小説
イオの末裔
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第2章 目的別幻想都市計画論 |
3 植民都市の構造と要素
■ 植民都市内部の街路網
植民都市では、内部の構造や要素にも本国との関係がはっきりとあらわれてくる。
植民都市は本国の支配下におかれている。したがって、本国にしてみれば、植民都市を作る場合に、どうしたら支配しやすいかということを常に考えているからだ。
都市全体を支配しやすく作る場合、もっとも重要なのは街路の構造である。植民都市の街路は基本的に直線中心で構成され、全休として規則的な矩形構造を持っている。街路を矩形にすると、市民の住所もわかりやすいし人口の調査などもやりやすい。矩形構造の街路網が都市全体を管理しやすくするのである。
このように、植民都市に意識的に矩形の構造を導入したのは、ギリシア人が最初だといわれている。しかし、その構造は、古代ローマ時代はいうに及ばす、スペインのアメリカ植民地などにも適用されている。
もともと繁栄していた都市を植民都市にする場合には、都市全体を矩形構造に変更するのは不可能だが、それ以外の場合には、植民都市の街路構造は基本的に矩形の構造になると考えてよい。以下に例をあげておこう。
ミレトス街路図 |
テュラ・エウロポリス街路図 |
これらの都市の街路構造が、どれほど意識的なものであるかは、自然成長的な都市の街路構造と比べてみるとなおさらはっきりする。自然成長的な都市では、そこにもとから存在した街道を生かして街路が成長する。その結果、まったく計画性というものが感じられないような街路網ができるのだ。図の古代ギリシアのアテネもひどく不規則で、それが自然成長した都市であることを示しているといえるだろう。
アテネ街路図 |
■植民都市に必要なもの
植民都市の内容物は、その都市が建設された目的によって異なってくる。
本国が植民地や植民都市を建設する目的にはいろいろある。増え過ぎた人口を調節するとか、農地や資源の開発、軍事基地の建設、貿易基地の建設、周辺地域の支配といったものがそれだ。このことは、植民といっても軍事都市的な性格の場合もあれば、港湾都市、隊商都市的な場合もあるということだ。
しかし、共通して存在しなければいけない要素もある。それは、本国による支配をあらわすような要素である。
ここでは遠隔地貿易の拠点として建設された港湾都市1タイプを例にして、どのような要素が必要となるかを紹介しよう。
[1]本国にとって必要なもの
遠隔地貿易の拠点なのだから、植民都市に大きな港湾があるのは当然だ。また、港の周辺には多数の倉庫も必要だ。
しかし、この植民都市はけっして通常の商業都市ではない。この都市の商業活動はあくまでも親都市のためのものであって、その都市全体が商業によって繁栄しているわけではない。だから、いろいろな国の商人が集まってきて、この都市で大きな市が立つということもない。華やかな部分があるとしても、それは港湾の周辺に限られているといってよいだろう。港湾都市的な要素も港湾周辺に限られているのだ。
[2]支配者の拠点
植民都市の最大の特徴は、都市の政治の中心に本国からの出先機関があるということだ。そこには本国から派遣された役人がいて、彼らが都市の政治を動かしているのである。例にあげた植民都市の政治の中心は、港湾の近傍にある役人の館である。それは、いうなれば総督の館のようなものだ。そこに、本国から派遣された貴族が住んでおり、都市を支配しているのである。
[3]軍事的要素
このような従属的な都市で暮らす市民は、もし自立の意志があるなら権力者である本国に立ち向かうだろう。そこで、そのような市民を暴力で従属させるための軍事駐屯地もここでは大きな役割を果たしている。
[4]移住者に必要なもの
植民都市は本国のために存在している。しかし、そこに住んでいる移住者だって生活しなければいけない。そこで植民都市は基本的に自給自足できるように作られている。たとえば市民の食物は都市周辺の農地で作られているだろう。住居は採石場から切り出された石や石灰、森林の木材で作ることができる。また港湾労働者たちは親都市に奉仕しているので、植民都市のためには何も生み出さないが、彼らの生活を保証するのも、植民都市の義務なのである。植民都市を作る以上は、これらのことも十分に考える必要がある。
■本国に類似した各種要素
支配と被支配の関係は建築物の様式など文化的な面にもあらわれてくる。そのため、植民都市では各種の要素が本国の影響を受けるという傾向がある。本国からの移住者がほとんどを占めるような植民都市ではなおさらそうである。
ギリシアの植民都市の場合なら、都市内部にある構成要素もまった<ギリシア風のものになっているのが普通だろう。植民都市が豊かになるにしたがって、本国風の建築が徐々に移入され、完成度を増していくのだ。アクロポリスやアゴラ、神殿などが、経済の伸長に合わせるように作られていくのである。
アゴラといえば民会などを開く、民主的な色彩の濃い場所だ。しかし、植民都市の場合その意味は違っている。それは、本国にもあるからここにもあるというただそれだけのものなのだ。
■2種類の文化を持つ植民都市
植民都市によっては、都市の構成要素が完全に本国風にならない場合もある。何もない地域が移住者に占って開拓されたのなら、都市の構成要素のすべてが本国風になることも可能だ。しかし、異なる文化を持つ民族によって作られた都市を、後から武力によって植民都市にしたような場合には、本国風の要素とはじめからそこにある伝統的な要素とが、まぜこぜになったような植民都市ができあがるのだ。
