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錬金術師の話
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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第四章 薔薇十字団の錬金術

薔薇十字団を創設した伝説的錬金術師 *クリスチャン・ローゼンクロイツ


 ☆薔薇十字団☆{ば/ら/じゅう/じ/だん}を代表する錬金術師といえば、やはりクリスチャン・ローゼンクロイツをおいてほかにない。
 そもそも、薔薇十字団(ローゼンクロイツァー)という名前自体が、ローゼンクロイツ(ローゼン=薔薇、クロイツ=十字)の団という意味を持っているのだ。
 ただし、あくまでも伝説中の存在で、実在の錬金術師ではない。
 1614年、『全世界の普遍的改革』というパンフレットがドイツで出版され、その付録として『友愛団の伝説(ファーマ・フラテルニタティス)』(以下『ファーマ』と略す)という匿名作者による一文が付けられていた。
 この文書の中で、薔薇十字団を創設したとされているのがクリスチャン・ローゼンクロイツなのである。

 『ファーマ』に記されたクリスチャン・ローゼンクロイツの伝記によると、彼は1378年、落ちぶれたドイツの貴族の家に生まれたという。
 5歳のときに修道院に入り、そこでギリシア語とラテン語を学んだ。16歳のとき、指導者とともにエルサレム巡礼の旅に出た。あいにく、指導者はキプロス島で死んでしまったが、ローゼンクロイツは1人で旅を続けた。
 その途中、体調を崩し、ダマスカスに長期間滞在した。このダマスカス滞在がローゼンクロイツの旅の目的を変えることになった。ここで、彼はアラビアの賢者たちが自然の秘密に通じており、様々な奇跡を行うという話を聞き、大きな衝撃を受けたのだ。☆病☆{やまい}から復帰したローゼンクロイツはエルサレム巡礼を放棄し、すぐにもイエメンのダムカルに向かった。
 驚いたのは、ダムカルの賢者たちがまるでローゼンクロイツがやってくることをずっと前から知っていたように見えたことだった。賢者たちは彼がまだ何もいわないうちから彼の名前を当てたり、修道院での出来事を話したりしたのである。
 ここで、ローゼンクロイツは3年間、賢者たちから学んだ。まず、アラビア語に熟達し、さらに物理と数学も習得したという。
 こうして十分な経験をつんだ後で、ローゼンクロイツはダムカルを去り、エジプトを経由してモロッコのフェズに入った。
 フェズでは、ローゼンクロイツは当地の賢者たちがみな同志であるかのように、自分の持つ秘密の知を互いに公開していることに驚かされた。それによって、フェズではどんな学問も、魔術も、どんどんと改良されていくのである。
 こんな環境だったので、ローゼンクロイツは2年の間に驚くほどのことを身につけた。そして、フェズを去り、スペインを経由してヨーロッパに戻った。
 ところが、アラビアで成就した成果をヨーロッパに広めようとしたローゼンクロイツはおおいに失望させられた。ヨーロッパの人々は、認識と信仰が統合された新しい哲学に心を開かず、彼の言葉に少しも耳を傾けようとしなかったからだ。
 そこで、ローゼンクロイツはドイツに戻ると、清潔で手ごろな家を建て、哲学と数学と自然学の研究に没頭した。
 このころ、ローゼンクロイツは錬金術によって黄金を作ることもできたが、けっしてそうすることはなかった。というのも、彼にとっては黄金作りは錬金術の重要な目的ではなかったからだ。彼の錬金術にとって最も重要な課題は、自然の神秘、宇宙の神秘を理解することだった。
 薔薇十字団の錬金術では、旧約聖書「創世記」で語られている神による天地創造そのものが、巨大な錬金術的過程だと考えられている。したがって、自然の神秘を探求して理解することは神を理解することであり、神と接触することを意味していた。そして、神との接触によって、人間は新たな存在、道徳的精神的に完成された存在へと生まれ変わる。これこそが、薔薇十字団錬金術の目的なのである。
 ローゼンクロイツの研究の目的もここにあった。
 こうして5年がすぎたとき、彼は自らの考えを実現するための具体的行動に着手した。かつて修道院で知り合った3人の同志を呼び寄せ、わずか4人で友愛団を結成したのである。そして、4人は魔術的な暗号言語を作り、聖霊の家という新たな建物を完成した。

 そこで彼らは新しく4人の同志を加盟させ、さらに議論を続け、友愛団の思想を完璧に作り上げた。それから、ローゼンクロイツを含めて3人が聖霊の家に残り、残りの者たちは全世界に分散し、無料で病気の治療にあたった。
 この段階で、友愛団には6項目の規則が設けられていた。毎年一度聖霊の家に集まること、同志たちはそれぞれ不測の場合に備えて後継者を決めておくこと、友愛結社の存在を100年間秘密にしておくこと、などである。

