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フランボワイヤン・ワールド
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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イオの末裔
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イオの末裔
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ヴァイキングの来襲
第一章 略奪者ヴァイキング

2.ヴァイキングの正体は

 当時の西ヨーロッパ人の目には、恐怖の略奪者としてしか映らなかったヴァイキングだが、今日では歴史学者や考古学者の丹念な研究によって、彼らの正体も文化もある程度まで正確に知ることができる。
 それによれば、ヴァイキングの正体は北ヨーロッパのスカンジナビア地方に住んでいたスカンジナビア人だったのである。

●スカンジナビア三国

 スウェーデン、ノルウェー、デンマークというスカンジナビア三国には太古の昔から人間が住んでいた。彼らは4~5世紀を頂点として南へと移動していった人々と同じ民族、すなわちゲルマン民族だった。
 しかし、移動したゲルマン人たちがローマ帝国の滅亡に一役買ったとはいいながらも、徐々にローマ的文化の中に飲み込まれていったのに対し、スカンジナビア人たちは古くからの文化を守り、極めて北欧的な精神を養っていたのだ。
 その精神は激しい自尊心、闘争心、厳格さを持ったもので、彼らを英雄的な行為に駆りたてるに十分なものだった。
 これら三国の人々は、しばしば互いに争うことがあったが、それでも共通の文化によって固く結ばれていた。今日では、スカンジナビア三国はそれぞれに異なる言語を持っているが、ヴァイキング時代には共通の言語を持っていたのである。
 今日でも、スカンジナビア人の使用したルーン文字(★2)が刻まれた刀やベルトのバックルや櫛、記念のルーン石碑(★3)などが各地で発見され、彼らの言語の共通性を証明している。

●ルーン石碑

 言語以上に彼らを結びつけたものは共通の宗教だった。
 彼らの勇敢さは彼らの信じた神話や宗教にはっきりと見て取ることができる。
 彼らは主神オージンを戦いの神として信仰していた。戦いの中で勇敢に死んだ者たちは、このオージンによってヴァルハラの神殿へ迎えられる。そこで戦士たちは、来るべきラグナロクで神々の先兵(エインへリャル)となるために備えるのである。
 臆病者は決してそこには迎えられない。また病死した者も迎えられない。そのためスカンジナビア人にとっては、戦死こそが最上の死だった。病死しようとする者は、仲間から槍で殺されることさえ望んだ。このような精神こそ西ヨーロッパの人々を震憾させた「ヴァイキング精神」そのものだったのだ。

 さらにスカンジナビア三国には次から次へと多数の有力者が出現し、その支配地城は各国に渡ったため、それぞれの関係が非常に入り組み人的交流も盛んだった。
 スカンジナビア三国といっても、当時は現在のように確かな国境があったわけではなかったのだ。たとえばハラルド青歯王、スヴェン八髭王、クヌート大王などはデンマークの王だが、その支配地域はノルウェー南部やスウェーデン南部にまで及んだのである。

 こうしたスカンジナビア人たちが他国へ進攻を始め、ヴァイキングと呼ばれるようになったのにはいくつかの理由と目的があった。

 略奪を目的とした襲撃は、ヴァイキング時代当初のものだった。ヴァイキングにとって海賊行為は、その故郷においてさえ富を得るための当たり前の手段だった。夏の農閑期に、この当たり前の手段を彼らはいわば出稼ぎ感覚で行ったのである。また勇猛を誇るスカンジナビア人にとって、略奪は自分の勇敢さを示す名誉ある行為でさえあった。少年たちは、この略奪行為に加わることで、初めて一人前の大人として認められたのだ。

 しかし、スカンジナビア人たちの本来の目的は、征服と植民にあった。その理由の最大のものは人口の過剰であり、それに伴う土地不足、食料不足だった。もともと寒さが厳しいうえに、北には奥深い森林地帯が彼らの行く手を妨げていたので、かつてのゲルマン人の民族移動と同様に、目指すは南、そして西と東であった。

