小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第一章 これだけでわかる錬金術の基礎 |
錬金術の三種の神器――硫黄、水銀、塩
四大元素の理論と並んで、錬金術にとって重要な理論として、「硫黄」、「水銀」、「塩」の三原質の理論がある。
第一質料と四大元素の物質理論によって、黄金変成が可能であることが完全に証明されたことは確かである。すべての物質が第一質料と冷、熱、乾、湿の四性質の組み合わせでできている以上は、理論的には何を材料に用いても黄金変成は可能であるはずだ。
実際、錬金術師たちは様々な材料を用いて黄金変成を試みた。鉱物性の物質はもちろんだが、ライオン、牛、カモシカ、☆狐☆{キツネ}、血液、毛、骨、☆唾液☆{だ/えき}、☆尿☆{にょう}などの動物性のものから、玉ねぎ、しょうが、こしょうなど植物性のもの、果ては雨や雪など、これぞと思われるものは何でも利用された。
しかし、これら無数の物質の中でも、錬金術師たちが特に重要視したのは、☆硫黄☆{い/おう}と☆水銀☆{すい/ぎん}だったのである。
錬金術師は、硫黄と水銀は正反対の性質を持っており、第一質料に次いで最も基本的な物質だと考えた。それによれば、硫黄は男性的・能動的で、水銀は女性的・受動的だった。これら二つの元素が結びつくことで、四大元素を含め、この世のすべての物質が作られていると考えたのである。
硫黄と水銀という正反対の物質を結びつけるためには、塩が必要だと考えられた。
そこで、硫黄、水銀、塩は錬金術の三原質といわれる。いうなれば、錬金術の三種の神器である。
とはいえ、実際の錬金術では塩はあまり用いられず、もっぱら硫黄と水銀ばかりが用いられた。だから、硫黄と水銀は錬金術の二大元素といってもいいのである。
さて、ここで考えたいのは、数多い物質の中からなぜ、硫黄と水銀が選ばれたのかということだ。もちろん、ここにもまた十分な理由があるのだ。
みなさんは辰砂(しんしゃ)という石をご存知だろうか。
辰砂はまたの名を丹砂(たんさ)という。丹は朱色のことで、そのままの状態では朱色をしており、昔からずっと朱墨や赤絵の具の原料として利用されてきた石である。
この辰砂の成分が硫黄と水銀で、昔から水銀の主要な原料としても有名である。
辰砂から水銀を抽出するのは簡単である。焼けばいいのだ。すると水銀が蒸発し、蒸発したものを冷やすと水銀が抽出できる。ただし、水銀の蒸気は毒なので、実験には十分な装置が必要である。
一方、辰砂の中の硫黄はどうなったかというと、二酸化硫黄という気体になって消えてしまう。
残された水銀には不思議な性格がある。水銀は金属なのに常温では液体状だというだけでも不思議だが、塩と一緒に焼くと塩化水銀という白い粉になる。また酸化すると赤や黄の酸化水銀になる。ところが、これらの物質をさらに焼くとそこからふたたび純粋な水銀を取り出すことができるのだ。
硫黄と水銀を混ぜ合わせて焼いた場合は、焼き方によって赤い辰砂になる場合と黒いメタ辰砂になる場合がある。いずれにしても、これをさらに焼けば、同じ反応が繰り返されてそこから水銀が抽出できる。
どうだろうか。硫黄と水銀の化学変化は、それ自体が最も簡単に実現できる金属変成のようではないか。
レトルトの中の硫黄と水銀のいかにも神秘的な変化に、錬金術師たちが心を奪われたとしても少しも不思議はないといっていいだろう。
面白いのは、中国やインドの錬金術師たちも硫黄と水銀に注目し、辰砂から不老不死の薬を作ろうとしたということだ。西洋の錬金術と東洋の錬金術は、それぞれ無関係に発達したようだが、硫黄と水銀に注目した点では同じだった。
硫黄と水銀は、西洋でも東洋でも、錬金術師に大いなる夢と希望を与えたのである。
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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