 以上が、錬金術師ローゼンクロイツと薔薇十字団結成の物語だが、ローゼンクロイツが真に神秘的な人物だったことが証明されるのは、むしろその死後のことといっていい。
 とはいえ、ローゼンクロイツがいつ死に、どこに埋葬されたかは秘密にされたので、後代の友愛結社員はそれについてまったく知らなかった。
 それがまったくの偶然で発見され、そのことによってローゼンクロイツの神秘的な偉大さが再確認されることになったのだ。
 1606年のことである。第三世代の友愛結社員のひとりが、聖霊の家の改修中にいままで見たこともない隠し扉を発見した。見ると、その上には「わたしは120年後に発見されるだろう」と予言の言葉があった。
 驚いた友愛結社員はすぐにも同志を呼び、隠し扉を開けて内部に入り込んだ。すると、そこは地下埋葬所になっており、ローゼンクロイツの遺骸が無傷のまま安置されていたのだ。この結果、その予言の言葉から、ローゼンクロイツが1486年に106歳で死んだことがはっきりしたのである。
 さらに、地下埋葬所にはパラケルススと友愛団に関する書物も収められていた。このことから、薔薇十字団にとってパラケルススが非常に重要な錬金術師と認められていたことがわかる。
 また、そこにはローゼンクロイツの功績を讃える☆羊皮紙☆{よう/ひ/し}の巻き物があった。それによれば、彼は天界と人間界の秘術を極めつくし、莫大な財宝の守護者となり、死ぬ前には世界の完全な縮小模型を作り、過去・現在・未来のあらゆる出来事の要約を完成したという。そして、巻き物の最後には次の言葉があった。
 「我らは神により生まれ、イエスのうちに死に、聖霊によりよみがえる」

 このことがあって、薔薇十字団員たちはいまこそ薔薇十字団の存在を世に示すときだと考えた。彼らはローゼンクロイツの墓を再びふさいだ後、すぐにも創設者ローゼンクロイツと薔薇十字団結成に関する記録を書き上げた。

 これが、薔薇十字団の存在を初めて世に示すことになった『ファーマ』という文書であり、これによって薔薇十字団の錬金術師ローゼンクロイツの存在が人々に明かされることになったのである。
 最初に述べたように、ローゼンクロイツは伝説上の人物だが、この物語から彼が黄金変成に夢中になる古いタイプの錬金術師ではなく、錬金術の中に新しい可能性を見出した新時代の錬金術師だったことがわかるはずだ。 
 錬金術師の話 目次
 第一章 これだけでわかる錬金術の基礎

究極の目的―賢者の石
古代の神話や信仰にはぐくまれた錬金術
黄金変成を保証する四大元素の理論
錬金術の三種の神器――硫黄、水銀、塩

第二章 一世を風靡した錬金術師の活躍

錬金術の始祖とエメラルド板 *ヘルメス・トリスメギストス
黄金と不死を手にした最も幸福な男 *ニコラ・フラメル
コスモポリタンと呼ばれた快男児 *アレクサンダー・セトン
他人が作った賢者の石で名を上げた男 *ミカエル・センディヴォギウス
失敗に失敗を重ねた苦労人 *ドニ・ザシェール
誰にもいえない職業上の苦労 * トマス・チャーノック
オリーブ油を万能薬に変える奇跡 *ファン・ヘルモント
〝死ねない男〟といわれた奇跡の怪人物 *サン・ジェルマン伯爵
一世を風靡した大ペテン師!? *アレッサンドロ・カリオストロ伯爵
歴史から消された悪魔の友 *ヨーハン・ゲオルク・ファウスト博士
医師としても業績を残した革新児 *パラケルスス

第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力

見果てぬ夢を追うための嘘 *メレシコーフスキー『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
不老不死薬の実験台にされた娘 *チャペック『マクロプロス事件』
人造人間ホムンクルスの冒険 *ゲーテ『ファウスト』
人造人間ゴーレムと言葉の錬金術 *ユダヤの伝承
600年の呪いを生きた魔道師の物語 *ラヴクラフト『錬金術師』

第四章 薔薇十字団の錬金術

秘密結社・薔薇十字団と錬金術
薔薇十字団を創設した伝説的錬金術師 *クリスチャン・ローゼンクロイツ
ホムンクルス製造の物語 *ヴァレンティン・アンドレーエ『化学の結婚』

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小説『イオの末裔』〔Kindle版〕の販売に合わせて、同タイトルのブログ「イオの末裔」を始めました。よろしくお願いします。
 

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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