小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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大英帝国を築いた海賊たち |
第三章 ジョン・ホーキンズと悪名高き奴隷貿易
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1.ドレークを育てた港町プリマスとジョン・ホーキンズ
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■港町プリマス
フランシス・ドレークは、 1543年頃にイギリス西部デボン州クラウンデールで生まれた。ドレークの家は、貴族でないことはもちろん、豊かな家庭でもなかった。両親は貧しい小作農で熱心なプロテスタントだった。いくら時代の影響といっても、その頃のドレークには航海者となる要素はなにもなかったのである。
ドレークの運命を変えたのは、一家を襲った宗教的な迫害だった。
1549年のこと、デボン州のカトリック教徒が反乱を起こし、プロテスタントに迫害を加えた。
身の危険を感じたドレーク一家は、遠い親戚にあたるウィリアム・ホーキンズを頼って港町プリマスのセント・ニコラス島に避難した。こうして少年ドレークはプリマスの船乗りたちに囲まれて成長することになったのである。
貧しいうえに、 12人もの子供がいた一家の家計を助けるためにも、ドレークは船乗りにならないわけにはいかなかった。彼は10歳を過ぎた頃から、小さな帆船で下働きを始め、ヨーロッパ各地を航海するようになったのである。
ドレーク一家が頼りにした、ウィリアム・ホーキンズ一家の存在も大きかった。ウィリアム・ホーキンズは、 1530年代にギニア、ブラジルへの航海を成し遂げ、象牙貿易によって財を成したプリマスの名士だった。その長男が父と同名のウィリアム・ホーキンズ、次男がやがてドレークを引き連れて航海に出ることになるジョン・ホーキンズだったのである。
■ジョン・ホーキンズの登場
ジョン・ホーキンズは、ドレークにとって非常に重要な人物である。ドレークの初めての本格的な航海も、カリブ海への進出も、ホーキンズなしにはありえないことだったからだ。
ホーキンズの成し遂げた航海は、アフリカ西海岸とイギリスを往復するだけだったそれまでの南西航路を、さらに一歩押し進めるものだった。
当時、スペインはカリブ海の大アンティル諸島を中心に中南米の各地に植民を行っていた。これはもともと黄金を手に入れるためだったが、期待に反して黄金は乏しかった。
そこで植民者たちは、砂糖生産を生業とするようになっていったが、これには膨大な量の奴隷が必要だった。植民者たちは、当初は現地のインディオを奴隷として徴発していたが、あまりの酷使のために先住のインディオは絶滅寸前であり、彼らはアフリカの黒人を奴隷として必要とするようになっていた。
この事実にホーキンズは目をつけたのである。もちろん問題がないわけではなかった。1517年のアシエント契約(★12)によって、アフリカの奴隷貿易はスペイン王室の独占事業となっていたのだ。
しかし、ホーキンズは挑戦した。王室が供給する奴隷の値段が高すぎるというのがホーキンズの狙い目だった。1562年、まだ30歳だった青年船長ジョン・ホーキンズは、4隻の船隊を率いてプリマス港を出帆した。カナリア諸島、ヴェルデ岬を経た後、シエラレオネに至るまでの海岸で、船隊は約300人の黒人をほとんど力ずくで手に入れた。
黒人たちの中には、隊員たちを丁寧にもてなす者もあったが、その多くは弓や槍で抵抗した。これに対して隊員たちは、火縄銃で激しく応戦した。
それから、彼らはカリブ海に向かったが、そこではちょっとした策略が必要だった。スペインの支配するエスパニョラ島サント・ドミンゴへ入港したホーキンズは、「食料が不足しているので積み荷の奴隷をその町で処分させてほしい」とスペイン人総督に申し出たのだ。
この手はまんまと成功した。もともと奴隷が欲しくてならなかった総督は、奴隷のうち三分の二を売却することを許したのである。1564年には、ホーキンズは女王から借りた王室海軍の1隻を含む5隻の船団で2度目の奴隷貿易を成功させたが、この時の利益は1回目にもまして莫大なものとなったという。
◆脚注◆
★12 アシエント契約
1517年。アメリカのスペイン人植民者たちとスペイン王室が結んだ奴隷供給契約。当時、アメリカでは現地での奴隷獲得が困難になっており、アフリカから奴隷を輸入する必要があった。この権利をスペイン王室が独占しようとしたもの。
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大英帝国を築いた海賊たち目次 |
●第一章:海賊が作った大英帝国の基礎|1. 60万ポンドをもたらした大遠征|2.サー・フランシス・ドレークの誕生|3.エリザベス期のイギリス人の野心と現実|
●第二章:ドレークを育てたイギリスの大航海時代|1.イギリス人による北西・北東航路の探求|2.最も危険な南西航路|
●第三章:ジョン・ホーキンズと悪名高い奴隷貿易|1.ドレークを育てた港町プリマスとジョン・ホーキンズ|2.サン・フアン・デ・ウルアの事件|
●第四章:ドレークの時代と世界周航|1.復讐のための聖なる略奪|2.不屈の執念で成し遂げた財宝略奪|3.フランシス・ドレークの世界周航計画|4.ドレーク海峡の発見|5.カカフェゴ号とドレーク流の略奪|6.ドレーク湾の銘板と最大の危機|
●第五章:ガレオン船の時代|1.キャラック船からガレオン船へ|2.ガレオン船とイギリス艦隊とゴールデン・ハインド号|
●第六章:無敵艦隊を打ち破る|1.ドレークの先制攻撃|2.無敵艦隊とイギリス艦隊|3.ドレークの個人行動|4.カレー沖の火船作戦|5.無敵艦隊の敗走とイギリスの勝利|
●第七章:フランシス・ドレークの最期|1.プリマス市長そして最後の遠征|
●第八章:英国の政界制覇への道|1.オランダの台頭と二大海洋国家の激突| |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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