小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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第2章 目的別幻想都市計画論 |
サンプル都市クリソトリコン |
3 王宮都市の構造と要素
クリソトリコンの概略図 |
■王宮都市の構造
小さな王宮都市でも大帝国の首都でも、王宮都市の中心にあるのは王の住む宮殿である。王宮都市自体は、一般的に市壁で囲まれている。そこで王宮都市を作るには、まず始めに王宮都市の領域を市壁で囲み、都市内の最適の位置に宮殿を置く。それから、街路によって都市の構造を決定していくのだ。
▼王宮都市の構造(サンプル)
(1)エジプト風の矩形都市
(2)円形の放射状都市
(3)扇型都市
(4)絶対君主の幾何学的都市
クリソトリコンでは、放射状に走る3本の都大路によって、首都の中心がはっきりと示されている。
宗教都市の場合と同じように、王宮都市でも、都市内にある王宮を中心とするように、都市の構造を作るのが基本だ。その意味でクリソトリコンは、ほぼ皇帝の意志を反映した、理想に近いものとなっているといってよいだろう。
しかし王宮都市の構造は、王権の強弱によっても、風土によっても異なってくる。王権が弱ければ、都市の構造に王の意志を反映することはできない。たとえ王権が強くても、その土地柄によっては、矩形の構造を好む場合もある。また、比較的新時代風にしたいなら、都市全休をきっちりした幾何学でまとめるのもよいだろう。
■王宮都市の要素
クリソトリコンは、帝国の首都として作られた王宮都市である。この都市には、王宮都市に望まれるものは、基本的にすべてそろっていると考えてよい。だから、この都市に何があるかを見れば、王宮都市に何が必要であるかということがよくわかるはすだ。
小さな王宮都市を作る場合には、クリソトリコンを全体的に小規模にし、建物の数などを減らしていけばよいだろう。そして、凱旋門やオペリスク、国営の工場など、必要でないと思われるものを取り除くのである。
(1)宮殿
王宮都市になくてはならないものは、なんといっても宮殿である。宮殿というのはただ単に王の暮らす場所ではない。内部あるいはその近くに、行政に必要となる要素が基本的にそろっていなければならない。
クリソトリコンでも、大宮殿地区に行政に必要となる次のような設備が整っている。
大宮殿地区の様子 |
(2)防御施設
防御施設の中心はなんといっても市壁である。
市壁は都市を侵入者から守る最大の防御施設であると同時に、都市を他の地域からきわ立たせる、大きな象徴的機能を持っている。巨大な王宮都市が大帝国の首都として栄え続けるためには、偉大な市壁が必要なのである。
兵士の存在も忘れるわけにはいかない。専門の兵士が存在するなら、都市のどこかに兵舎が必要になる。貴族が兵士を持っているのであれば、貴族の邸宅のどこかに兵士の宿泊施設がなくてはならないだろう。
クリソトリコンには多数の地下貯水場があるが、これも一種の防御施設である。外敵に包囲され籠城するときに、一番考えなければならないのは飲料水の確保なのだ。
(3)宗教施設・公共施設
首都にあっては、全体の景観もいかにも首都らしい偉大さと華やかさを持たなければならない。貴族や高級官僚の大邸宅、巨大な寺院、広々とした広場、幅広い大街路、高々とそびえるオベリスク、歓喜に満ちた凱旋門などが、そこには数多く存在しているのである。また、貴族の邸宅や寺院など、都市にとって重要なものほど宮殿の近くにある。
(4)市民生活の要素
首都は市民の活動という点でも他の都市をしのいでいる必要がある。市街地の街路は舗装され、石作りの建物が続いている。それは、立ち並ぶ手工業者の工房や小さな商店であり、国営の絹織物工場、パン工場なども点在している。とにかく、首都にはなんでもそろっているのだ。その時代のありとあるもので、大帝国の首都に存在しないものはない、といってしまってもよいかもしれない。広大な支配領域のあちこちから、いろいろな物品が商人たちの手で首都に運ばれてくる。大街路にも裏通りにも、至るところに市がたち、それらの商品があふれかえっている。大帝国の首都は同時に巨大な商工業都市でもあるのだ。