ローマ帝国時代の隊商都市パルミラがこのように2つの文化がまぜこぜになった植民都市の好例である。この都市は、ローマの支配下におかれる以前から、宗教の中心にベール神殿を持っていた。パルミラ人の都市はベール神殿を中心にした一種の宗教都市だった。そのため、パルミラの構成要素は最初からあったシリア風の文化と、後から入ってきたローマ風の文化がまぜこぜになったような様相を呈していたと想像できる。このような都市では移住者と先住者の対立も激しくなる。
パルミラはパックス・ローマーナ(ローマの平和)といわれる安定の中で、隊商都市としておおいに発展した。しかし、パルミラの繁栄を支えたのはパルミラ人の商人たちであってローマ人ではなかった。ローマ人はパルミラから税金を吸いあげるだけだった。パルミラの直接の支配者はローマ帝国のシリア総督で、パルミラの開税収入のすべてがシリア総督に奪われたのである。
ハドリアヌス帝のときにパルミラは自治権を与えられ、パルミラ人の元老院によって行政を行える都市へと成長した。しかし、ローマの支配下にあることに変わりはなく、ローマが必要とする葉沢品や塩に関しては、パルミラの税をかけることはできなかった。
このように、同じ植民都市であってもその都市の歴史的変遷によって、都市内部の構成要素はいろいろである。逆にいえば、植民都市の構成要素を見ただけで、その都市の歴史的な変遷がある程度想像できることになる。植民都市内部で支配者民族と被支配者民族に激しい対立があるような場合、ここで述べたような、都市内部の構成要素における対立も、重要なポイントになるといえるだろう。
■プランテーションの配置
植民都市をリアルに作ろうとすれば、支配者と被支配者の具体的な関係をあらわすような、都市内外の細かな要素もけっして無視することはできない。しかし、古代ギリシア・ローマ時代の植民都市の場合、その細部がどのようになっていたのか、なかなか知ることができない。このような場合、比較的はっきりしている新しい植民都市から、利用できそうな要素を借用して、それを古代風に置き換えるという作業も必要だ。
コロンブスによる発見から重商主義時代にかけて、スペインがアメリカに建設した植民都市は、巨大帝国の植民地支配がどのようなものだったかを知るための、恰好の材料となるだろう。
この時代の植民都市も、ジャカルタの例を見ればわかるように、基本的に矩形構造の街路網を持っていた。したがって都市自体の構造は、建物が近代的なのを除けば、古代ギリシア・ローマ時代からそれほど変化していないといえる。
アメリカ植民の時代には、支配者と被支配者との関係は、植民都市そのものよりも、むしろ都市周辺のプランテーションなどにはっきりとあらわれていた。植民都市には支配者である白人が住み、原住民の住む周辺地帯を支配するというのが基本的な構図だったのだ。
もちろん、植民都市は本国に従属していたので、植民都市の市民が奴隷たちから吸いあげた利益や産物はさらに本国の人間によって吸いあげられた。しかし、これらの植民都市は植民地経営の前哨基地のようなものだった。植民都市の周辺には広大なプランテーションが作られ、原住民やアフリカ黒人の奴隷を使った農場経営が行われていた。このプランテーションの構造に支配者と被支配者の極端な関係を垣間見ることができる。
スペイン領アメリカ植民地の農場の配置図 |
▼チェックリスト≪植民都市の要素と留意点≫
要素 |
留意点 |
街道 |
本国との関係、交通手段、宿場町 |
航路 |
本国との関係、交通手段、寄港地 |
街路 |
支配しやすさ(矩形構造) |
総督館 |
支配者の拠点、本国の出先機関、派遣貴族 |
港 |
海運型植民地、商業中継地 |
軍駐屯所 |
軍事的な支配力、要塞、軍事基地、兵士 |
移住者 |
自給自足、住居、産業、自国の文化的要素 |
原住民 |
搾取の対象、原住民の文化的要素 |
(本文中のイラストは深田雅人作) |
幻想都市計画論目次 |
第1章 都市のリアリティー
1 リアルとは?
2 現実の都市を見る
3 何から始めるか
第2章 目的別幻想都市計画論
■軍事都市
1 理想の軍事都市をもとめて
2 軍事都市の施設と機能
3 脅威の存在が都市に与える影響
4 立地場所を考える
5 防壁のいろいろ
■宗教都市
1 宗教都市とは何か?
2 中心から都市を作る
3 宗教都市の分析
4 宗教都市の中身
5 宗教都市らしさのために
■商業都市
1 なぜ商業都市なのか?
2 商業都市の立地条件と形態
3 商業都市の構造と要素
■行政都市
1 行政都市の特徴
2 王宮都市の形態
3 王宮都市の構造と要素
4 王宮のない中心都市
■鉱山都市
1 鉱山都市の特徴
2 鉱山都市の形態
3 鉱山都市の構造と要素
■大学都市
1 大学都市の特徴
2 大学都市の形態
3 大学都市の構造と要素
4 魔法学院都市
■植民都市
1 植民都市の特徴
2 植民都市の形態
3 植民都市の構造と要素
第3章 条件別幻想都市計画論
0 概要
1 「立地場所」から作る
2 「世界背景」から作る
3 「気候条件」から作る
4 「存在意義」から作る
5 「規模」から作る
6 「都市の中身」から作る |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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