小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力 |
見果てぬ夢を追うための嘘 *メレシコーフスキー『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
ロシアの作家メレシコーフスキーに『レオナルド・ダ・ヴィンチ』(1900)という小説がある。画家、彫刻家、建築家、科学者として有名な天才レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)を中心にしてヨーロッパ・ルネサンスの世界を描き出した一大巨編である。
この小説の一挿話として、ある年老いた錬金術師がペテンを働く物語がある。
ペテン師といっても、この錬金術師は決してカリオストロ伯爵のようなペテン師ではない。若いころから錬金術の道に入り、孤独と貧困の中で何十年も研究をし続けた、きわめて真面目な錬金術師なのである。
それならなぜ嘘などつくのか、と思われる方もいるかもしれない。
それが大切なところだ。
強調したいのは、カリオストロ伯爵のような大ペテン師は例外として、多くの錬金術師たちは決して嘘をつきたくてつくのではなかったということだ。「嘘は嘘。絶対に悪い」と決め付けるのは簡単だが、錬金術師の世界をより深く理解しようと思ったら、彼らのつく嘘の性格にも注目したい。
こんな物語である。
ガレオット・サクロボスコはイタリアのモーロ公に仕える宮廷つきの老齢の錬金術師である。
宮廷つきの錬金術師といえば、錬金術師の中でも恵まれた存在といっていいが、それはあくまでも現在の話で、これまでの彼の生涯は決して恵まれたものではなかった。
ガレオットはヨーロッパ最古の大学として有名なボローニャ大学医学部を卒業後、錬金術の大家ベルナルド・トレヴィザーニ伯のもとに入門し、錬金術の道に入った。
最初の15年間、彼はあらゆる物質の中に賢者の石を探す作業に没頭した。食塩、アンモニア、金属、人間の血、☆胆汁☆{たん/じゅう}、髪の毛、動植物など、あらゆるものが実験材料にされた。
このようにして父の遺産の7000ドゥカートを使い尽くしたガレオットは、すぐにも借金に頼らざるを得なくなり、やがて借金が返せなくなって牢に入れられた。
脱獄に成功した彼は、今度は卵の実験を始め、8年間に2万個の卵をつぶした。
それから、☆緑礬☆{りょく/ばん}(☆硫酸鉄☆{りゅう/さん/てつ})の研究に従事したが、このときに毒を含んだ蒸気を吸い込んだために、ただひとりだけで14カ月間も病床に横たわり、命の危険にさらされ続けた。
やがて回復した彼は一介の手品師に身をやつし、真理を求めてヨーロッパ各地はもちろん、北アフリカ、パレスチナ、ペルシアにまで旅をした。貧苦と迫害が絶え間なく襲い来る旅だった。ハンガリー王の宮廷では、彼から賢者の石の秘密を聞き出そうとする人々によって、☆拷問☆{ごう/もん}にかけられたことさえあった。
こうやって、彼は年老いたものの、やがてイタリアに帰ると、モーロ公の招きで宮廷つき錬金術師の地位を得たのである。
ガレオットはミラノの町外れの運河のそばの古びた小屋の2階を実験室にして、賢者の石の探求に没頭した。錬金術師の実験室らしく、小屋の煙突からは昼も夜も煙が立ち昇っていた。
ある日のこと、モーロ公が人々を従えてガレオットの実験室を訪れる。ガレオットの研究の進み具合を確認するためである。
この一行の中にレオナルド・ダ・ヴィンチも混じっているのだが、その他に侍医長マルリアーニや数人の貴婦人もいる。
ガレオットは愛想笑いを浮かべて彼らを迎える。
さて、これからいよいよ実験が始まるわけだが、その前にガレオットは実験に使う器具や材料をすべて見物人たちに検査させた。これから行われる実験に少しのごまかしもないことを確かめてもらうためだった。錬金術師の中には二重底の☆坩堝☆{る/つぼ}の底に金を隠しておき、高温によって上のほうの底にひびが入ると、下から金が出てくるような仕掛けを用いる者もいるということを、みながよく知っていたからだ。人々は坩堝だけでなく、☆錫☆{すず}の☆塊☆{かたまり}、☆炉☆{ろ}に燃やす木炭、☆溶融☆{よう/ゆう}した金属をかき回す棒など、様々な小道具を実際に手で触って検査した。
