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フランボワイヤン・ワールド
海の冒険者たち
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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イオの末裔
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《内容》
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大航海の時代
第七章 レパントの海戦

2.キリスト教神聖同盟の結成

 オスマン・トルコの勢力が地中海に進出したことで、最も被害を受けたのはヴェネチア共和国だった。ヴェネチアの商人たちが活躍していた東地中海は、トルコと目と鼻の先で、ヴェネチア植民地のキプロス島がオスマン軍の進撃を受けたことでもわかるように、その被害は直接的だった。しかし、地中海の状況がここまで悪化しても、ほかのヨーロッパ諸国はヴェネチアに対して冷淡だった。地中海貿易でヴェネチアが手に入れる利益-の嫉みがあったからだ。
 ヴェネチアの窮状を見るに見かねたローマ教皇ピウス5世は、イスラム勢力を地中海から駆逐するため、ヨーロッパ各国に対してキリスト教神聖同盟を結成することを呼びかけた。しかし、ヨーロッパの大国で教皇の呼びかけに同意したのはフェリペ2世のスペインだけだった。イギリス、フランス、神聖ローマ帝国は、ついに教皇の意見に同意しなかった。しかし、大国スペインが同意したことの意義は大きかった。これによって、まがりなりにもキリスト教神聖同盟が結成されたのである。

 キリスト教神聖同盟が結成されると、同盟軍側はすぐに艦隊の編成にとりかかった。
 当時、大航海に乗り出す船は、カラベル船やキャラック船だったが、これらの船は戦艦ではなかった。地中海では、戦艦といえばギリシアの昔からガレー船であり、同盟参加国の海軍もガレー船が主力だった。
 ガレー船による海戦は、敵艦と離れて大砲を打ち合うといったものではなかった。敵艦の船腹に船首から突っ込み、船の先端に突き出した衝角で敵船に穴を開ける。その後、船内に乗り組んでいた兵士が敵船に乗り移り、地上での戦いと同じように、槍や剣で敵兵と白兵戦を繰り広げる。ガレー船による海戦はこういうものだった。一応、大砲も乗せられていたが、大砲だけで戦うことはなかった。
 したがって、艦隊を編成するということは、ただ単に船を集めることではなく、多数の戦闘員を集めることでもあった。ガレー船は、オールで推進する船だったから、多数の奴隷の漕ぎ手も必要だった。

 同盟軍側では、スペインとヴェネチアが中心となって、必要な戦闘員、戦艦を準備し、シチリア島のメッシナ港に集結した。
 その内容はおおよそ下表の通りだが、全体としてみるとスペインが四分の三を負担したといわれている。艦隊集結後、何度かの交渉の結果、同盟軍艦隊はオーストリア公でフェリペ2世の腹違いの弟ドン・ファン・デ・アウストリアを指令長官とし、全艦隊を5つの船隊に分けて戦うことが決められた。
 6隻のガレアス船は、中央、左翼、右翼の前方に2隻ずつ配置することになった。

●艦隊の配置

●各国の戦艦分担
ヴェネチア船団 ガレー船106隻、ガレアス船6隻
スペイン船団 ガレー船90隻
教皇庁船団 ガレー船12隻
マルタ船団 ガレー船3隻

●漕ぎ手、戦闘員と経費の分担
漕ぎ手 約4万人
戦闘員 約4万人
戦闘員 スペイン 二分の一、ヴェネチア 三分の一、法王庁 六分の一

●キリスト教同盟軍の艦隊
船隊 規模 指揮官 指揮官所属国家
①中央船隊 ガレー船62隻 ドン・ファン・デ・アウストリア オーストリア
②左翼船隊 ガレー船55隻 アゴスティノ・バルバリゴ ヴェネチア
③右葉船隊 ガレー船57隻 アンドレア・ドリア ジェノバ
④前衛船隊 ガレー船7隻 ファン・デ・コルドナ スペイン
⑤予備船隊 ガレー船30隻 サンタ・クルス スペイン

●オスマン帝国の艦隊
船隊 規模 指揮官
①中央船隊 ガレー船96隻 アリ・パシャ
②右翼船隊 ガレー船56隻 モハメッド・シロッコ
③左翼船隊 ガレー船94隻 ウルチ・アリ

●キリスト教神聖同盟参加国
①スペイン、②ヴェネチア共和国、③トスカーナ大公国、④マントヴァ公国、⑤フェラーラ公国、⑥サヴォイア候国、⑦ウルビーノ公国、⑧ルッカ共和国、⑨ジェノバ共和国、⑯ローマ法王庁、⑪マルタ島の聖ヨハネ騎士団
大航海の時代目次
●第一章:豊かなるインド//|1.世界で最も盛んな貿易圏2.イスラム商人の時代3.ヨーロッパ世界と東洋
●第二章:航海者たちの迷信//|1.怪物からプレステ・ジョアンの国まで2.ヨーロッパ人の世界地図
●第三章:大洋を越えた航海者たち//|1.イタリア商人の影響2.航海者エンリケ王子3.ポルトガル王の派遣した航海4.西に向かったスペイン
●第四章:カラベル船とキャラック船//|1.大航海時代を可能にしたカラベル船2.キャラック船とサンタ・マリア号3.大航海時代初期の武器
●第五章:船乗りたちの生活//|1.古い船乗りと新しい船乗り2.船乗りたちの日課3.最低レベルの生活条件
●第六章:スペインの繁栄//|1.ポルトガルの衰退2.スペインの繁栄
●第七章:レパントの海戦//|1.オスマン・トルコ2.キリスト教神聖同盟の結成3.最後のガレー船による戦い
大航海時代

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