小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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カリブの海賊・バカニーア |
バカニーアになりたい者は、だれでも簡単になることができた。
海賊に出たいバカニーアは自分で弾薬の準備をし、約束の日に乗船するだけでよかった。難しい理屈はいらなかった。掟を守りさえすれば、その日からだれでもバカニーアになれたのである。
バカニーアにはいろいろな約束ごとがあった。
その1。掟に対して忠誠を誓う
まず始めに、海賊たちはみな掟に対して忠誠を誓った。絶対的な権威を持っていた船長でさえ例外ではない。なぜなら、船長自身、仲間の海賊によって選挙されたからである。
その2。完全な平等
淀の中には完全な平等の義務があった。たとえば遠征中、乗組員は船長から見習い水夫まで同じものを食べた。食料に余裕があれば、各人は好きなだけ飲み食いできた。ただし、酔っ払うことは御法度だった。正しい判断が下せないし、戦うこともできないからである。これを犯した者は、厳しく罰せられた。
その3。横領の禁止
たとえその一部であっても、獲物を横領することは最も大きな罪だった。獲物をどのように配分するかは、出発前の会議で細かく決められ、それを守らなければならなかった。獲物がなければ、もちろん収入はなかった。収入の分配はだいたい次のような具合だった。船長400ペソ、医師200ペソ、船大工175ペソ、水夫100ペソ、見習い水夫50ペソ。それ以上の獲物については、能力や役割に応じて全員に分配された。食料や艤装品は、共同出資で購入された。もっとも、これらを手に入れることは、海賊行為の一部でもあったが。
負傷者に対する保証も細かく決められた。右腕損失の場合は600ペソまたは奴隷6人、左腕あるいは右足損失の場合は500ペソまたは奴隷5人、左足損失の場合は400ペソまたは奴隷4人、片目あるいは指1本の場合は100ペソまたは奴隷1人、という具合だった。
これらの淀にそむいた場合は、罪の程度によっていろいろな形で罰せられた。極刑はいうまでもなく死刑だった。次に無人島などにわずかな食料と共に置き去りにするというのがあった。とりあえず生かしてはおくけれども、もう二度と仲間に加えないというものもあった。
◆船乗りの洗礼◆
バカニーアがこのような洗礼を行ったかどうかはわからないが、 17世紀のフランス人やオランダ人の船乗りたちは、潮流が激しく岩礁が多いような危険な海域を航行する時、奇妙な洗礼の儀式を行ったといわれている。
フランス人たちの儀式は、危険な海域を航海するのが初めての者たちを甲板上に集めて行われた。儀式に参加する者たちは、長い衣服に奇妙な帽子をかぶり、顔を煤(すす)で黒くした。儀式を執り行うのは掌帆長だった。掌帆長は参加者全員をひざまずかせた後で、みんなの額に十字を描き、木刀で肩を打った。それからほかのみんなが水をかぶせるというものだった。
オランダ人の洗礼はもっと残酷だった。受礼者の手足を綱で縛り上げ、メインヤードから吊して、3度海中に沈めるというものだったらしい。ただし、金を払えば、洗礼を受けなくてすんだという。
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カリブの海賊・バカニーア目次 |
●第一章:カリブ海を荒らしまわるバカニーア|1.カリブ海の無法者|2.初期のバカニーアたち|3.カリブ海に散らばったバカニーア|
●第二章:バカニーアの冒険|1.スペイン船を狙え|2.バカニーア時代の初期の船長たち|3.バカニーアの掟|4.総勢400人の大海賊船団|5.バカニーアの悲惨な最期|
●第三章:バカニーアの総本山|1.トルチュガ島の時代|2.バカニーアの生活|3.海賊都市ポート・ロイヤル|
●第四章:バカニーアの船|1.バカニーアの船と17世紀の造船術|
●第五章:残虐非道のヘンリー・モーガン船長|1.ヘンリー・モーガンの名声|2.火船作戦で危機を脱出|3.ヘンリー・モーガンのパナマ攻略|
●第六章:バカニーア時代の黄昏|1.海賊の時代は終わった|2.カリブ海を逃げ出した海賊とパイレーツ| |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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