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フランボワイヤン・ワールド
錬金術師の話
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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イオの末裔
〔Kindle版〕

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第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力

600年の呪いを生きた魔道師の物語 *ラヴクラフト『錬金術師』


 実際に賢者の石を作れるような錬金術の達人たちは、その秘密が達人にふさわしい優れた錬金術師以外の人々に知られることを極端に恐れていた。だから、彼らは賢者の石の製法を、常人にはけっして理解できないような、☆寓意☆{ぐう/い}と象徴に満ち溢れた、難解な錬金術文書に書き残したのだ。
 ちょっと想像力を働かせるだけで、達人たちがなぜそうしなければならなかったか、簡単に理解できる。賢者の石のパワーは絶大なので、利用の仕方によってはあまりに恐ろしい結果をもたらすことになるからだ。
 有名なアメリカの恐怖作家H.P.ラヴクラフト(1890~1937)が18歳で書いた短編小説『錬金術師』は、そんな恐ろしい結果のひとつを、ものの見事に描ききった名品といっていいだろう。

 物語の舞台はフランスである。正確な場所はわからない。とにかく、ある山の頂に城があった。かつてはフランス有数の難攻不落{なん/こう/ふ/らく}の城として勇壮な姿を誇っていた伯爵家の城である。しかし、いまではあちこちの壁が崩れて、倒壊寸前の無残な姿をさらしている。
 この広大な城のひとつだけ残された小塔に、すでに90歳になる老人がただひとりで暮らしていた。伯爵家の末裔で、最後の家督というべきアントワーヌである。
 荒れ果てた広大な古城にただひとりで住んでいるというだけでも、いかにも変わり者で陰気な感じがするが、このアントワーヌにはそれ以上に恐るべき思い出があった。
 アントワーヌがまだ若いころのことである。この城に住む伯爵家には、すでに数世紀にもわたって続いていた恐るべき☆呪☆{のろ}いがかけられていたのだ。

 呪いの発端は13世紀にまでさかのぼる。当時、城の領土に身分の低いひとりの老人ミシェルが、ひとり息子のシャルルと一緒に住んでいた。
 この父子に悪い評判があった。ミシェルは黒魔術と錬金術にくわしく、不老不死をもたらす賢者の石を求めていると噂されていた。息子のほうも、父以上に☆隠秘学☆{いん/ぴ/がく}(オカルティズム)にくわしく、魔道師と呼ばれていた。
 そんなあるとき、山頂に建つ城の中で、城主アンリ伯爵の幼い息子ゴッドフロアが突然、姿を消してしまうという大事件が起こった。
 慌てふためいたアンリはすぐにも捜索隊を率いて出発し、まず始めに最も怪しむべき魔道師父子の住む小屋に踏み込んだ。折りしも、ミシェル老人は夢中になってぐつぐつと煮えたぎる大釜の中を見つめていた。その様子を見たとたん、アンリ伯爵は言い知れぬ怒りにかられ、老人に駆け寄るなり、首を絞めて殺してしまった。もちろん、自分のかわいい息子ゴッドフロアが、大釜の中で煮られてしまったと考えたからだ。
 ちょうどそのころ、巨大な城のはずれの空き部屋で、元気なゴッドフロアが見つかり、家来たちが伯爵に知らせに来た。伯爵たちは大喜びで、城に引き返した。
 その途中、森の中でミシェル老人の息子の魔道師シャルルに出会ったので、家来たちが事情を説明した。
 すると、シャルルは伯爵の前に進み出て、いかにも恐ろしげな声でこういった。
 「これより後、殺人鬼の家系の当主となった者は、ひとりとして汝よりも長く生きることはできないだろう」
 そして、シャルルは上着から無色の液体の入った☆小瓶☆{こ/びん}を取り出し、伯爵の顔に投げつけ、森の中に姿を消した。
 無色の液体を浴びた伯爵はその場で絶命した。32歳だった。
 もちろん、伯爵家では殺人犯の魔道師シャルルを見つけようとしたが、その行方は☆杳☆{よう}としてわからなかったのである。

