海の冒険者たち◆ヴァイキングの来襲

ようこそ。ここは草野巧のホームページです。

フランボワイヤン・ワールド

小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。

《内容》
　教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆（鬼塚サヤ）の孫として生まれた鬼塚宏樹（主人公＝私）は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のＫ市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

Amazon.co.jp ウィジェット

ヴァイキングの来襲

第六章　ヴァイキングの社会と法律

２．家族のきずなと復讐劇

　公権力が存在しないヴァイキングの社会は、完全に実力の社会だった。他人の所有する財産を決闘によって奪い取ることさえ可能だったのである。
　伝説『エイルの人々のサガ』には、ソーロールヴという男が土地を手に入れるという目的のためにウールヴァルという男に決闘を申し込み、まんまとその土地を手に入れたと語られている。

　このような社会で自分の身を守るには、個人的な結びつきを強固にする以外になかった。個人的な結びつきとは、首領と配下、結婚、血縁、友情などだった。なかでも最も大切にされたのは、家族・血族のきずなだった。
　家族たちはどんな時にも互いに守り合うことを信条としていた。もしも、一族のだれかが被害に合えば、一致団結して加害者に復讐したのだ。
　一度復讐劇が始まると、それは長引いた。一族だけでなく友人や配下をも巻き込み大規模な戦闘が行われることもあったのだ。しかし、戦闘状態が永遠に続くものではなかった。いつかは必ず、争う者同士が疲れきってしまった。そうなると、牛や羊の一定の数、つまり賠償金によって争いが決着することもあった。

◆コラム◆リーグの歌

　ヴァイキングたちは、社会に存在する３つの階級を神が定めたものと考えていた。１０世紀頃の詩『リーグの歌』では、３つの階級の起源は次のように説明されている。

　昔、スカンジナビアの国を旅する神がいた。神はある時貧しい夫婦の家に泊まった。それからしばらくして、貧しい夫婦の間に「黒くて、ごつごつして、醜い」子供が生まれた。彼はスレール（奴隷）と名づけられ、奴隷の祖先となった。次に神は、ほどよく豊かな夫婦の家に泊まった。この夫婦から、自由民の祖先となる「血色がよくはつらつとした顔つき」のカルル（自由民）という子供が生まれた。最後に神は、とても豊かな夫婦の立派な家に泊まった。この夫婦から貴族となるべきヤルル（支配者）という子供が生まれた。
　このような伝説がヴァイキングの国々に広く伝えられていたのである。

ヴァイキングの来襲目次

海賊学

Amazon.co.jp ウィジェット

小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。