小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第二章 一世を風靡した錬金術師の活躍 |
コスモポリタンと呼ばれた快男児*アレクサンダー・セトン
黄金変成をなしとげることができるような優れた錬金術師の多くが、自分が錬金術師であることを人に知られないように注意を払ったことは間違いない。
しかし、いくらそうだといっても、後代に名を残すような錬金術師の場合は事情がちょっと違ってくる。何しろ、それなりに目立った活躍をしない限り、有名になることはできないし、後代に名を残すこともできないからだ。
そんなわけで、本書で紹介する錬金術師の中には、けっこう目立った活躍をしたものも多い。
ここで紹介する、アレクサンダー・セトンはまさにそんな錬金術師の代表である。
何しろ、このセトンという錬金術師は人々の前で黄金変成を成功させることによって、錬金術を信じない人々に、錬金術の真の力を教えることを、この上ない喜びとしていたようなところがあるのだ。
だから、彼はヨーロッパ中を飛び回り、人々の前で堂々と黄金変成を成功させた。その活躍ぶりは、まさに華々しいという言葉がぴったりなのである。ある意味、モーリス・ルブランの小説に登場する怪盗アルセーヌ・ルパンのようなかっこよささえ感じられるのだ。
ただし、あまり目立った活躍をしたために、最後は不幸な死に方をすることになるのだが。
面白いのは、アレクサンダー・セトンは貴族出身で、1600年ころにスコットランドの片田舎に住んでいたが、彼が錬金術の達人だということはもちろん、錬金術の研究をしていたことさえ、あるときまでは世間にはまったく知られていなかったということだ。
スコットランドの片田舎で、人知れず、長い研究生活を送っていたのだろうか。
そんな彼の転機となったのは、オランダ人ヤコブ・ハウセンとの出会いだったようだ。
1601年のある嵐の日、セトンの住む村のはずれにある海岸で1隻のオランダ船が難破した。セトンはすぐにも村人たちを招集し、水先案内人ヤコブ・ハウセンと乗組員たちを救助した。これが縁で、セトンはハウセンと親しくなったのだ。
翌年、セトンはハミルトンという召使いをひとり連れただけで大陸旅行に出発すると、オランダのアムステルダム近郊の小さな町に住むハウセンの家に数週間滞在し、あたたかくもてなされた。
セトンは心から感激し、ハウセンの家を立ち去るとき、一片の☆鉛☆{なまり}を同じ重さの黄金に変成し、ハウセンに贈った。信じられない光景を目撃したハウセンは、セトンが立ち去った後、自分が見た奇跡の金属変成のことを町の人々に告げた。これが、セトンを有名にした最初の出来事だったという。
ところで、これだけの話では、ヤコブ・ハウセンというオランダ人は偶然にセトンと親しくなっただけで、錬金術に関しては特に重要な存在ではないように感じられる。だから、別にハウセンと出会わなくても、セトンは自分の力で錬金術の達人になったとも考えられる。
だが、この話には別な説もあって、セトンはこのハウセンから賢者の石の秘密を教わったともいわれているのである。
それについてはっきりしたことはわからないのだが、こんなふうに考えることもできるだろう。
最初、難破が縁で偶然にも出会った二人が親しく語り合ったとき、ハウセンはセトンが錬金術の研究に熱中していることを知った。そこで、世界中を旅して多くの知識を得ていたハウセンは、セトンに彼がまだ知らないような賢者の石に関する重大なヒントを教えたのだ。
このヒントをもとに、セトンは1601年から翌年にかけて、賢者の石を完成し、金属変成を実現したのではないだろうか。だからこそ、その成功を報告するために、何よりもまずハウセンの家を訪ねたのだ。
とはいえ、セトンがヨーロッパ大陸に出かけたのは、けっしてハウセンに会うためだけではなかったようだ。その最大の目的は、ヨーロッパ中を旅して、錬金術による黄金変成の業{わざ}をヨーロッパ中に広めることにあった。その後のおよそ2年間にわたるセトンの活躍ぶりを見ると、まさしくそうだと思えてくるのだ。
事実、ハウセンと別れたセトンが向かったのはスイスだった。
スイスでは、セトンは大学教授ディーンハイムと知り合い、一緒に旅を続けた。彼はセトンが主張する金属変成をまったく信じなかった。そこで、セトンは第三者の立会いのもと、金属変成を実演して見せようと約束した。
こういうところを見ても、錬金術を信じない人々に金属変成の現実性を教えることこそ、セトンの目的だったと思えてくるのである。
この実演は、ある金鉱夫の家で行われた。実演には、ディーンハイムのほか、スイスでも有名なある学識家が立ち会った。また、黄金の純度を調べるために、信頼できる宝石商が立ち会った。
セトンは☆炉☆{ろ}に火をつけ、鉛と☆硫黄☆{い/おう}を☆坩堝☆{る/つぼ}の中に入れ、ふたで覆うよう、鉱夫に命じた。それから鉱夫は、時々ふたを持ち上げ、中身をかき混ぜた。この間、セトンは離れた場所にいて、他の人たちと雑談していた。
15分後、セトンは立会人たちにレモン色をした少量の粉末が入った紙包を渡し、「坩堝のちょうど真ん中あたりに、これを投げ込みなさい」と告げた。ディーンハイム教授たちはそんなことをしても金属変成などできるはずはないと疑っていたが、とにかくいわれたとおりにした。