 恐るべき呪いが始まったのはそれからだった。アンリの死後に当主となったゴッドフロアは狩猟中に流れ矢に当たって死亡したが、その年齢は父と同じ32歳だった。ゴッドフロアの跡継ぎとなったロベール伯爵も、32歳の誕生日の直後に、野原で原因不明の死を遂げた。さらに、ロベールの息子も、その息子も……、みながみなまったく同じ年齢になるや死んでしまったのである。

 およそ600年後、現在の当主アントワーヌが生まれたが、このときになってもまだ家系に伝わる呪いは続いていた。事実、彼の父もまた彼が生まれる1カ月前に、歴代当主と同じ32歳で、人気{ひと/け}のない塁壁{るい/へき}の上から落ちてきた石に当たって死んだのだ。アントワーヌが不幸だったのは、彼が生まれるとすぐ、母もまた死んでしまったことだった。
 そこで、当時伯爵家にただひとりだけ残っていた老召使いピエールがアントワーヌを育てた。
 ピエールは聡明だが厳格で、彼をあくまでも貴族として育て、身分の低い小作人の子供などと遊ぶことを許さなかった。孤独なアントワーヌは城内の書庫にある古色蒼然{こ/しょく/そう/ぜん}とした魔術書などを読んで育った。
 そんなアントワーヌが21歳になったとき、老僕{ろう/ぼく}ピエールは代々の城主が受け継いできた家伝の文書を初めて彼に与えた。アントワーヌは驚くしかなかった。13世紀に始まる呪いのすべてが、そこに記されていたからだ。
 それからというもの、アントワーヌはそれまで以上に魔術の研究に没頭し、なんとしても呪いを解く呪文を見つけ出そうと努力した。そして、自分は絶対に結婚せず、家系の呪いを自分の代で終わらせようと決意した。
 しかし、月日はいたずらにすぎていった。やがて、アントワーヌが30歳になろうというとき、ピエールが死んだ。このころになると、アントワーヌも呪いを解くことをなかばあきらめ、広大な城内の調査をして、日々を過ごすようになっていた。というのも、ピエールの話によれば、城内には数百年間も誰も足を踏み入れたことがないような場所さえあったからだ。
 そして、彼は生涯忘れられぬあの驚くべき出来事に遭遇{そう/ぐう}した。

