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フランボワイヤン・ワールド
海の冒険者たち
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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イオの末裔
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ヴァイキングの来襲
第一章 略奪者ヴァイキング

1.ヴァイキング時代の開幕

 ヴァイキングという言葉を聞いて第一に思い起こすイメージは、勇猛にして野蛮、略奪と残虐の限りをつくす海賊というものだろう。
 しかし、このようなヴァイキングのイメージは、襲撃を受けたキリスト教圏の人々の手で残された数多くの記録から作り上げられたものだ。
 たとえば、西ヨーロッパに残された記録『アングロ・サクソン年代記』は、ヴァイキング時代開幕を告げる衝撃的な事件を、まさに地獄絵のように恐怖に満ちた言葉で伝えている。

 793年6月8日。イングランド北部のノーザンバーランド地方の陸沿いにある小島ヘブリーデン島では、初夏の好天に恵まれたこの日、リンディスファーンの修道士たちが、冬に備えて干し草の取り入れに忙しく働いていた。
 修道士たちは、みな敬虔で信仰心に篤く、困った人がいたらいつでも助けてあげようという気持ちにあふれていた。
 こんな修道士たちの前に、今まで見たこともない不思議な形をした数隻の船が姿をあらわしたのは、ちょうど正午頃のことだった。数隻の船には四角い横帆が張ってあり、水平線のあたりからぐんぐんとヘブリーデン島に近づいてくるようだった。修道士たちはこれを見て思った。
「見知らぬ航海者たちは、わたしたちの助けを必要としているのだろう」
「水や食料を望んでいるのだろう」
「沖合で嵐にでも巻き込まれ、今日一日だけ、この小さな平和な島でゆっくりと休養したいのだろう」

 こうしてリンディスファーンの修道士たちは、奇怪な船が波打ち際に横づけになった瞬間まで、豊作を喜び、神に感謝しながらその日の労働に勤しんでいた。修道院からは数人の修道女や修道士が見知らぬ航海者たちを迎えるため、海岸へと向かっていた。

 しかし次の瞬間、平和な一日が引き裂かれたのだった。
「うおーっ」という恐ろしい叫び声を上げながら、一気に船から飛び降りた金髪で赤ら顔の大勢の男たちが、彼らを迎えに出た修道士たちに襲いかかったのだ。
 男たちは斧や刀を振りかざし、修道士たちの何人かを血祭に上げ、何人かを溺死させ、何人かを縛り上げ、何人かの衣服を奪った。
 相手が女でも、その男たちは容赦なく撲殺した。
 それから男たちは、わけのわからないわめき声を上げながら、今度は修道院を襲った。
 彼らは教会の財宝を略奪し、地下室や食料貯蔵庫を空っぽにした。牧草地に放牧されていた牛や羊まで、彼らは屠殺して持ち帰った。
 その上、すべての建物が彼らの手で焼き払われてしまったのだ。それから男たちは、自分たちの勝利に酔いしれているように、口々に何かを叫びながら奇怪な形の竜頭船に引き上げると、すぐにもどこかわからぬ場所に姿を消してしまった。
 後に残されたのは、焼け落ちた建物と血まみれの死体と荒れ果てた風景だけだった。

 この事件は、当時の西ヨーロッパ世界に大きな衝撃を与えた。西ヨーロッパ人にとって、修道院はあくまでも神聖不可侵な場所であり、そこを襲うなどということは考えられないことだったのだ。
 当時、ローマ・カトリック教会は徐々に勢力を拡大しており、修道院には信者たちから寄進された財宝や貨幣が集中していた。それでも修道院が無防備でいられたのは、このような西ヨーロッパ人の信仰心があったからだった。 しかし、異文化を持つヴァイキングたちにとって、修道院は単に防備の手薄な宝物庫にしか見えなかったのであるo Lかも、リンディスファーン奇襲以降、独特な形のヴァイキング船を操る野蛮人たちは、西ヨーロッパのアイルランド、イングランド、フランクの海岸部に堰を切ったように進攻し始めたのだ。こうして8世紀未から11世紀中葉までの、250年間に渡るヴァイキング時代が到来したのである。西ヨーロッパの歴史記述者たちが、ヴァイキングを憎悪と恐怖の対象としたのも、まったく当然のことなのだ。

●アイルランドのラウンドタワー
最初の襲撃以来、防備の手薄な修道院は恰好の餌食となった。そのためアイルランドでは修道院の多くが円塔 (ラウンドタワー)を築き、ヴァイキングの襲撃に備えたほどだった。
ヴァイキングの来襲目次
●第一章:略奪者ヴァイキング//|1.ヴァイキング時代の開幕2.ヴァインキングの正体は?
●第二章:ヴァイキング、東へ西へ//|1.ヨーロッパ中に出現したヴァイキングの猛威2.数回にわたり同じ都市に来襲
●第三章:ヴァイキング船、来襲す!//|1.船はヴァイキングの誇り2.ゴクスタッド船3.ヴァイキングの航海方法4.いろいろなヴァイキング船
●第四章:ヴァイキングの戦い//|1.ヴァイキングの武器と防具2.ヴァイキングの戦闘方法3.ヴァイキングの軍事基地
●第五章:ヴァイキングの生活//|1.ヴァイキングの農場2.ヴァイキングの農場での暮らし3.交易や略奪への旅
●第六章:ヴァイキングの社会と法律//|1.スカンジナビア社会の状況2.家族のきずなと復讐劇3.ヴァイキングの集会4.決闘と追放
●第七章:エピローグ//|1.ヴァイキング時代の幕切れ2.平和喪失者と植民活動…もうひとつのヴァイキング
海賊学

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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