小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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大英帝国を築いた海賊たち |
第四章 ドレークの時代と世界周航
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6.ドレーク湾の銘板と最大の危機
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■ドレークの銘板
1936年にサンフランシスコ湾付近で、400年近くも昔にフランシス・ドレークが書き残したらしい一枚の銘板(★16)が発見された。歴史学者によると、そこには次のように記されていた。
「これによりて各人に告ぐ、余は1579年6月17日神の恩恵により、またイングランド女王エリザベス陛下およびその後継者の名において、永劫この王国を占有するものなりこの地の国王および民はその権利を陛下の代理人たる余に自発的に譲渡せり。よって余はこの地にノヴァ・アルビョン(新イングランド)の名を与えるものなり。―フランシス・ドレーク」(杉浦健之訳)
この銘板は、世界周航中のドレークが現在のドレーク湾に上陸して書き残したものだったのである。
ドレークはカカフェゴ号襲撃の後も、2、3の海賊行為を働きながら、北米大陸沖を北上していった。これは、太平洋と大西洋を結ぶ海峡の存在を確認するためだった。
しかし、そのような海峡はどこにも発見できないうえ、ゴールデン・ハインド号の損傷も激しくなったので、一行はドレーク湾に上陸し、それを本格的に解体修理することにしたのである。
その時に書き記されたのがドレークの銘板だったのだ。
銘板にもあるように、その地には原住民が住んでいたらしい。しかし、彼らはまだ白人に出合ったことがなく、白人は悪者だという意識がないばかりか、その逆に、白人のことを神様のように崇拝していたということである。
■航海中最大の危機
ドレーク湾を後にした時、ゴールデン・ハインド号には、すでに十分な略奪品が積まれていた。後は、無事にイギリスまで帰還することだけを考えればよかった。そこで一行は、最も無難と考えられる航路、つまり太平洋横断に乗り出したのである。実際、太平洋を横断している間、乗組員たちはただただ退屈だったようだ。なんと 68日間も、一行は島陰ひとつ見なかったのである。やがて、香料諸島ともいわれるモルッカ諸島テルナテ島に着くと、ドレークは、財宝でいっぱいのゴールデン・ハインド号に、さらにチョウジ(★17) 6トンを積み込んだうえで香料諸島を後にした。
ところがモルッカ諸島を出帆した直後の1580年1月9日の夜、ゴールデン・ハインド号は財宝すべてを放棄しなければならないような重大な危機に見舞われた。
セレベス島の近くで船が暗礁に乗り上げたのである。暗礁の反対側は錨も届かないほどの深海で、風がやめば船が転倒しかねない状態だった。乗組員たちは、まる2日間悪戦苦闘したが、事態は改善しなかった。ゴールデン・ハインド号が何十トンもの財宝を積んでいることも、事態が改善しない原因だった。しかし、ドレークたちは財宝を捨てる気持ちはさらさらなかった。ドレークはまず始めに大砲を、次いでチョウジ3トンを海に投げ込んだだけだった。
にもかかわらず、やがて風がやんだ時、ゴールデン・ ハインド号は船体を擦るようにして暗礁から滑り降り、水に浮かんだのだった。船体の傷みもほとんどなかったという。
こうした奇跡的な幸運に恵まれたおかげで、ゴールデン・ハインドの世界周航は成就されたのである。
◆脚注◆
★16 ドレークの銘板
この銘板は、その後専門家の手で調査され、16世紀に書かれたものに間違いないという判断が下された。
★17 チョウジ
香料の一種。
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大英帝国を築いた海賊たち目次 |
●第一章:海賊が作った大英帝国の基礎|1. 60万ポンドをもたらした大遠征|2.サー・フランシス・ドレークの誕生|3.エリザベス期のイギリス人の野心と現実|
●第二章:ドレークを育てたイギリスの大航海時代|1.イギリス人による北西・北東航路の探求|2.最も危険な南西航路|
●第三章:ジョン・ホーキンズと悪名高い奴隷貿易|1.ドレークを育てた港町プリマスとジョン・ホーキンズ|2.サン・フアン・デ・ウルアの事件|
●第四章:ドレークの時代と世界周航|1.復讐のための聖なる略奪|2.不屈の執念で成し遂げた財宝略奪|3.フランシス・ドレークの世界周航計画|4.ドレーク海峡の発見|5.カカフェゴ号とドレーク流の略奪|6.ドレーク湾の銘板と最大の危機|
●第五章:ガレオン船の時代|1.キャラック船からガレオン船へ|2.ガレオン船とイギリス艦隊とゴールデン・ハインド号|
●第六章:無敵艦隊を打ち破る|1.ドレークの先制攻撃|2.無敵艦隊とイギリス艦隊|3.ドレークの個人行動|4.カレー沖の火船作戦|5.無敵艦隊の敗走とイギリスの勝利|
●第七章:フランシス・ドレークの最期|1.プリマス市長そして最後の遠征|
●第八章:英国の政界制覇への道|1.オランダの台頭と二大海洋国家の激突| |
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イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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