代は終わった2.カリブ海を逃げ出した海賊とパイレーツ
海賊学

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