小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第三章 伝説や物語に見る錬金術の魅力 |
不老不死薬の実験台にされた娘 *チャペック『マクロプロス事件』
洋の東西を問わず、錬金術の重要な目標とされているものに、不老不死がある。それだけ、人類は不老不死に対して大きな☆憧{あこが}☆れを持っていたといっていい。
だが、不老不死とはそんなにもすばらしいものなのだろうか?
錬金術に興味を持っているなら、一度くらいはこんな問題について考えてみてもいいのではだろうか。
そこで読んでほしいのが、チェコの代表的作家カレル・チャペック(「ロボット」という造語を作ったことでも有名)の『マクロプロス事件』(1922)という戯曲である。
この作品は錬金術師そのものを扱っているわけではないが、賢者の石によってもたらされる不老不死というものについて、どうしても避けることのできない深刻な問題を提出しているからだ。
ある日のこと。ある弁護士事務所に見た感じ30歳くらいのとてつもなく魅力的な女性が現われる。彼女の名はエミリア・マルティ。非常に人気の高い実力派の歌手である。
おりしも、この弁護士事務所では、1827年から100年近くも続いている、プルスという男爵の遺産相続をめぐる訴訟を扱っている最中だったが、エミリアはやってくるなり、この問題について今まで誰も知らなかった新しい事実を次々と明らかにしていったのである。
それを聞いた人々はみな驚かないわけにはいかなかった。彼女が明らかにした事実の中には、その時点で30歳の彼女が知るはずのない、100年前のプルス男爵のことまでが含まれていたからだ。しかも、彼女はその事実をまるで目の前で見ていたかのように話したのである。
もちろん、最初は誰も信じなかった。だが、彼女の話を聞くうちに、どうしても信じないわけにはいかなくなっていくのである。
エミリアが語った突拍子もない物語はおよそ次のようなものだった。
彼女は見た目は30歳くらいに見えるが、実は347歳で、生まれたのはなんと1585年なのだという。
1585年という数字をなんとなく読み過ごしてはいけない。その時代には、現在はチェコの首都とされているプラハに、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世(1552~1612)の宮廷があったからだ。
ここで、ルドルフ2世について簡単に解説しておこう。ご存知の方も多いかもしれないが、ルドルフ2世といえば錬金術、占星術などのオカルト学に非常な興味を燃やし、彼自身が錬金術師だったともいわれている人物である。このような人物のもとに数多くの錬金術師や占星術師が集まってくるのは当然で、当時のプラハはヨーロッパの魔術研究の中心地のようになっていた。ルドルフ2世の宮廷にも数多くの錬金術師がおり、日夜研究に励んでいたことはいうまでもなかった。
こうした時代と土地柄が、エミリア・マルティの運命を変えてしまったのである。
エミリアの話によれば、当時、ルドルフ2世の侍医のひとりにヒエロニムス・マクロプロスという錬金術師がいた。
このヒエロニムスが、あるとき300年の若さを保つ「マクロプロスの秘術」を発明し、若返りを望んでいたルドルフ2世のためにその処方を書き記した。
普通、完全な賢者の石ならば永遠の不老不死をもたらすはずで、それが300年と限定されていることからも、ヒエロニムスが作り出したのが完全な賢者の石でなかったことがうかがえる。それでも、300年の若さといえば驚くべき数字であり、ルドルフ皇帝も大いに喜んでいいはずだった。
だが、皇帝は喜ばなかった。
皇帝は若返りを望んでいたが、それと同時に毒殺されることを極端に恐れていた。そして、「マクロプロスの秘術」が自分を毒殺するための罠ではないかと疑ったのである。
そこで皇帝は言った。
「ならばまず、お前の娘で試してみよ」
こうして、ヒエロニムスの娘で、当時16歳だったエリナ・マクロプロスが「マクロプロスの秘術」の最初の実験台となった。
薬を飲んだエリナは、その直後から高熱を出し、意識不明のまま1週間以上もベッドに横たわり、その後元通りに回復した。
この結果、エリナは300年の若さを保つ身体に変わったのである。
だが、皇帝は腹を立てた。実験が成功したことを証明する手段がどこにもなかったからだ。仮に、エリナがその後300年間若さを保ったとして、それを証明できる人間がいるだろうか。いるとすれば、その人間もまた300年の寿命を持っていなければならないではないか。
怒った皇帝はエリナの父を☆詐欺師☆{さ/ぎ/し}と呼び、牢獄に閉じ込めた。
エリナは父が書き残した「マクロプロスの秘術」の処方をすべて持って、ルドルフ皇帝のもとから逃げ出した。
それから、エリナ・マクロプロスは、エリアン・マック、エウヘニア・モンテスなどというように、つねに頭文字がE.M.となるような偽名を使い、ヨーロッパ中を旅しながら生き続けた。
その間、彼女は何人もの男と恋をし、結婚し、数多くの子供を産んだ。
彼女は、何人かの恋人たちに「マクロプロスの秘術」の処方を見せたこともあった。
最後に、彼女がその処方を与えたのが、100年近くも前に彼女の夫だったプルス男爵だった。
だが、プルス男爵は処方に失敗し、秘薬を飲んで死んでしまった。そして死の直前、プルスは「マクロプロスの秘術」の処方が書かれた☆羊皮紙☆{よう/ひ/し}の書類をそのほかの遺産とともに息子に遺したのである。
ところで、「マクロプロスの秘術」がそんなにも大切なものならば、それから現在までの間に、エリナにはそれを取り戻すチャンスが何度もあったのではないだろうか?
だが、彼女はそうはしなかった。実は、彼女はその時点ですでに人生に絶望していたのだった。いつまでも続く人生、愛した男たちが次々と死んでいく人生に、彼女は希望を見出すことができなくなっていたのである。
しかし、それから100年近くたち、300年の若さを得た彼女にも死期が近づいてきた。そのことに気がついたとき、彼女は無性に死が恐ろしくなった。人生に絶望しながら、それでも死ぬのが怖かった。
そこで、彼女は「マクロプロスの秘術」が書かれた処方を取り戻すために、プルス男爵の遺産相続の訴訟を扱っている弁護士事務所に乗り込んできたのだ。つまり、まだ30歳くらいにしか見えない魅力的な女性エミリア・マルティこそ、錬金術師ヒエロニムスの娘エリナ・マクロプロスだったのである。
ここで興味深いのは、この物語の結末である。というのは、エミリア・マルティの証言どおり、「マクロプロスの秘術」はプルス男爵の遺産の中から発見されるが、ことここに至って、彼女にはそれが何の役にも立たない、どうでもよいもののように思えてきてしまうからだ。
弁護士事務所の人々や遺産相続人たちにも、よいアイデアは浮かばない。あれこれ意見は述べるものの、一体どうすべきなのか誰にもわからなくなってしまうのだ。
そして、最後には邪気のない少女クリスティナがその決断を託され、「マクロプロスの秘術」はろうそくの火で燃やされてしまう。
これを見て、エミリアがいう。
「はははは、ついに不死が終わったわ!」
どうだろうか。エミリアの笑いを理解できるのは、不老不死を手に入れた人間だけなのだろうか?
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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