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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。


アルゴー探検隊の冒険
第二章 英雄イアソンと伝説の王国イオルコス

1.イオルコス王家の正統・英雄イアソン

 アルゴー探検隊の冒険のきっかけとなったのは王位継承問題だった。伝説当時、テッサリア地方のペガサイ湾に面してイオルコスという王国があった。
 この国はテッサリアの英雄クレテウスが創建したもので、クレテウス→アイソン→イアソンというのが王位継承の正統だった。
 ところが、アイソンの異父弟にあたるペリアスが策略を巡らして、アイソンに伝わるべき王位を横取りし、自らイオルコス国の王位についてしまった。アイソンは、ペリアスから逃れて国を出ると、まだ幼いイアソンをペリオン山に住むケンタウロスの賢者ケイロン(★10)に預けた。
 イアソンはケイロンの元で、ヘラクレスやアイネイアス、ペレウスらと一緒に育てられた。こうして大人になった英雄イアソンは、自分こそがイオルコス国の王になるべき人間だと自覚し、単身イオルコス国に乗り込むのである。

「わたしはこの国の正当な支配者であるアイソンの息子イアソン(★11)です。あなたが持っている王位を譲り受けるためにやって来ました」
 イオルコス国に着いたイアソンは、ペリアス王と面会すると、こういって.訪問の目的を告げた。
 この時イアソンは片方のサンダルを履いていなかった。
 彼は、ペリオン山からイオルコスへ来る途中、氾濫している河のたもとで女神ヘラ(★12)に出合い、片方のサンダルをなくしたのである。
 このことがペリアスを恐れさせた。彼は、以前に「片足だけにサンダルを履いている男に殺される」という神託を受けていたのだ。
 しかし、ペリアスは自らの驚きを隠してイアソンを歓待した。その間、ペリアスはイアソンを殺すための策略を練っていたのだ。

 頃合いを見はからってペリアスはいった。
「王に対して反逆を企てている臣下にはどんな罰を加えるべきだろうか?」
「金羊毛皮を取りにいかせる !」
 と、即座にイアソンは応えた。
 金羊毛皮を手に入れることは非常に困難で、死にに行くのと同じことだったからだ。
 しかし、この言葉がイアソンの運命を決定してしまうのである。ペリアスは皮肉な笑みを浮かべてこういった。
「おまえは今、おまえ自身を断罪したのだ! すぐに、金羊毛皮を取りに行ってもらおう!もしも生きて帰ってきたら、その時にはこの国の王位を譲ろうではないか」
 こうして、イアソンは金羊毛皮の獲得に乗り出さなければならなくなったのである。


【脚注】


★10 ケイロン
ケンタウロスは腰から上が人間、下半身は馬の姿をした半身半獣の一族である。その一族最高の賢者であるケイロンは、ギリシア神話に登場する多くの英雄たちの育ての親だった。

★11 イアソン
イアソンは容姿端麗の屈強の若者だった。イオルコス国に単身乗り込んだ時の彼は豹の皮を纏い、左右の手に1本ずつ槍を持っていた。これは昔からの勇者の方式で、1本は投槍、 1本は手槍だったといわれている。髪の毛は刈ったことがないので、両肩の後ろでひらひらとたなびき、輝いていたという。

★12 女神へラオリュンボスの女神の中で最大の女神。最高神ゼウスの正妻。


コラム:魔法の金羊毛皮


 金羊毛皮というのは、翼を持った魔法の牡羊の黄金の毛皮で、次のような伝説を秘めている。
 かつてヘルメス(★13)がミニュアス王アタマスの最初の妃ネペレーに黄金の牡羊を与えた。アタマス王とネベレーの間には、プリクソスとヘレの2人の子がいたが、アタマスの2番目の妃イノは、自分の子たちに王位を継がせようとして、さまざまな謀略をめぐらし、ついにありもしない飢程を口実に、プリクソスとへレの兄妹を神々の生贄として殺そうとした。この時2人を救ったのが、生みの母から与えられた黄金の牡羊だった。
 牡羊は2人を乗せると空高く舞い上がり、遠くの地まで2人を運んだという。
 ヘレは途中、めまいを起こし海に落ちて死んだ。この海が「ヘレスボントス(ヘレの海)」である。
 プリクソスは、幸いにも無事に黒海東岸カウカソス地方のコルキス人の国に着き、ここでコルキス王アイエテスに厚遇され、王の娘の一人カルキオペを妻にする。
 そこでプリクソスは、黄金の牡羊をゼウス神(★14)に捧げ、金羊毛皮をアイエテス王に贈った。アイエテス王は、それを戦の神アレス(★15)が祭ってあるアレスの森に納め、火を吐く竜によって守らせているというのである。


【脚注】

★13 ヘルメス
ゼウスの末子でオリュンボス12神の1人。生まれながらの詐術の天才で、商売の守護神として大切にされた。

★14 ゼウス
ギリシアの最高神。多くの女神や人間と交わって多くの子供をもうけた。オリンボス山頂の宮殿に住んでいた。

★15 戦いの神アレス
ゼウスと正妻ヘラの子でギリシアの軍神。しかし、ただ単に性格が凶暴なだけで、知略に満ちた戦争の神とはいえない。
アルゴー探検隊の冒険目次
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●第一章:世界最古の海洋冒険伝説「アルゴー探検隊」//|1.ギリシア神話のアルゴー伝説2.アルゴー探検隊はいつ遠征したか?
●第二章:英雄イアソンと伝説の王国イオルコス//|1.イオルコス王家の正統・英雄イアソン2.伝説の王国イオルコス(その1)3.伝説の王国イオルコス(その2)4.伝説の王国イオルコス(その3)
●第三章:アルゴー号の乗組員//|1.ギリシア中から集まった50人の英雄たち2.神と英雄3.犠牲の儀式と信託
●第四章:アルゴー号//|1.アルゴー号の建造2.ミノアの船3.古代船の建造方法4.古代船の艤装
●第五章:アルゴー探検隊の冒険航海//|1.アルゴー号の出帆2.女だけのレムノス島3.キュジコスの巨人4.ヘラクレスとポリュペモスの脱落5.拳闘家ポリュデウケスの活躍6.ピネウス王と怪鳥ハルピュイア7.ボスポラス海峡のシュンプレガデス8.黒海沿岸をどこまでも東へ9.アレス島とステュンパロス湖の鳥
●第六章:古代の大航海者たち//|1.古代の大航海の記録2.古代人の航海方法
●第七章:アイエテス王との闘争//|1.アイエテス王の館アイア2.王女メディアの恋と2つの試練3.金羊毛皮の獲得4.古代ギリシアの軍隊と武器
●第八章:アルゴー探検隊の帰還//|1.コルキス人からの逃走2.アルゴー号の最後の冒険
海賊学
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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