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フランボワイヤン・ワールド
海の冒険者たち
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イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
大英帝国を築いた海賊たち
第一章 海賊が作った大英帝国の基礎

1. 60万ポンドをもたらした大遠征

 大航海時代初期、ヨーロッパの大国といえばスペインだった。スペインは、アメリカ大陸から莫大な富を手に入れ、「レパントの海戦」を勝利に導いた。その時、大航海時代は、まさにスペインのためにのみ存在しているかに見えた。しかし、それも束の間のことだった。ヨーロッパ大陸の西の海に浮かぶ小さな島国の船乗りたちが、大国スペインに真っ向から挑戦し始めたのである。ここでは、これらの船乗りの中でも、とりわけ大きな成果を上げたフランシス・ドレークにスポットを当てることで、大英帝国の礎を築いた人々の活躍ぶりを見てみることにしよう。

「女王陛下はご健在であらせられるか~?」

 1580年9月26日、イギリス南西部のプリマス港に、ぼろぼろになった帆船が入ってきた。港を行き交う漁船の船員たちは、なんだろう? と思いながらその船を見上げた。すると船の船首楼に立っていた船長らしい身なりをした男が大きな声で叫んだ、その第一声がこれだった。女王の健在を聞くと、男はすぐにロンドンの女王に手紙を書き部下に手渡した。

 男の名はフランシス・ドレーク。3年ほど前に、世界周航を成し遂げるべくプリマス港を出帆した5隻の船団を率いる提督だった。そして、プリマス港に帰り着いたぼろぼろの船こそ、ドレークと共に世界周航を成し遂げた、ただ1隻の船、船団の旗艦「ゴールデン・ハインド号」そのものだった。
 ドレーク船長が帰ってきた―この情報はすぐにプリマス中に広まった。
 1日半後にはロンドンのエリザベス1世女王に部下の手紙が届いた。こうしてイギリス中がドレークの帰還にわき立った。大航海時代に出遅れたイギリスにとって、マゼランに遅れること60年とはいえ、世界で2番目に成し遂げられたドレークの世界周航は、まさに起死回生の快挙だった。

 しかも、ドレークの世界周航はマゼランの艦隊がもたらさなかったものをイギリスにもたらした。世界周航中の海賊行為によって、ゴールデン・ハインド号には60万ポンドの富が満載されていたのである。
 当時、王室の収入は年に約25万ポンド。チューダー王朝期(★1)を通じて台頭してきた「ジェントリー」たちが300ポンド。一般市民の間では、2ポンド稼ぐ男は他人から一目置かれ、400シリング稼げば農民は豊かだといわれた。軍艦でさえトン当たり5ポンドで建造できた。世界周航に費やした3年間の航海費用は5000ポンドだった。こういう時代の60万ポンドである。
 出資者たちは4700パーセントの配当金を手に入れたが、エリザベス女王もその一人で、配当金の額はなんと30万ポンド。これによってイギリス王室は抱えていた負債をすべて精算し、残りの一部が「レヴァント会社」に投資されたのである。ちなみにレヴァント会社の収益から後の「東インド会社(★2)」が組織されたので、イギリスの近代資本主義は、ドレークの海賊行為によって始まったともいわれるほどなのである。

◆脚注◆

★1 チューダー王朝
 ウェールズ出身のイギリスの王家。1485年、ランカスター家のヘンリー・チューダーがヘンリー7世として即位したのに始まる。ヘンリー7世、ヘンリー8世、エドワード6世、メアリー1世、エリザベス1世と続く。絶対王政の元に、イギリス近代国家の基礎を確立した王朝として知られている。

★2 東インド会社
 東インドとの貿易を行うために17~19世紀のヨーロッパ諸国に設立された会社の総称。会社には各国ごとに独占特許状が与えられており、国内での東インド貿易を独占して行った。イギリス、オランダ、スペイン、フランスその他の諸国に設立された。
大英帝国を築いた海賊たち目次
●第一章:海賊が作った大英帝国の基礎|1. 60万ポンドをもたらした大遠征2.サー・フランシス・ドレークの誕生3.エリザベス期のイギリス人の野心と現実
●第二章:ドレークを育てたイギリスの大航海時代|1.イギリス人による北西・北東航路の探求2.最も危険な南西航路
●第三章:ジョン・ホーキンズと悪名高い奴隷貿易|1.ドレークを育てた港町プリマスとジョン・ホーキンズ2.サン・フアン・デ・ウルアの事件
●第四章:ドレークの時代と世界周航|1.復讐のための聖なる略奪2.不屈の執念で成し遂げた財宝略奪3.フランシス・ドレークの世界周航計画4.ドレーク海峡の発見5.カカフェゴ号とドレーク流の略奪6.ドレーク湾の銘板と最大の危機
●第五章:ガレオン船の時代|1.キャラック船からガレオン船へ2.ガレオン船とイギリス艦隊とゴールデン・ハインド号
●第六章:無敵艦隊を打ち破る|1.ドレークの先制攻撃2.無敵艦隊とイギリス艦隊3.ドレークの個人行動4.カレー沖の火船作戦5.無敵艦隊の敗走とイギリスの勝利
●第七章:フランシス・ドレークの最期|1.プリマス市長そして最後の遠征
●第八章:英国の政界制覇への道|1.オランダの台頭と二大海洋国家の激突
海賊学

 小説
イオの末裔
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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