ようこそ。ここは草野巧のホームページです。
フランボワイヤン・ワールド
海の冒険者たち
フランボワイヤン・ワールド・トップ海の冒険者たち目次
 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。


大航海の時代
第三章 大洋を越えた航海者たち

2.航海者エンリケ王子

 東洋を目指すヨーロッパ人の冒険航海をリードした第1の人物は、だれが何といってもポルトガルの航海者エンリケ王子だった。

 航海者エンリケ王子(Prince Henry The Navigater)は航海者と呼ばれているものの、彼自身が冒険航海に出たことはなかった。彼は、ポルトガル人の冒険航海と航海術の研究において、終生、指導者に撤した人だった。

 ポルトガル王ジョアン1世の5番目の子供として生まれたエンリケ親王は、1415年、21歳の時に兵を起こし、ジブラルタル海峡のアフリカ側にあるイスラム教徒の要地セウタを攻略した。彼はこの時、アフリカ内部やインドに関する情報に接したが、その中にプレステ・ジョアンの国を連想させるような情報も含まれていたのだろう。それ以来、アフリカを周航してプレステ・ジョアンの住むエチオピアに到達することがエンリケ王子の目的となったのである。

 エンリケ王子は、1418年に中央の政界を退くと、大西洋を臨むサグレス岬に移り住んだ。サグレス岬は「大陸の終わるところ、大海の始まるところ」といわれる場所で、航海術の研究や冒険航海の推進には最適だった。エンリケ親王は、そこに自分のための小さな宮殿のほか、天文台や従者のための村を建設し、出費をいとわずに航海用具の製作者や地図製作者、天しようへい文学者などを多数外国から招聴して航海術の研究を行い、優秀な船長を集めて冒険航海を組織したのだ。

 エンリケ王子が指導した冒険航海は、大西洋中に浮かぶカナリア、マディラ、アソーレスなどの島々を植民地化することから始まった。これらの島々は、エンリケ以前にもジェノバ人などによってすでに知られていたが、エンリケは計画的な探検や植民によって航海の前進基地として利用できるような形に成長させたのだった。
しかし、エンリケ揮下の航海者たちは10年以上もの間、これらの島々の周りを探検するだけで、それ以上先へは進もうとしなかった。カナリア諸島の目と鼻の先のアフリカ岸に、そこを越えると二度と戻れないというポジャドール岬があったからだ。恐ろしさのあまり、船乗りたちはその手前から引き返してしまうのである。

 1433年、エンリケはボジャドール岬を越えるため、最も優秀な航海者ジル・エアネスを派遣したが、彼もまたカナリア諸島から引き返してしまった。この時ばかりはエンリケ王子もさすがに腹を立てたといわれる。
「おまえたちがそんな迷信を信じる気持ちが私には理解できない。そんな迷信には少しも根拠がない。羅針盤も海図も使うことができないような船乗りがそんなことをいっているのだ。だから、おまえはもう一度出発し、何があっても航海を成功させなければいけない。もし成功しなかったら、帰ってこなくてもいい 。」
 こうしたことがあって、ジル・エアネスは1434年の2度目の挑戦で、ついにボジャドール岬を越えることに成功したのである。

 恐ろしい迷信に打ち勝ったジル・エアネスの航海以降、エンリケ王子の冒険は比較的順調に進んだ。航海者たちは、恐れることなくアフリカ西岸を南下していった。
 これ以降の主な航海は、上の表の通りである。
 エンリケ王子は、1460年、最後の航海の結果を見ることなくサグレスで他界したが、彼の仕事によってポルトガルの海外進出は他国に先んじることになったのである。
 しかし、エンリケ王子が派遣した航海の中に、現在までヨーロッパ人の歴史の汚点として残るようなものがないわけではなかった。
 1441年のゴンザルヴェスとトリスタンの航海がそうだった。 2人の船長は、リオ・ド・オウロでアフリカ原住民の奴隷を船いっぱいに積み込んで帰還したからだ。この結果、以降のポルトガル人のアフリカ冒険航海には、ほとんどの場合に奴隷狩りという非人道的な交易の影がつきまとうことになったのである。

◆エンリケ時代の航海
1441年 アンタン・ゴンサルヴェスとヌーノ・トリスタンがリオ・ド・オウ口に到達する。
1445年 ディニス・ディアスがヴェルデ岬、更にアフリカ最西端を巡り、ギニアに到達する。
1447年 アルヴァ口・フェルナンデスがコナクリに到達する。
1455年 アルヴイーゼ・ダ・力ダモス卜がアルギム付近のアフリカ内陸部を探検する。
1456年 ディオゴ・ゴメスがガンビア河を逆上り、カントールの町に到達する。
1460年 ペデロ・デ・シントラがリベリア海岸に到達する。
大航海の時代目次
●第一章:豊かなるインド//|1.世界で最も盛んな貿易圏2.イスラム商人の時代3.ヨーロッパ世界と東洋
●第二章:航海者たちの迷信//|1.怪物からプレステ・ジョアンの国まで2.ヨーロッパ人の世界地図
●第三章:大洋を越えた航海者たち//|1.イタリア商人の影響2.航海者エンリケ王子3.ポルトガル王の派遣した航海4.西に向かったスペイン
●第四章:カラベル船とキャラック船//|1.大航海時代を可能にしたカラベル船2.キャラック船とサンタ・マリア号3.大航海時代初期の武器
●第五章:船乗りたちの生活//|1.古い船乗りと新しい船乗り2.船乗りたちの日課3.最低レベルの生活条件
●第六章:スペインの繁栄//|1.ポルトガルの衰退2.スペインの繁栄
●第七章:レパントの海戦//|1.オスマン・トルコ2.キリスト教神聖同盟の結成3.最後のガレー船による戦い
大航海時代

 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
Copyright(C) 草野巧 All Right Reserved