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錬金術師の話
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イオの末裔
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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第二章 一世を風靡した錬金術師の活躍

一世を風靡した大ペテン師!? *アレッサンドロ・カリオストロ伯爵


 偉大な錬金術師なのか、はたまた希代のペテン師なのか?
 カリオストロ伯爵(1743~1795)はそんな疑わしい錬金術師の代表である。一説によると、サン・ジェルマン伯爵の弟子だともいわれているが、これだけでもかなり怪しいと感じる人が多いだろう。
 不思議なのは、サン・ジェルマン伯爵と同様に、カリオストロ伯爵もまた錬金術と魔術によってフランス革命前夜のヨーロッパで人気を集め、一世を☆風靡☆{ふう/び}したということだ。当時、彼のために、次のような詩が作られ、大衆の間に広まったほどである。

  「光明を認められた人びとの友、
  その日々は新しい善行に☆印☆{しるし}づけられ、
  かの人は命を延ばし、赤貧を救う。
  有為の人たる歓びのみがかの人の☆報酬☆{むくい}。」(種村季弘訳)

 とにかく人々の評判を得るのがうまい、奇抜な人物だったようだ。次のような話が残されている。

 1780年、アルザスの地方都市ストラスブールにいかにも人目を引く人物が現われた。妻と一緒に町で最高級のホテルに滞在し、何人もの使用人に囲まれて暮らし、自分専用の馬車を持ち、宝石や金をちりばめた派手な衣装を着た人物である。彼は自分は医者だと名乗ったが、ただの医者ではなかった。患者から料金を取らない奇跡医なのである。
 すぐにも貧乏な病人たちが彼のところに救いを求めて集まったが、彼はそんな患者たちに食事を与えたうえ、帰るときには☆施☆{ほどこ}し物まで与えた。そのうち病人たちは彼の姿を見ただけで彼の周りに集まり、☆跪☆{ひざまず}き、救い主とか神様とか叫ぶようになったのである。
 この人物こそカリオストロ伯爵だった。
 こうして、彼はたちまちのうちに町中の評判を勝ち得た。貧乏人だけでなく、上流階級の人々までが、彼に尊敬の念を抱くようになったのだ。

 もちろん、これでは他の医師たちが困るので、カリオストロのことをインチキ医者だといって非難する者も多かった。カリオストロは正式の医師ではないのだから、それも仕方のないことだった。彼が処方した薬というのも、特別なものではなく、ただの胃薬のような毒にも薬にもならないものが多かったという。
 しかし、それにもかかわらず、カリオストロの治療で実際に病気が治ってしまったという実例も多いのだ。たとえば、バーゼルに住んでいた29歳の女性は胃病のためにこれまで10年間も寝たきりの生活をしていたが、カリオストロの治療を受けるや、数週間で完治してしまったという。
 この女性の場合もそうだが、カリオストロの治療は神経性の病気にはおおいに効果を発揮したようだ。本当の医師ではないが、イエスと同じように、ある種のオーラを持った人物だったのだろうか?
 ところで、最初は医師として活動し始めるというのは、カリオストロの常套手段で、ストラスブール以前にもロンドンで、以降にもパリで、彼は同じやり方で人々の評判を勝ち得たのである。

 医師をしていないとき、カリオストロは☆霊見☆{れい/けん}術で人々の関心を集めることが多かったという。これは☆霊媒☆{れい/ばい}をつかって遠方の出来事などを透視するというもので、カリオストロの得意技のひとつだった。霊媒には利発そうな少年や少女が使われる。
 やり方はいろいろあるが、1779年、ドイツのミタウという町ではカリオストロは「知の油」という☆軟膏☆{なん/こう}を用いている。まず7歳の少年の選び、頭と左手にこの軟膏を塗りこむ。その少年に、油でてらてら光る左手を見つめさせる。そして、観客に、この少年に何を見せたいかリクエストさせる。
 このとき、観客はこの少年の母と姉が今自宅で何をしているかと質問した。
 少年の自宅はもちろん霊見術が行われていたその場所からは離れていたので、普通の方法では知りようのないことだった。

 すると、カリオストロに誘導されていた少年は、手のひらの中に彼の姉が胸の痛みに苦しんでいる情景とそれから間もなく兄が帰宅した情景を目撃したのである。
 ところで、少年の兄はこの日は仕事で町の外に出ているはずで、まだ帰宅する予定ではなかった。
 そこで、観客の中の3人がすぐにも少年の家に行き、実験結果を確認することになった。すると、少年が見たとおり、少年の姉が今しがた胸の苦しみに襲われた、それからほどなく兄が帰宅していたことがわかったのだ。
 不思議なことだが、カリオストロはあちこちの町で同じような実験をし、しばしば的中させることがあった。
 この手の霊見術は一種の手品のようなものだという意見もあるが、どうして遠く離れた場所のことがわかるのだろう。カリオストロはやはり、古代の秘儀のようなものに通じていたのだろうか?
 いずれにしても、霊的なことに興味を持つ人々は、すぐにもこんなカリオストロの☆虜☆{とりこ}になってしまうのである。