 家系に伝わる宿命的な死の瞬間が、あと1週間というところまで迫った日のことだ。
 その日、アントワーヌは城内でも最も荒廃した小塔のひとつを調査していた。午後遅く、一度も入ったことのない地下道に入った。☆松明☆{たい/まつ}を頼りに、どこに通じているのかわからないまま進むと、だいぶ行ったところで行き止まりになっていた。そのとき、足下に上げ☆蓋☆{ぶた}があるのに気がついた。それを開けるとさらに下層へと続く石段があった。
 その石段を降りるとまたしても長い通路があった。クモの巣だらけで、あちこちから水滴が落ちている通路だった。アントワーヌはそれを進んだ。だいぶ行ったところに重々しいオーク(ブナ科の樹木)の扉があった。開けようとしたが、開かなかった。
 仕方なく、アントワーヌは引き返そうとした。そのときだった。彼の背後でギギギッと音がし、重い扉が開いたのだ。びっくりして振り返ったアントワーヌの目に、中世風の上着を着て、長い髪とあごひげのある、死人のような人間の姿が飛び込んできた。
 だが、その男の話を聞いたアントワーヌはさらに驚かないわけにいかなかった。その男こそ、600年も昔にアンリ伯爵を殺し、伯爵家に呪いをかけた魔道師シャルル当人だったのである。
 それにしても、なぜ600年も生きられたのか。それこそ賢者の石の力だった。
 アンリ伯爵を殺したシャルルは森の中を逃げるうち、最高の隠れ場所を見つけた。それがなんと、呪いの相手そのものが住む広大な城の中の、誰も足を踏み入れないような地下深くにある、この場所だった。後でわかることだが、この地下室の奥にはさらに抜け道があり、それが森の中の峡谷に通じていたのだ。そこで、もともと隠秘学にくわしかったシャルルはさらに錬金術の研究に没頭した。そして、ついに賢者の石を作り出し、不老長寿を手に入れたのだ。
 それから後に起こったことは、あらためて説明するまでもないだろう。それ以来600年もの間、魔道師シャルルはその場所に身を潜め、城の新しい当主が32歳の誕生日を迎えるたびにそこを出て、自らかけた呪いを果たし続けていたのである。
 そんなシャルルだから、いまここで偶然にも出会ったアントワーヌを殺そうとするのも当然だった。シャルルは上着の中から無色の液体の入った小瓶を取り出した。かつて、アンリ伯爵を殺した劇薬に違いなかった。
 それを見たアントワーヌははっとして、思わず持っていた松明を投げつけた。それがよかった。小瓶は通路に落ちて砕け、同時に魔道師の上着に火がついて、猛烈な勢いで一気に燃え上がったのだ。いくら不老長寿を手に入れた魔道師シャルルといえども、このような炎に焼かれて生きていられるわけはなかった。
 こうして、600年も続いた魔道師シャルルの呪いは終わったのである。

 以上が、いまは90歳になった伯爵家の当主アントワーヌが若き日に体験した恐るべき事件だった。
 賢者の石は人類に無制限の幸福をもたらすかもしれないが、それはやはり使い方次第なのだ。使い方を誤れば、人類にとってこれほど恐ろしいものはないのである。
 錬金術師の話 目次
 第一章 これだけでわかる錬金術の基礎

究極の目的―賢者の石
古代の神話や信仰にはぐくまれた錬金術
黄金変成を保証する四大元素の理論
錬金術の三種の神器――硫黄、水銀、塩

第二章 一世を風靡した錬金術師の活躍

錬金術の始祖とエメラルド板 *ヘルメス・トリスメギストス
黄金と不死を手にした最も幸福な男 *ニコラ・フラメル
コスモポリタンと呼ばれた快男児 *アレクサンダー・セトン
他人が作った賢者の石で名を上げた男 *ミカエル・センディヴォギウス
失敗に失敗を重ねた苦労人 *ドニ・ザシェール
誰にもいえない職業上の苦労 * トマス・チャーノック
オリーブ油を万能薬に変える奇跡 *ファン・ヘルモント
〝死ねない男〟といわれた奇跡の怪人物 *サン・ジェルマン伯爵
一世を風靡した大ペテン師!? *アレッサンドロ・カリオストロ伯爵
歴史から消された悪魔の友 *ヨーハン・ゲオルク・ファウスト博士
医師としても業績を残した革新児 *パラケルスス

第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力

見果てぬ夢を追うための嘘 *メレシコーフスキー『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
不老不死薬の実験台にされた娘 *チャペック『マクロプロス事件』
人造人間ホムンクルスの冒険 *ゲーテ『ファウスト』
人造人間ゴーレムと言葉の錬金術 *ユダヤの伝承
600年の呪いを生きた魔道師の物語 *ラヴクラフト『錬金術師』

第四章 薔薇十字団の錬金術

秘密結社・薔薇十字団と錬金術
薔薇十字団を創設した伝説的錬金術師 *クリスチャン・ローゼンクロイツ
ホムンクルス製造の物語 *ヴァレンティン・アンドレーエ『化学の結婚』

ブログ案内
小説『イオの末裔』〔Kindle版〕の販売に合わせて、同タイトルのブログ「イオの末裔」を始めました。よろしくお願いします。
 

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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