小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
販売開始しました。 |
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第二章 一世を風靡した錬金術師の活躍 |
他人が作った賢者の石で名を上げた男 *ミカエル・センディヴォギウス
有名な錬金術師の中には、もちろん“偽”錬金術師も多かった。
では、どんな錬金術師のことを偽錬金術師というべきなのだろう。
みなさんは、偽錬金術師というとすぐにも、様々なトリックを用いて、☆卑金属☆{ひ/きん/ぞく}から黄金を作り出せたかのように見せかけるペテン師を思い浮かべるかもしれない。
だが、自分では賢者の石を作ることもできないくせに、他人の作った賢者の石で金属変成を行い、自分は錬金術師だと名乗る者も、同じく偽錬金術師の仲間といっていいはずだ。
もちろん、この手の錬金術師の運命は、現在所有している賢者の石を使い切った時点で、あるいはそれをなくしてしまった時点で尽きてしまう。だが、それまでは完全な錬金術の達人として、歴史に残る名声を築くことができるのだ。
そんな偽錬金術師の代表がミカエル・センディヴォギウスである。
センディヴォギウスはザクセン(ドイツの一部)からそう遠くないポーランドの町に住んでいた。いろいろな製品に色をつける着色料の製造業者というれっきとした職業があったが、見栄っ張りだったので、いつもお金に困っていた。これが彼を錬金術に近づける動機になったようだ。
1603年、彼が37歳のとき、コスモポリタンというあだ名で有名な錬金術師アレクサンダー・セトンがザクセン選帝侯クリスチャン2世に捕えられ、牢に入れられるということがあった。これを知ったセンディヴォギウスはすぐにもイチかバチかの行動を開始した。
彼は思い切って自宅を売り払って金を作ると、宮廷にいる友人の有力者に賄賂を使い、牢獄に入ってセトンに近づく許可を得た。さらに、お金の力で牢番たちとも親しくなった。そして、ある日、牢番たちに酒を振舞い、彼らが酔っ払った隙にセトンを脱獄させることに成功したのである。
残念なことに、うまく脱獄できたとはいえ、セトンは☆拷問☆{ごう/もん}の傷がもとで間もなく死んでしまった。このため、センディヴォギウスはセトンから賢者の石の秘密を聞き出すことまではできなかった。だが、その代わり、セトンが残した賢者の石の粉末をすべて譲り受けることに成功した。
ここで不思議なのは、ただたんにお金がほしいだけなら、手に入れた賢者の石で人知れず黄金を変成すればいいことなのに、彼はそうしなかったということだ。センディヴォギウスは、わざわざ人前で繰り返し金属変成を行ったのである。やはり見栄っ張りな性格のせいで、錬金術師としての名声がほしかったのだろうか。
もちろん、彼はすぐに有名になった。
その噂を聞いた神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世からお呼びがかかると、センディヴォギウスはプラハに行き、皇帝の前で金属変成を成功させた。このとき、センディヴォギウスが贈った少量の粉末で、皇帝自身もまた金属変成に成功した。
この快挙にルドルフ2世は大喜びし、金属変成が行われた部屋の壁に「センディヴォギウスの業績が他の人々にも成し遂げられるように」と書かれた大理石の板が取り付けられたという。そして、センディヴォギウスは王の顧問という称号を与えられたのだ。
これによって彼の名声がさらに高まったことは、あらためて断るまでもないだろう。
しばらくして、彼はポーランド国王シギズムント3世から招待され、今度はポーランドの王宮で金属変成を成功させた。
さらに、1604年にはシュトゥットガルトのヴュルテンベルク公フリードリッヒに招待され、フリードリッヒの城で何度も金属変成を成功させた。そして、センディヴォギウスは伯爵の位を授けられた。
センディヴォギウスは大いに喜んだかもしれない。だが、その陰で不安におののく男がいたことに彼は気づかなかった。
それはこういうことだ。
フリードリッヒの宮廷にはセンディヴォギウスがやってくるより以前から、ムレンフェルスという錬金術師の伯爵がいた。
おそらくムレンフェルスはいまだに賢者の石を作ることはもちろん、真の金属変成を成し遂げることができなかったのだろう。もしかしたら、手品のような技を使って金属変成らしきものを成功させ、それで伯爵の地位を手に入れたのかもしれない。
そんなムレンフェルスの前に、いとも簡単に金属変成を成功させる錬金術師が出現したのだからたまらない。何とかしてセンディヴォギウスを追い出さなければ、彼がそう思うのは当然だった。
錬金術師といっても、宮廷に仕えるようになると、こんなことにも悩まなければいけないのである。
そこで、彼はすぐにも行動を開始した。
ムレンフェルスはいかにも☆慇懃☆{いん/ぎん}な態度でセンディヴォギウスに近づき、ささやいた。
「フリードリッヒ公爵が賢者の石の秘密を聞き出そうと、あなたの監禁を企んでいます。くれぐれも注意してください」
センディヴォギウスはこれが嘘だとは思わなかった。アレクサンダー・セトンがクリスチャン2世のためにどんな目に合わされたか、彼はよく知っていたからだ。
彼はすぐにも荷物をまとめ、暗いうちに逃げ出した。
ところが、それもつかの間、しばらくすると彼は馬で追いかけてきた武装した男たちに襲われ、賢者の石の粉末はもちろん、貴重品のすべてを奪われてしまった。命をとられなかっただけでも幸運だった。
とにかく、何もかもが、ムレンフェルスの仕組んだわなだったわけだ。
やがて、そのことに気づいたセンディヴォギウスはルドルフ2世の宮廷に訴えた。話を聞いたルドルフ2世は、フリードリッヒ公にムレンフェルスの処罰を命じた。1607年、ムレンフェルスは錬金術師らしく金メッキされた絞首台で処刑された。
この結果、多くの貴重品がセンディヴォギウスに返還された。しかし、賢者の石の粉末だけは戻ってこなかった。
こうして、センディヴォギウスの運も尽きてしまった。その後も彼は1646年まで生きるが、その末路はひどくみじめなものだったのである。
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