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フランボワイヤン・ワールド
幻想都市計画論
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

第2章 目的別幻想都市計画論 
■宗教都市 

サンプル宗教都市サン・ロレンソ 

5 宗教都市らしさのために


■意味のある構造

 宗教都市を作る場合、いうまでもなく宗教的な事柄を重んじるという姿勢が大切だ。
 実際の宗教都市でも、聖職者たちは、都市を作るにあたって、できるかぎり宗教の内容を表現しようと心掛けていた。もちろん、相手が現実では、こうした試みもなかなかうまく いかないことの方が多い。
 ファンタジーの世界でも、宗教の内容を、都市そのもので表現することは、難しいことだ。そのためには、ストーリーだけでなく、宗教の内容まで、細かく考えなければいけない。しかし、もしそれができれば、間違いなく、とても魅力的な宗教都市が完成するだろう。
 1つの例だが、物語にはたびたび、大きな謎をあらわす口伝や伝説などが登場する。その謎を解いたものだけが、宝の本当のありかを知ることができる、というやつだ。これと、同じようなことが、都市そのものによって表現できるのである。
 ここでは、現実の都市から、幻想的な都市作りのヒントとなるものを紹介しよう。

*宗教を表現する内部構造

 町そのものの構造で、宗教の内容をあらわすことができる。この場合、宗教を象徴する形に町を作ってしまうのが最も簡単な方法である。
 中世のヨーロッパには、大きな街路を都市の中心部で、十字形に交差させるような都市が存在していた。十字形によって、キリスト教が表現されているわけだ。
 ヒンズー教のインドでは、1000年頃から、マンダラの図を下敷きにする都市計画が存在していた。18世紀に太古の礎石の上に再建されたインドの城壁都市ジィープルにも、ヒンズー教のマンダラ模様が生かされているという。
 都市の構造の中に、このような表現があれば、それがどのような宗教都市であるか、すぐにわかるだろう。

チチェスターの十字型街路 

マンダラの都市計画図 

*占星術と数秘学的都市構造

 宗教のシンボルマークだけではなく、占星術や数秘学といった、宗教と一体となるような学問も、都市の構造を決める場合の、重要なテーマになる。
 円形都市の場合には、門がちょうど磁石の方向に配置されたり、円形そのものが占星術の12図によって配置されたりした。これは、天の秩序の公平さを表現したもので、バクダッドなどがこうして作られた。

 古代に繁栄したアッシリアの四角形の宗教都市では、しばしば、数秘学といった、神秘的な数学思想によって、都市の構造が決められていた。たとえば、アッシリアのボルシッパ(BC7世紀頃の都市)は、6個の門と6本の道路で構成されていた。

ボルシッパ 

 7番目の門は特別な門で、聖域にのみ通じていた。これは、6と7が、数秘学的では特別な意味を持つ数字とされていたためだ。

 6:完全女数

 完全数は、その数自身よりも小さい約数の総和となる数。
 6の約数は、1、2、3。そして、1+2+3=6となる。

 7:男数
 7は素数であって、他の数から独立していると考えられた。

 5も素数だが、7は完全数28の約数だから、5より偉い。

(数秘学では、偶数を女数、奇数を男数として扱う。)

 数秘学や占星術を勉強するのは大変だが、基本的なことだけでも都市作りに活かしてみたらどうだろうか。謎解きのストーリーなどには最適の都市を作ることができるだろう。

■幾何学的な宗教都市

 ここでは、歴史上に存在した都市で、一風変わった雰囲気を持つ宗教都市を紹介しておこう。ストーリーの中で、はっきりと異なるタイプの宗教都市を登場させたいときに、都市作りのヒントになるだろう。

*円形の宗教都市

 円形の宗教都市の典型は、先ほど占星術の所で出てきたバクダッドだろう。
この都市は、イスラム世界の中心地として、8世紀中葉に建設された純粋に円形の都市である。その後、都市部分が円形の城壁を越えて、外部に不規則に発展してしまったが、当初は、円形の内部だけが、バクダッドという都市だった。
 イスラム世界は、カリフか最高権力者であり、カリフが宗教、政治を動かしている。したがって、バクダッドは王宮都市ともいえるかもしれないが、イスラムの中心地であるバクダッドから、宗教的性格を消すわけにはいかない。
 バクダッドの中心には、巨大な王宮とイスラム世界の主教建築である大モスクが存在している。その周りには広い円形の広場があって、そこに警備兵舎と親衛隊の駐屯所がある。住民は、ファシルと呼ばれる壁状街路に住んでいる。バクダッドの円形城壁の内側に、城壁に沿うように4つの環状壁があり、その間が部屋のように区切られている。その空間がファシルである。住民たちは、この場所で壁に沿うように家屋を建てて暮らしたのである。

バクダッド 円形城壁

*四角形の宗教都市

 四角形の宗教都市は、古代エジプト、アッシリア、バビロニアなどに存在した。
 四角形の都市は、中心が作りにくく、宗教都市としては向かないのだが、エジプト人たちは歴史が始まったときから、四角形の宗教都市を建設していた。特にメンフィス王朝 (BC2900~2200年頃)のエジプトは、純粋な神権政治によって支配されていた。そこでは、最高の呪術師ファラオは人であると同時に神であり、神であると同時に人だった。それで、当時のエジプトでは、1つの中心を持つ、純粋な宗教都市が建設されたと考えられている。
 しかし、当時のエジプトの建築物で現在でも確認できるのは、ほとんどが主の墓などの記念建造物だけである。これは、絶大な権力を持つファラオの墓だけが、耐久性のある石造りで、それ以外の一般人の住居などは、風化しやすい土、泥、レンガなどで作られていたためと考えられている。それでも、当時の様子を伝える発掘例もあり、これによって、エジプトの都市が規則正しい四角形で構成されていたことが知られている。

 四角形の都市全体が残っているものは存在しないが、「死者の町」ともいわれるサッカラのゾーセル王(2680年ころ)の神殿を見れば、それがどれほど幾何学的なものだったが、推測できるだろう。

サッカラ、ゾーセル王の埋葬複合体
(本文中のイラストは深田雅人作)
幻想都市計画論目次
第1章 都市のリアリティー


1 リアルとは?
2 現実の都市を見る
3 何から始めるか

第2章 目的別幻想都市計画論


■軍事都市

1 理想の軍事都市をもとめて
2 軍事都市の施設と機能
3 脅威の存在が都市に与える影響
4 立地場所を考える
5 防壁のいろいろ

■宗教都市

1 宗教都市とは何か?
2 中心から都市を作る
3 宗教都市の分析
4 宗教都市の中身
5 宗教都市らしさのために

■商業都市

1 なぜ商業都市なのか?
2 商業都市の立地条件と形態
3 商業都市の構造と要素

■行政都市

1 行政都市の特徴
2 王宮都市の形態
3 王宮都市の構造と要素
4 王宮のない中心都市

■鉱山都市

1 鉱山都市の特徴
2 鉱山都市の形態
3 鉱山都市の構造と要素

■大学都市

1 大学都市の特徴
2 大学都市の形態
3 大学都市の構造と要素
4 魔法学院都市

■植民都市

1 植民都市の特徴
2 植民都市の形態
3 植民都市の構造と要素

第3章 条件別幻想都市計画論


0 概要
1 「立地場所」から作る
2 「世界背景」から作る
3 「気候条件」から作る
4 「存在意義」から作る
5 「規模」から作る
6 「都市の中身」から作る

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小説『イオの末裔』〔Kindle版〕の販売に合わせて、同タイトルのブログ「イオの末裔」を始めました。よろしくお願いします。
 

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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