 もうひとつ、彼が人々の興味を集めるために用いたのが錬金術だった。
 しかし、しばしば見事に☆水銀☆{すい/ぎん}を黄金に変えてみせたカリオストロも、実際には錬金術は苦手だったのかもしれない。
 1780年、ワルシャワでのことだ。カリオストロはいつものように☆坩堝☆{る/つぼ}の周りに魔除けの聖なる円を描いて、水銀を黄金に変える公開実験を行った。
 ところが観衆の中に、錬金術など信じていないモスチンスキー伯爵という優れた化学者がおり、カリオストロに抗議したのだ。カリオストロは黄金変成をいつも夜間に、薄暗い照明の下で行ったが、モスチンスキー伯爵はそれが怪しいというのだ。さらに、カリオストロはいつも石工のような大きな前掛けをしていたが、その前掛けの下に第二の坩堝が隠してあり、賢者の石の粉末を投入したあとで、坩堝をすり替えていると主張したのだ。
 こうして、ワルシャワでの黄金変成は失敗に終わった。
 もし、カリオストロが本当に偉大な錬金術師なら、明るい昼の光の下でも、石工風の前掛けなしでも、黄金変成に成功するはずだが、彼はそうはしなかったのである。
 こういう話を聞くと、カリオストロは偉大な錬金術師ではなく、やはりペテン師だったのかと思えてくるのだ。

 カリオストロがペテン師だったのではないかと思える話は他にも多い。
 そのひとつに賢者の石から作ったという美顔水や若返りの薬の販売がある。
 カリオストロはどの町でも最初は奇跡医として名を上げるが、そうすると金持ちの上流階級の人々が近づいてくる。こうした人々の中から、カリオストロは老人や老女、醜い女などを物色して親しくなり、美顔水{び/がん/すい}や若返りの薬を販売して、大金をせしめたことがよくあったのだ。とにかく、奇跡の医師であり、錬金術師としての名声もあるので、こうやって人々をだますのも簡単だったようだ。
 小粒のダイヤや☆真珠☆{しん/じゅ}を集めて、大粒のダイヤや真珠を作るというのもカリオストロのよく使った手で、彼の言葉を信じて人々が持ってきた宝石類を、彼は自分のものにしてしまうのである。

 カリオストロ伯爵がひとつの都市に長くい続けることができなかったのも、こんなところに原因があるだろう。最初の間、どんなに評判を勝ち得ても、徐々に敵の数が増えていき、いつの間にかその町から出て行かざる得ないようになってしまうだ。

 こうして一世を風靡したカリオストロの運が本格的に傾き始めたのは、やはり〝マリー・アントアネットの首飾り事件〟がきっかけだろうか?
 当時、ストラスブールの大司教にロアン枢機卿{すう/き/きょう}という人物がいた。神聖ローマ帝国皇子という最高の家柄の出身だが、錬金術に興味を持ち、カリオストロとも仲がよかった。
 この人物がルイ16世の王妃マリー・アントワネットに横恋慕していた。そして、何とかしてアントワネットを手に入れ、その力を利用してさらに出世したいと考えていた。
 ここに、ラ・モット伯爵夫妻という一癖もふた癖もある詐欺師が登場した。詐欺師といっても、ラ・モットは現実に伯爵であり、その夫人はマリー・アントワネットのそばで働いていた。
 この二人がロアン枢機卿に目を着け、マリー・アントワネットの心を手に入れるための贈物として、パリの宝石商が作った160万リーブルもする高価な首飾りを購入させたのである。全部で540顆{か}のダイヤが使用されているという、とんでもない首飾りである。あまりに高価であるために買い手がつかず、宝石商も困っていたという代物だった。買い手が王妃マリー・アントワネットだというのでなければ、この宝石商もこの首飾りを人手に渡したりはしなかったかもしれない。なにしろ、購入するといっても、分割払いであり、最初の支払日は半年後という契約だった。
 さて、こうしてロアン枢機卿に高額な買い物をさせたラ・モット伯爵夫妻は、アントワネットに送り届けると嘘をつき、首飾りを受け取るや着服し、ダイヤモンドをばらばらにしてヨーロッパ中の貴族たちに売りさばいてしまったのである。
 したがって、この首飾りはアントワネットの手元には届かなかったわけで、彼女自身はこの事件とまったく関係ないといっていい。
 だが、この事件が発覚するや、民衆は大騒ぎとなり、贅沢好きでもともと人気のなかったアントワネットの評判は最悪のものとなった。「パリの民衆が今日のパンにさえ困っているときに、王妃はこんな贅沢をしている」というわけだ。
 もちろん、この事件がなくともフランス革命は起きただろうが、火に油を注ぐような事件だったことは間違いない。

