小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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カリブの海賊・バカニーア |
第三章 バカニーアの総本山
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1.トルチュガ島の時代
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バカニーアたちは、カリブ海域の大陸や島々に仲間と共同体を作って住んでいた。そこは、いわばバカニーアの巣窟だった。こうした巣窟の中で最も有名であり、数多くのバカニーアが集まってきたのがトルチュガ島だった。
●地図 エスパニョラ島とトルチュガ島
トルチュガ島は、エスパニョラ島の北西、目と鼻の先にある岩の多い小さな島で、港として役立つような入江は1つしかなく、その入江を見晴らすように高い岩山があった。この島はエスパニョラ島に近かったが、小さいこともあってスペイン人の防備は手薄だった。そのため、植民地政策を進めるイギリスやフランスにとっても、カリブ海の基地として手に入れたい島の1つだったのだ。この島に、最初のバカニーアたちが住み始めたのは1629年頃のことだった。
1631年には、イギリスがトルチュガ島に植民を行おうとしたが、バカニーアたちは仕事を嫌がった。トルチュガ島にはタバコのプランテーションなども作られたらしいが、仕事をするのは奴隷だけだったという。バカニーアたちの多くは、海賊稼業に精を出していたのだ。それに加えて、この島はタバコの栽培に適していなかったので、真面目に働く白人奴隷たちも、しだいに海賊の仲間に加わるようになったのである。
1640年からトルチュガ島は、名目上フランス植民地となった。しかし、それはあくまでも名目上のことだった。というのは、多民族から構成されるバカニーアたちが、派遣されたフランス人の総督に逆らってばかりいたからだ。
1640年、セント・キッツ島のフランス地区から派遣された総督ルヴァールスは、トルチュガ島の入江を見下ろす岩山の上に、後に鳩小屋とあだ名をつけられた城砦を築き、10年以上もバカニーアたちの頂点に君臨した。この時代に、トルチュガ島のバカニーアたちは一躍有名になり、各地から海賊稼業で一攫千金をもくろむ輩が次々とこの島にやってきた。
しかし、総督ルヴァールスはあまりにも厳しく統治したため、12年後の1652年には、側近によって殺されてしまった。以降、トルチュガ島は、ほぼ完全にバカニーアたちの手に落ちた。彼らは自分たちで信頼できる首領を選び、勝手気ままに海賊稼業に手を出したのである。
こうしてトルチュガ島は30年間ほどバカニーアの総本山として繁栄した。
◆脚注◆
★8 トルチュガ島の入江
トルチュガ島のたった1つの港だったバステール港には、多くの船が停泊できた。港への水路は2つあり、70門搭載の大型船も入り込めたという。
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カリブの海賊・バカニーア目次 |
●第一章:カリブ海を荒らしまわるバカニーア|1.カリブ海の無法者|2.初期のバカニーアたち|3.カリブ海に散らばったバカニーア|
●第二章:バカニーアの冒険|1.スペイン船を狙え|2.バカニーア時代の初期の船長たち|3.バカニーアの掟|4.総勢400人の大海賊船団|5.バカニーアの悲惨な最期|
●第三章:バカニーアの総本山|1.トルチュガ島の時代|2.バカニーアの生活|3.海賊都市ポート・ロイヤル|
●第四章:バカニーアの船|1.バカニーアの船と17世紀の造船術|
●第五章:残虐非道のヘンリー・モーガン船長|1.ヘンリー・モーガンの名声|2.火船作戦で危機を脱出|3.ヘンリー・モーガンのパナマ攻略|
●第六章:バカニーア時代の黄昏|1.海賊の時代は終わった|2.カリブ海を逃げ出した海賊とパイレーツ| |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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