小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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カリブの海賊・バカニーア |
第五章 残虐非道のヘンリー・モーガン船長
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1.ヘンリー・モーガンの名声
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■ヘンリー・モーガンの登場
カリブ海で活躍したバカニーアの中で、最も有名なのがヘンリー・モーガン船長だ。
残虐非道のかぎりを尽くしたモーガンの海賊行為を知らなければ、カリブ海で活躍した海賊たちの本当の姿はわからないのである。
1635年にイングランドのウェールズに生まれたヘンリー・モーガンは、若いうちにバルバドス島で5年間の年季奉公をした後、ジャマイカ島に移って海賊稼業に身を染めるようになったが、それから彼はぐんぐんと頭角をあらわした。
20歳の時、彼は50トンの船を手に入れ、初めて船長となった。彼はカンペチェ、ホンジュラスを襲い、小さな成功を収めると、続けてグラナダを攻撃し、略奪のかぎりを尽くした。これにより、彼は早くもジャマイカで注目される海賊に出世したのである。
■プエルト・デル・プリンシペの襲撃
モーガンの名声を不動のものとしたのは、プエルト・デル・プリンシペの襲撃だった。1666年、ジャマイカ総督トマス・モデフィードはエドアルド・マンスヴェルト提督にサン・カタリーナ島の攻略を命じたが、15隻の大海賊船団を率いて遠征に出発しようとしていたマンスヴェルト提督は、グラナダから帰ったばかりのモーガンを副提督に任命したのだ。ところが、マンスヴェルトは出航後間もなく、まだ大した成果も上げないうちに急死してしまった。バカニーアたちの緊急会議で新しい提督にモーガンが選ばれた。モーガンは、とにかくなにか手柄をたてて仲間の信頼を得ることが先決だと考え、キューバのプエルト・デル・プリンシペを襲うことに決めた。
この町はキューバ島のほぼ中央にあり、海岸からは多少離れていたため、今まで一度も海賊に襲われたことがなかった。それだけ攻略しにくい土地であり、この計画は無謀でさえあった。とはいえ、ほかの海賊たちにしても手ぶらでジャマイカに帰るわけにもいかず、とにかくモーガンを信じて行動を共にしたのだった。
プエルト・デル・プリンシペ襲撃は見事に成功した。真夜中だったので、住民たちはうろたえるばかりだった。モーガンは住民たちを数か所の教会に監禁すると、拷問し、貴金属から食料、酒に至るまで、町内の財産をことごとく略奪した。海賊たちは何日間もその町に滞在し、飲めや歌えの大騒ぎをしたが、その間住民たちにはなにも与えなかったので、身体の弱い者や年寄りたちは次々と餓死したのだった。
キューバを後にしたモーガンは、さらにコスタリカのプエルト・ベロ(現在のポルトベロ)襲撃を企てた。プエルト・ベロはスペイン植民地としてはハバナ、カルタナへと並ぶほど重要な町で、港には奴隷を積んだ船が絶えず出入りし、建ち並ぶ倉庫には大陸の物産が満ちみちていた。そして、常時300人の守備隊に守られていた。それを知っている海賊の中には、モーガンの計画に反対する者もおり、結局3隻のフランス船がモーガンの計画を否認し、海賊船団から離した。計画に参加したのは12隻、約400名の海賊たちだった。
海賊たちはプエルト・ベロ西方に上陸し、真夜中に町の城砦の1つを襲うと、火薬を仕掛けて守備隊もろともそれを爆破した。そのため、町中があっという間にヒステリックな恐慌状態に陥った。
しかし、町の中には別の城砦があり、スペイン人総督はその城砦にたてこもると、海賊たちに砲火を浴びせ始めた。モーガンは、捕虜にした修道僧や修道尼に命令し、総督に降伏勧告を行った。それを総督が無視すると、彼は修道僧や修道尼に城砦の壁に梯子を建てかけるように命じた。このため残酷な事件がおこった。スペイン人総督は梯子を建てようとする修道僧や修道尼をことごとく射殺してしまったのである。しかし、いくつかの梯子が確実に建てかけられ、海賊たちはそれをよじ登ると城砦内に突撃した。やがてスペイン人総督が殺されると、スペイン守備隊は海賊の前に降伏した。
町を占領したモーガンは、なにからなにまで略奪したうえ、さらにパナマのスペイン総督に対し、捕虜たちの身代金として10万ペソを要求した。彼は捕虜を皆殺しにし、町全部を焼き尽くすと脅したので、総督は彼の要求を飲まないわけにいかなかった。
こうして大海賊船団は高価な略奪品を満載し、まるで英雄のようにポート・ロイヤルに帰還したのだった。
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カリブの海賊・バカニーア目次 |
●第一章:カリブ海を荒らしまわるバカニーア|1.カリブ海の無法者|2.初期のバカニーアたち|3.カリブ海に散らばったバカニーア|
●第二章:バカニーアの冒険|1.スペイン船を狙え|2.バカニーア時代の初期の船長たち|3.バカニーアの掟|4.総勢400人の大海賊船団|5.バカニーアの悲惨な最期|
●第三章:バカニーアの総本山|1.トルチュガ島の時代|2.バカニーアの生活|3.海賊都市ポート・ロイヤル|
●第四章:バカニーアの船|1.バカニーアの船と17世紀の造船術|
●第五章:残虐非道のヘンリー・モーガン船長|1.ヘンリー・モーガンの名声|2.火船作戦で危機を脱出|3.ヘンリー・モーガンのパナマ攻略|
●第六章:バカニーア時代の黄昏|1.海賊の時代は終わった|2.カリブ海を逃げ出した海賊とパイレーツ| |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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