 さて、ここでカリオストロだが、フランス王室史上最大のスキャンダルといわれるこの事件の一味の1人ラ・モット伯爵夫人が、事件の首謀者としてカリオストロの名を上げたのだ。そして、彼は1785年に逮捕され、バスチーユに投獄されたのである。
 本当に事件の首謀者だったのだろうか? それはわからない。フランス大法廷も確実な証拠を見つけることはできなかった。1年後、カリオストロは無罪釈放となったものの、すぐにもフランスから追放された。
 その後、カリオストロはロンドン、ローマと渡り歩いたが、昔のような活躍はできなかった。
 そもそも、ローマに行ったのが間違いだった。ローマはキリスト教会のお膝元で、異端の魔法は死罪となる土地である。にもかかわらず、カリオストロはここでも霊見術の魔法を公開実験したのである。彼はさらにもうひとつ大きな罪を犯した。彼は1776年にロンドンで正式なフリーメイソンの会員となり、各地で下部組織の建設に務めてきたが、ローマでもまたフリーメイソンの下部組織を建設しようとしたのだ。フリーメイソンはもちろん錬金術や魔術と関係の深い秘密結社である。これもまたローマでは断じて許されないことだった。
 カリオストロは異端審問所に逮捕されて終身刑となると、1791年にサン・レオの監獄に送られ、1795年に監獄内で死んだのである。

 ところで、カリオストロ伯爵はシチリア島パレルモの貧しい家庭の生まれで、本名はジュゼッペ・バルサモだったということがはっきりしている。だから、伯爵というのももちろん嘘である。
 あまりにひどい不良少年だったので、故郷にもいられなくなり、18歳で逃げ出したという。
 それから何年もの間、どこで何をしていたのかはっきりしない時期がある。そこで、カリオストロが秘教に通じた錬金術師だったと考える人々は、この間に彼は地中海やオリエント世界を旅して周り、秘教の奥義{おう/ぎ}と親しんだのだと伝えている。この途中、アルトタスなる大化学者と出会い、錬金術と医学と魔法を学んだが、このアルトタスこそサン・ジェルマン伯爵ではないか、などという話もある。 
 錬金術師の話 目次
 第一章 これだけでわかる錬金術の基礎

究極の目的―賢者の石
古代の神話や信仰にはぐくまれた錬金術
黄金変成を保証する四大元素の理論
錬金術の三種の神器――硫黄、水銀、塩

第二章 一世を風靡した錬金術師の活躍

錬金術の始祖とエメラルド板 *ヘルメス・トリスメギストス
黄金と不死を手にした最も幸福な男 *ニコラ・フラメル
コスモポリタンと呼ばれた快男児 *アレクサンダー・セトン
他人が作った賢者の石で名を上げた男 *ミカエル・センディヴォギウス
失敗に失敗を重ねた苦労人 *ドニ・ザシェール
誰にもいえない職業上の苦労 * トマス・チャーノック
オリーブ油を万能薬に変える奇跡 *ファン・ヘルモント
〝死ねない男〟といわれた奇跡の怪人物 *サン・ジェルマン伯爵
一世を風靡した大ペテン師!? *アレッサンドロ・カリオストロ伯爵
歴史から消された悪魔の友 *ヨーハン・ゲオルク・ファウスト博士
医師としても業績を残した革新児 *パラケルスス

第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力

見果てぬ夢を追うための嘘 *メレシコーフスキー『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
不老不死薬の実験台にされた娘 *チャペック『マクロプロス事件』
人造人間ホムンクルスの冒険 *ゲーテ『ファウスト』
人造人間ゴーレムと言葉の錬金術 *ユダヤの伝承
600年の呪いを生きた魔道師の物語 *ラヴクラフト『錬金術師』

第四章 薔薇十字団の錬金術

秘密結社・薔薇十字団と錬金術
薔薇十字団を創設した伝説的錬金術師 *クリスチャン・ローゼンクロイツ
ホムンクルス製造の物語 *ヴァレンティン・アンドレーエ『化学の結婚』

ブログ案内
小説『イオの末裔』〔Kindle版〕の販売に合わせて、同タイトルのブログ「イオの末裔」を始めました。よろしくお願いします。
 

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