小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力 |
人造人間ゴーレムと言葉の錬金術 *ユダヤの伝承
ヨーロッパの錬金術は火を用いた化学的操作によって、☆卑金属☆{ひ/きん/ぞく}を黄金に変成したり、不老不死の薬を作ることにその主眼がある。これは、この世のすべてを創造した神の力を人間自身が行うことで、まさに人間自身が神の位置に立つことを意味する。だから、錬金術においては、賢者の石によって黄金変成を行うことも、不老不死を得ることも、結局は人間が神の位置に立つということと同じことを意味するのである。錬金術師たちがホムンクルスのような人造人間を作ることができると考えたのも、このためといっていい。
ところで、錬金術を人間が神と同じ創造の力を発揮するための術と考えるなら、一般的なヨーロッパの錬金術のように、☆炉☆{ろ}の上に☆坩堝☆{る/つぼ}を載せて様々な物質を☆溶融☆{よう/ゆう}するというような化学的作業は、特別に必要不可欠の作業ではないということになる。
ユダヤの伝承に登場するゴーレムという人造人間は、そのような別種の錬金術と関係がある。
ゴーレムを作り出す錬金術は「言語的錬金術」といわれることがある。つまり、言葉の錬金術である。
ユダヤの神秘主義(カバラ)でも、ヨーロッパの錬金術と同じように、奥義に通じた完全な☆義人☆{ぎ/じん}(聖者)は神と同じ創造の力を振るうことができるとされる。違っているのは、ここで言葉が重要な働きをするということだ。ユダヤの神秘主義ではアルファベットの文字や言葉、数字には神秘的、魔術的な力があり、その力を操作することで、神がそうしたのと同じように、動物や人間を作ることができるというのである。
奥義に通じた義人であれば、ゴーレムを作るのはそれほど難しいことではないのかもしれない。非常に古い時代から、ユダヤ教のラビ(教師)の中には、人間や動物を作ったものがいると伝えられている。中でも有名なのがラビ・レーフである。
ラビ・レーフはイェフダ・レーフ・ベン・ベツァレルという名で、ルドルフ2世(1552~1612)時代のプラハのユダヤ人である。非常に優れたラビで、タルムード(聖典のひとつ)はもちろん、カバラ、数秘術{すう/ひ/じゅつ}、占星術にも通じた魔術師でもあった。
あるとき、ルドルフ2世がプラハのユダヤ人を追放すると決めたことがあった。ラビ・レーフはすぐにも出かけて行き、ちょうど橋を渡ろうとしていたルドルフ皇帝の馬車の前に立ちふさがった。ルドルフの臣下たちがどけといってもどかなかった。彼らはついに石や土くれを拾って投げ始めた。すると、それは空中で花に変じ、ラビ・レーフの足下に落ちたのである。人々は驚いた。その間にラビ・レーフは皇帝の馬車に近づき、☆跪☆{ひざまず}いて、訴えた。おかげで、ユダヤ人は追放されずにすんだのである。
このように、ラビ・レーフが魔術で人々を驚かせたという話は多い。
人造人間ゴーレムもそのひとつで、ラビ・レーフはこれをこまごまとした家の仕事をする☆家僕☆{か/ぼく}として使っていたという。
ゴーレムの作り方にはいくつかの説がある。一般的なのは、ねばねばした土や☆膠☆{こう}(ジェル)で作った人形の☆額☆{ひたい}あるいは胸に、ヘブライ語でemeth(真理)を意味する文字を書いた護符を貼り付けるというものだ。こうすると、土人形がゴーレムとなって動き出すのである。ただの土人形に戻したいときには、emethの最初の文字eを消せばいいという。というのは、methには「死」という意味があるからである。
このほか、土人形の口の中に護符を入れるとゴーレムになり、それを取り出すともとに戻るとか、床の上に横たえた土人形の回りを、カバラの定式呪文を唱えながら7周するとゴーレムになるともいわれる。
いずれにしても、ゴーレムを扱うには注意が必要になる。
ラビ・レーフのゴーレムの場合、ユダヤ教の安息日(金曜の日没から土曜の日没まで)にはゴーレムを働かせてはいけないという決まりがあった。ところが、あるときラビ・レーフはそのことを忘れてしまい、ゴーレムの口から護符を抜かずに出かけてしまった。すると、留守の間にゴーレムが狂って暴れ出し、町に出て、目に付くものを次々と破壊し始めたのだ。市民からの通報を受けたラビ・レーフが慌てて駆けつけ、口の中から護符を取り出すとただの土人形に戻ったという。
ポーランドの伝説では、ゴーレムは誕生したそのときから成長し始め、体がどんどん大きくなるので、そうなる前に額に貼り付けたemethと書かれた護符から、eの文字を消さなければならないとされている。ところが、エリヤというラビが作ったゴーレムは、いつの間にか恐ろしく巨大になってしまい、額まで手が届かなくなってしまった。エリヤは彼の長靴を脱がせるように命令し、ゴーレムがかがんだ隙にeの文字を消し去った。するとゴーレムはただの土に戻ったが、その土が崩れてエリヤは下敷きになって死んでしまったのである。
人造人間の名とされている〝ゴーレム〟は、ヘブライ語で「作りかけの未定形のもの」「胎児」などの意味がある。
旧約聖書「詩篇」第139篇16に「胎児であったわたしをあなたの目は見ておられた。」とあるが、ここで「胎児」と訳されているのが、ゴーレムという単語である。
「創世記」第2篇7に「主なる神は、土の☆塵☆{ちり}で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。」とあるが、ユダヤの伝承では、まだ命の息を吹き込まれていないアダムはゴーレムと呼ばれていたという。
ゴーレムを作ることは、だから、まさしく神の業を真似ることである。そして、それは罪深いことでもある。
このような罪を犯した人間が罰を受けるのは当然といっていい。人間に役立つ者であるはずのゴーレムが、しばしば人間には制御できない恐ろしい存在となってしまうのはこのためなのである。
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