小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
|
《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
|
大航海の時代 |
第一章 豊かなるインド
|
1.世界で最も盛んな貿易圏
|
大航海時代以前のヨーロッパ人は、東洋についてほとんど知らなかった。非常に長い間、ヨーロッパ人の世界は限られた小さな地域に閉じ込められていたのだ。
中世に活躍したヴァイキングは、確かにヨーロッパ人にとって未知なる存在であり、大きな衝撃だった。しかし、ヴァイキングとヨーロッパ人は共にゲルマン民族であり、ヴァイキングは、結局ヨーロッパ世界に同化していった。ヨーロッパ人は、それ以降も小さな世界に閉じ込められ、東洋との間には大きな壁が存在していたのである。
インドは、もともと多種多様の植物が生い茂る豊かな土地であり、非常に古くから各国の航海者たちが集まる場所だった。シバの女王がエルサレムのソロモン王を訪れたのは、前10世紀頃のことだが、その時女王は金銀財宝のほかに、インドの香料を贈り物にしたといわれている。
中国人たちも、紀元前からインドに至る航路を知っていた。中国には海賈(★1)と呼ばれる冒険商人が存在し、中国産の絹織物や黄金と、インドや東南アジアの真珠、宝石、ガラス製品などが交易されたのである。7世紀になってイスラム帝国が誕生してからは、イスラム商人たちが活躍するようになった。第一期正統カリフ(★2)の時代(631~661年)、イスラム商人は、早くも東に誕生した唐(618~907年)との交易を開始していた。このようなイスラム教徒の経済活動は、陸上の隊商貿易(キャラバン)によっても積極的に行われた。イスラム商人の手で、インド洋貿易圏はかつてない繁栄期を迎えたのである。それがどれほど繁栄し、どれほど豊かだったかは次の逸話にも示されているだろう。
1498年、ポルトガル人ヴァスコ・ダ・ガマが、ヨーロッパ人で初めて喜望峰回りでカリカットに到着した時のことだ。この時、ガマは領主と円滑な通商関係を結ぶため、次のような贈り物を用意した。
12枚の帯、緋色の頭巾4枚、帽子6、4連の珊瑚の玉、6個の鉢を入れた包み、砂糖の箱1、油入りの樽2、密入りの樽2(『大航海叢書ヴァスコ・ダ・ガマ航海記』/野々山ミナコ訳より)
ところが、これらの贈り物を見た領主の執事は、嘲笑して次のようにいったのだ。
「とてもこんなものは王様に差し上げるべき代物ではない。メッカやインディア各地から来る最も貧しい商人でさえ、これよりはましな贈り物を持って来た。なにか贈り物をしたいなら金を持って来るがいい」
ガマの用意した贈り物は執事ばかりか、イスラム商人たちにも馬鹿にされたのだった。
◆脚注◆
★1 海賈(かいこ)
インド洋がイスラム商人たちの海だったのに対して、東シナ海は中国人の海だった。中国人たちは紀元前の時代から東シナ海を越えてマラッカあたりまで航海し、積極的に貿易活動を行っていた。こうした商人たちが海賈である。
★2 カリフ
イスラム国の最高権力者のこと。マホメットの死後、選挙によって選ばれた第1代のアブー・バクルから第4代のアリーまでを正統カリフの時代という。以降、ウマイヤ朝、アッバース朝では世襲カリフとなる。
|
大航海の時代目次 |
●第一章:豊かなるインド//|1.世界で最も盛んな貿易圏|2.イスラム商人の時代|3.ヨーロッパ世界と東洋|
●第二章:航海者たちの迷信//|1.怪物からプレステ・ジョアンの国まで|2.ヨーロッパ人の世界地図|
●第三章:大洋を越えた航海者たち//|1.イタリア商人の影響|2.航海者エンリケ王子|3.ポルトガル王の派遣した航海|4.西に向かったスペイン|
●第四章:カラベル船とキャラック船//|1.大航海時代を可能にしたカラベル船|2.キャラック船とサンタ・マリア号|3.大航海時代初期の武器|
●第五章:船乗りたちの生活//|1.古い船乗りと新しい船乗り|2.船乗りたちの日課|3.最低レベルの生活条件|
●第六章:スペインの繁栄//|1.ポルトガルの衰退|2.スペインの繁栄|
●第七章:レパントの海戦//|1.オスマン・トルコ|2.キリスト教神聖同盟の結成|3.最後のガレー船による戦い| |
|
小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
|
《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
|