さらに、15分がすぎたとき、セトンは坩堝を水で冷やすように金鉱夫に命じた。そして、ふたを開けると、坩堝の中に最初に入れた鉛が、それと同じ量の金の☆塊☆{かたまり}に変わっていたのである。立会人たちはびっくりし、すぐにも宝石商が金の純度を調べた。その結果は、「ハンガリー産やアラビア産よりもすばらしい金です」ということだった。これを聞いてセトンが言った。「あなた方の学者ぶったご見識は一体どこへ消えたのでしょう。これが正真正銘の真実なのです」。
このため、最初は完全に疑っていたディーンハイム教授も、金属変成の奇跡の技を信じないわけにいかなかったのである。
続いてドイツのシュトラスブルクにやってきたセトンは、グステンホーファーという真面目な金細工師と出会い、いろいろと援助してもらった。そこで、セトンは自分の本名も名乗らずに、別れるとき、賢者の石の赤い粉末を与え、金属変成の方法を伝授した。ところが、このためにグステンホーファーはとんでもない不幸に陥った。
セトンから赤い粉末を贈られたグステンホーファーはすぐにも友人たちを呼び集め、みなの前で、鉛を黄金に変える金属変成を実演してしまったのだ。そんなことを繰り返すうち、噂は町中に広まり、市議会が調査に乗り出してきた。そこで、グステンホーファーは今度は調査人の前で金属変成を実演して見せた。
こうなると、彼の評判はいやがうえにも高くなり、魔術や錬金術に熱中していたオーストリア・ハプスブルク帝国皇帝ルドルフ2世の耳にまで届いた。皇帝はすぐにもグステンホーファーをプラハの宮廷に呼びつけた。
ここで困ったことが起こった。グステンホーファーはこれまでに何度も金属変成を実演していたので、セトンからもらった赤い粉末をすべて使い切ってしまっていたのだ。
グステンホーファーは、あの赤い粉末は名も知らぬ旅人から贈られたもので、どうやって作ればいいのかわからない、と言い訳した。もちろん、自分の力では金属変成などできるはずもなかった。すると、皇帝は彼を捕え、〝白塔〟とよばれる、金属変成に失敗した錬金術師を閉じ込めるための、天井に小さな穴が1カ所開いているだけの牢獄に閉じ込めた。そして、グステンホーファーはその穴倉の中で一生を終えたのである。
一方、セトンはグステンホーファーの身に起こったことなどつゆ知らず、これまでどおりの華々しい活躍を続けていた。
なかでも、ケルンでの活躍は見事だった。
このころ、ドイツの都市ケルンには偽の錬金術師が横行し、町の人々は錬金術師と聞いただけで鼻から馬鹿にし、笑い者にしていた。ケルンにやってきたセトンはそんな街の雰囲気に包まれるや、「愚か者たちめ。真実を教えなければ」と考えた。彼はすぐにも薬局へ行くと質のよいラピス・ラズリ、アンチモニー・ガラスなど、必要な材料を入手した。そして、薬屋の息子に頼んで、近くの金細工師の仕事場に案内してもらった。
そこで、セトンは近所の人々を集め、みなの前で金属変成の実演を始めた。
実演は見事に成功した。坩堝の中でアンチモニー・ガラスを☆溶融☆{よう/ゆう}し、そこに微量の赤い粉末を投入すると、しばらくして、坩堝の底に黄金の粒だけが残ったのだ。
見物人たちがびっくりしたのは当然だった。
この実演のあと、セトンは今度は、ゲオルクという外科医の前で金属変成を実演することにした。宿屋の主人から、ゲオルクこそ、ケルンで一番錬金術を馬鹿にしている頑固者だと知らされたからだ。そして、セトンはこの実演にも成功した。頑固者のゲオルクが、この日から、錬金術の信奉者になったのはいうまでもないだろう。
こうして、セトンはヨーロッパ各地で活躍したので、いつの間にか「コスモポリタン(世界市民)」というあだ名で呼ばれるようになっていた。
だが、そんなセトンの運命にも間もなく暗雲が漂い始めた。
ドイツ南部、ミュンヘンでのこと。美しい令嬢と恋に落ちたセトンは彼女と暮らすため、クロッセンという町に行った。すると、この町の宮廷に住んでいたザクセン選帝侯クリスチャン2世が、有名なセトンが来たという噂を聞きつけ、すぐにも迎えの者をよこしたのだ。セトンは令嬢との恋に夢中だったので、とりあえず召使いのハミルトンに赤い粉末を持たせ、自分の代理として宮廷に派遣し、大勢の宮廷人の前で金属変成を実演させた。実演は成功し、宮廷人たちは大いに喜んだ。
ところが、クリスチャン2世は代理人の実演だけでは満足せず、どうしてもセトン本人に会いたいと言い出した。やむを得ずに、今度はセトン本人が宮廷で金属変成を実演したが、そうするとクリスチャン2世は、赤い粉末の秘密を聞きたがった。セトンは拒否した。セトンは厳しい☆拷問☆{ごう/もん}にかけられ、先のとがった鉄棒で刺されたり、溶かした鉛をかけられたり、火で焼かれたりしたが、それでも粉末の秘密は明かさなかった。最後に、セトンは暗くじめじめした地下牢に閉じ込められてしまった。
幸いにも、ここにミカエル・センディヴォギウスという男が現われ、セトンを救出するために尽力してくれた。おかげで、セトンは脱獄に成功し、安全な場所まで逃げ延びることができた。だが、拷問で受けた傷がもとで、それから間もない1603年末に死んでしまった。
とはいえ、セトンが作り出した赤い粉末は、死の直前、彼自身の手ですべて恩人であるセンディヴォギウスに譲り渡された。この粉末のおかげで、センディヴォギウスもまた、有名な錬金術師として名を上げることになったのである。
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小説『イオの末裔』〔Kindle版〕の販売に合わせて、同タイトルのブログ「イオの末裔」を始めました。よろしくお願いします。 |
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