小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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大航海の時代 |
■ポルトガルの衰退
大航海時代の初期、東洋へ到達しようという希望を抱き、ポルトガルとスペインは激しく火花を散らした。その結果、ポルトガルはインドに、スペインはアメリカに到達した。結果だけを見ると、当初の望みをかなえたのは最初から時代をリードしたポルトガルだった。ところが両国を待ち受けていた運命は、まったく別なものになってしまったのである。
1498年、ガマがヨーロッパ人として初めて海路カリカットへ到達してから、ポルトガル人たちは、暴力的なやり方でインドとの香料貿易に乗り出した。インド洋貿易圏は、長い間イスラム商人の安定した支配下にあったため、あちこちで武力衝突が避けられなかった。しかし、ポルトガルの強引なやり方が有効だったことは確かだった。
1500年にペドロ・アルバレス・カブラルがカチンで大量の香料を買いつけるのに成功して以来、ポルトガル人の手でインドから直接ヨーロッパに輸入される香料の量は年々増大し、それと反比例するように、アレクサンドリア、カイロといった以前の香料市場で香料が不足するようになっていった。
ポルトガル人たちは、インドでゴアやマラッカを占領するほか、アフリカ沿岸にも拠点を建設し、新しい香料貿易ルートを確立したのだ。
ポルトガル人の香料貿易は、ヨーロッパにおいて香料革命といえる状態を作り出した。大量の香料がインドから直接輸入されたため、香料の値段が下落したのだ。1505年の時点で、リスボン市場ではカイロ市場の約六分の一の値段で取り引きされた。しかし、現地価格はリスボン市場の価格の十分の一だったから、ポルトガルは莫大な利益を手に入れることができたのである。
しかし、早くも150年頃からポルトガルの勢力は衰退し始めた。
当時のポルトガル人は、インドだけでなく中国や日本とも貿易を行ったように、非常に広範囲に渡って活動していた。このような広範囲の活動がポルトガルから精力を奪ってしまったのだ。もともとポルトガルは、人口200万人程度の小国だったが、16世紀中葉には100万人にまで減少してしまった。冒険航海の時代を通じて、優れた人物たちが海上で命を失ったこと、また外国で活動するようになったことなども、ポルトガル本国の力を衰退させる原因になったといわれる。
インドの香料貿易にしても、ポルトガル人が望んだようにそれを独占することはできなかった。イスラム商人たちの活動は根強く、ポルトガルの香料貿易が最盛期を迎えた1540年頃から、古い紅海経由の香料ルートが再び活発さを増すようになった。こうして、ポルトガルがヨーロッパに運ぶ香料の量も年々減り続けた。1540年頃に、ポルトガルは約5万キンタル(1キンタル=46kg)の香料をヨーロッパに運んだが、その世紀の終わりにはその量は五分の一にまで減少してしまった。
しかも、1581年には、スペインのフェリペ2世がポルトガル王を兼任(★16)したことで、ポルトガルは事実上スペインの支配下におかれることになったのである。
◆脚注◆
★16 フェリペ2世のポルトガル王兼任
1578年にポルトガル王セバスチャンが死ぬと、国内で王位継承問題が起こった。スペイン王フェリペ2世は、ポルトガル王マヌエル1世の孫にあたることから、王位継承問題につけ込み、1580年にスペイン王でありながらポルトガルの王位についた。これによりポルトガルは実質的にスペインに合併された。この状態は1640年まで続いた。
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大航海の時代目次 |
●第一章:豊かなるインド//|1.世界で最も盛んな貿易圏|2.イスラム商人の時代|3.ヨーロッパ世界と東洋|
●第二章:航海者たちの迷信//|1.怪物からプレステ・ジョアンの国まで|2.ヨーロッパ人の世界地図|
●第三章:大洋を越えた航海者たち//|1.イタリア商人の影響|2.航海者エンリケ王子|3.ポルトガル王の派遣した航海|4.西に向かったスペイン|
●第四章:カラベル船とキャラック船//|1.大航海時代を可能にしたカラベル船|2.キャラック船とサンタ・マリア号|3.大航海時代初期の武器|
●第五章:船乗りたちの生活//|1.古い船乗りと新しい船乗り|2.船乗りたちの日課|3.最低レベルの生活条件|
●第六章:スペインの繁栄//|1.ポルトガルの衰退|2.スペインの繁栄|
●第七章:レパントの海戦//|1.オスマン・トルコ|2.キリスト教神聖同盟の結成|3.最後のガレー船による戦い| |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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