 植民活動は 9世紀後半から活発になった。多くは武力による征服の形を取ったが、スウェーデン人たちはノルウェー人やデンマーク人と異なり、より平和的な方法、すなわち交易を中心としたヴァイキング行為を展開した。彼らは東ヨーロッパに大きな交易基地を建設し、ビザンチンやアジア方面とも交易を行い、大いに栄えた。このように長期間滞在する根拠地を建設することは結果的には植民を行うことと同じだった。

 ところで、ヴァイキングの身体つきは次の2タイプに分けられる。

①高身長、赤ら顔または色白、金髪、青い目、長い頭部
②低身長、暗い顔、黒い髪、褐色の目、円い頭部

 スウェーデン人ヴァイキングと交渉のあったアラビア商人などは、彼らの肉体は「これ以上に完全な体格を見たことがない」程だと記録している。ノルマンジーを分割されたロロ大公は身体が大きく、どんな馬も彼を乗せられなかったほどだといわれている。
 しかし、考古学的な調査で確認されたところでは、ヴァイキングといってもそれほど巨大ではなかったようである。当時の平均身長は、デンマーク人が170cm、スウェーデン人が172cmという結果が出ている。

◆コラム◆ヴァイキングの呼び方

 8世紀末から海外へと進出していったスカンジナビア人のことをヴァイキングと呼ぶようになったのはもっと後のことだった。ヴァイキングという言葉は、中世のスカンジナビアの「ヴィーキング」から来ている。それは「海外での略奪行為」という意味を持っていた。したがって、植民や交易は、本来ならばヴァイキングには含まれなかった。しかし、西ヨーロッパ人の目には、スカンジナビア人のすべてが略奪者のように見えたので、彼らのことをやがてヴァイキングと呼ぶようになったのである。
 これに対して、ヴァイキング自身は自分たちことをそれぞれの出身地によって区別していた。「ワッブランドの民」「ホルザランドの民」という具合だった。また、ヴァイキングの呼称が一般的になるまでは、下のように国によってヴァイキングの呼び方は異なっていた。

●フランク人:「北欧の民」(ノルマンニ)
●アングロ・サクソン人:「デイン人」(ダニ)
●ドイツ人:「とねりこの民」(アスコマン二)
●アイルランド人:「異国人」(ガル)、「荒波の国の民」(口ッホランナッホ )
●ビザンツ人、アラブ人:「ロス」、「ルス」
●スペイン人:「異教徒」(マジュス)

◆脚注◆

★2 ルーン文字
北欧で3~13世紀にわたって用いられた線形文字。魔力を秘めていると考えられ、主に呪術に使用された。ルーンとは「秘密」「ささやき」といった意味。

★3 ルーン石碑
ルーン石碑はルーン文字が刻まれた石碑で、スカンジナビア三国各地で発見されている。内容は家族の内情から王の偉業にいたるまで非常にさまざまである。
ヴァイキングの来襲目次
●第一章:略奪者ヴァイキング//|1.ヴァイキング時代の開幕2.ヴァインキングの正体は?
●第二章:ヴァイキング、東へ西へ//|1.ヨーロッパ中に出現したヴァイキングの猛威2.数回にわたり同じ都市に来襲
●第三章:ヴァイキング船、来襲す!//|1.船はヴァイキングの誇り2.ゴクスタッド船3.ヴァイキングの航海方法4.いろいろなヴァイキング船
●第四章:ヴァイキングの戦い//|1.ヴァイキングの武器と防具2.ヴァイキングの戦闘方法3.ヴァイキングの軍事基地
●第五章:ヴァイキングの生活//|1.ヴァイキングの農場2.ヴァイキングの農場での暮らし3.交易や略奪への旅
●第六章:ヴァイキングの社会と法律//|1.スカンジナビア社会の状況2.家族のきずなと復讐劇3.ヴァイキングの集会4.決闘と追放
●第七章:エピローグ//|1.ヴァイキング時代の幕切れ2.平和喪失者と植民活動…もうひとつのヴァイキング
海賊学

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イオの末裔
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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