検査が終わると、ガレオットは錫を小さく刻んで坩堝の中に入れ、炭火のおこっている炉口へ置いた。同時に弟子がふいごを動かし始めた。やがて、炭が騒々しい音を立てて激しく燃えた。坩堝の中で錫が煮立った。
ガレオットは明るい黄色の粒状の薬を取り出した。これが彼の賢者の石だった。
彼は小刀の先端でごく小さな1粒を取り出し、☆蝋☆{ろう}に包んで小さな玉を作り、坩堝の中に投げ込んだ。
「この1粒が2820倍の錫を変形させるんです。この薬はまだ完全ではありませんが、もうすぐ、この1粒で100万倍の力を持つものが手に入るでしょう」とガレオットはいった。
そして、彼は炭の中に白い粉を一握り投げ込んだが、そうすると実験室の中が雲のような煙で満たされ、炭火から虹のように様々な色の炎がぱちぱちと音を立てて燃え上がった。
こうして10分ほどしてからガレオットが煮立った錫の中に鉄棒を突っ込み、引き出すと、その先から黄色いしずくがぽたぽたと垂れた。
「ついにできた!」とガレオットが叫んだ。
そこで、坩堝を炉から取り出し、十分に冷ましてから叩き割ると、錫の中から小さな金の塊が落ちてきたのだ。
「こんな馬鹿なことがあるものか!」と、錬金術に懐疑的だった侍医長マルリアーニが叫んだ。
レオナルドを除くほかの者たちは、老錬金術師を取り巻いて、口々に祝福を述べた。
それから、モーロ公がガレオットを隅の方に連れて行き、小さな声で言った。
「よいかガレオット、けっして他の君主に知られぬように……」
「もちろんですとも。……ただもう少しお願いが」と腰をかがめてガレオットはいう。
「なに? またか? それで、あといくらいるのだ」
「5000ドゥカートほど」
「うむ。4000ドゥカートに負けろ」
こうして2人の密談も終わり、一同は帰っていったのだが、レオナルドだけは帰らずに居残った。
実はレオナルドはガレオットのペテンを見破っていたのである。
「☆芯☆{しん}をくり抜いたあの鉄棒の中に金が隠してあったのでしょう。木で作った先端が焼けると同時に、それが坩堝の中に流れ込む。こういう仕組みだったんですね。安心してください。わたしは決して誰にも言いませんで。でも、あなたはなぜ、こんなことをしなければならないんですか?」
みなが帰ったあとで、レオナルドはガレオットに言った。
ペテンを見破られたガレオットはへなへなと今にも倒れそうになったが、それでも気力を振り絞るようにしていった。
「レオナルド先生! わたしのしたことがたとえ☆詐欺☆{さ/ぎ}のように見えるとしても、それはまったく一時的なことで、ミラノ公の幸福と科学の勝利のためなのです。……もう二、三度実験すれば、それで賢者の石が完成するのです。……こういう偉大な真理のためになら、あれくらいの詐欺も許されるのではないでしょうか?」
もちろん、レオナルドも負けてはいない。
「いったいあなたはどうしたというのです。あなただって、金属の質を変えるなどたわごとであって、賢者の石など存在しないことを知っているでしょうに!」
しかし、ガレオットはこういうのだ。
「レオナルド先生! もし、神が目の前に現れて、賢者の石など存在しない、と仰っても、わたしはこう答えるでしょう。神様、あなたがわたしを創ったのと同じように、賢者の石があるというのは真実です。わたしは必ず、それを見つけます、と」
こんなガレオットと話すうち、レオナルドも彼を説得するのをあきらめることになるのである。そして、レオナルドは思う。
「なんという奇妙な、☆憐☆{あわ}れな、愛すべき人間なんだろう!」と。
確かに、錬金術師の中には、詐欺のような方法で人を☆欺☆{あざむ}くものも多かったかもしれない。だが、そのほとんどはガレオットのような人間だったのではないだろうか。彼らは心の底から賢者の石の存在を信じていたし、もうすぐそれが手に入ると確信していたのだ。
嘘は嘘なので、それがいいこととはいわないが、ただの詐欺師とはひと味もふた味も違うといっていいはずである。
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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