(5)娯楽施設
王宮都市には娯楽施設も多い。娯楽施設は市民の歓心を買う道具として役に立つのだ。クリソトリコンの場合、芝居小屋、大劇場、浴場、戦車牽引競馬場などが、市民の遊び場である。
(6)人口
人ロが多いのも、首都の特徴だ。そこには至るところから、人間が集まってくる。大帝国の首都ならば、集まってくる人種もさまざまなら言葉もさまざまだ。その中には異教徒も多いだろう。
▼チェックリスト ≪王宮都市の要素≫
宮殿 |
謁見室、廷臣居住区、近衛兵舎、兵器廠、近衛分遣隊、詰所、儀式用建築、法廷、牢獄 |
防御施設 |
市壁、兵舎、地下貯水場、井戸 |
宗教施設・公共施設 |
貴族や高級官僚の大邸宅、寺院、広場、大街路、オベリスク、凱旋門など |
市民生活の要素 |
舗装街路、石造りの建物、手工業者の工房、商店、国営の絹織物工場、パン工場 |
娯楽施設 |
芝居小屋、大劇場、浴場、戦車牽引競馬場 |
人口 |
人種、言葉、異教徒 |
■市壁のない王宮都市
王宮都市にとって、市壁は最大の防御施設である。
しかし、都市の立地条件や他国との関係が特別な場合や、他の防御施設がある場合には市壁を持っていない王宮都市があってもよい。砂漠の中の都市や、海上に浮かぶ島国などの場合がそうだ。この場合、主要な交通路に軍事基地を置いたり、強大な艦隊を持つことで、周辺地域の支配や防御を行うのである。
■反権力の牙城
王宮都市は、一国の中心都市であって、そこにはさまざまな人間が集まってくる。中には流れ者のような人間も多い。また、王宮都市は基本的に豊かだから、都市の中にはあまり働かない人間も多い。
こうした人々は、都市の中にスラム街のような区画を作ることがある。スラム街は、支配者の側から見れば、あまりありがたくないものだ。しかし、ファンタジーのストーリーを作る上で、スラム街の存在を大いに利用することはできるだろう。
たとえば、王宮都市のはずれに大きなスラム街があるとしよう。スラム街は、王宮都市の構造を破壊するようにできあがっているはずだ。そこでは街路も複雑で、迷路のように入り組んでいる。王の権力に追われる者が逃げ込むには、最高の場所だといえるだろう。
(本文中のイラストは深田雅人作) |
幻想都市計画論目次 |
第1章 都市のリアリティー
1 リアルとは?
2 現実の都市を見る
3 何から始めるか
第2章 目的別幻想都市計画論
■軍事都市
1 理想の軍事都市をもとめて
2 軍事都市の施設と機能
3 脅威の存在が都市に与える影響
4 立地場所を考える
5 防壁のいろいろ
■宗教都市
1 宗教都市とは何か?
2 中心から都市を作る
3 宗教都市の分析
4 宗教都市の中身
5 宗教都市らしさのために
■商業都市
1 なぜ商業都市なのか?
2 商業都市の立地条件と形態
3 商業都市の構造と要素
■行政都市
1 行政都市の特徴
2 王宮都市の形態
3 王宮都市の構造と要素
4 王宮のない中心都市
■鉱山都市
1 鉱山都市の特徴
2 鉱山都市の形態
3 鉱山都市の構造と要素
■大学都市
1 大学都市の特徴
2 大学都市の形態
3 大学都市の構造と要素
4 魔法学院都市
■植民都市
1 植民都市の特徴
2 植民都市の形態
3 植民都市の構造と要素
第3章 条件別幻想都市計画論
0 概要
1 「立地場所」から作る
2 「世界背景」から作る
3 「気候条件」から作る
4 「存在意義」から作る
5 「規模」から作る
6 「都市の中身」から作る |
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教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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