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イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。


アルゴー探検隊の冒険
第六章 古代の大航海者たち

2.古代人の航海方法

 古代の多くの航海者たちは、沿岸航法によって航海を行っていた。

 沿岸航法は、常に岸を視界に入れながら航海を行う方法で、船は岸からあまり離れることができず、夜はもちろん、天候のため視界が悪くなった場合にも航海を行うことはできなかった。
 沿岸というのが岸からどの程度の距離を指すのか、ということにも興味があるが、水面上1mの高さから見た時の水平線までの距離が4kmに満たないという事実を参考にすればどの程度のものか想像できるだろう。

 高い山や灯台のようなものがあれば、はるか沖合にまで出ることができるが、そうでもないかぎり岸の間近を進まなければならないのである。

 しかし、すべての航海者が沿岸航法を行っていたわけではなかった。ホメロスによれば、オデュッセウス(★38)は夜の間も星を頼りに航海した。この時オデュッセウスが見ていたのは、すばるの星、牛かい座の星、オリオン座に対する大熊座だったが、これは女神カリュプソがこれらの星々を常に左手に見ながら進むことを彼に命じていたからだと説明されている。
 このことはすでにミケーネ時代に、あるいは遅くともホメロスの時代には、たとえ夜間であっても星を頼りに航海が行われたであろうことを示している。

 古代の航海者たちは、季節風についてもある程度の知識を持っていた。へシオドスによれば航海に適した季節は第1に夏から秋にかけて、次いで春だった。
 第1の季節は特に風が安定しており、安全な航海が可能だった。冬はしばしば嵐が発生するため、航海に出るのは危険だった。さらに時代が下ると、地中海において夏の一時期に北から南に吹く季節風が航海に利用されるようになった。この風を利用するとタレタ島からエジプトまで約5日間で航海できたと考えられている。そのかわり、同じ季節にエジプトからタレタ島までまっすぐに航海することはできなかった。

 前100年といえば、すでにローマが強壮になりつつある時代だが、この時代にヒッパロスという舵手がインド洋の南西季節風を発見したといわれている。彼は南西季節風を利用してアラビア海を横断したことで有名である。

 いずれにしても、古代人の航海は沿岸航法でないかぎり大きな危険の伴うものだっただろうと考えられている。彼らは海の上では自分の正確な位置や船の正確なスピードを把握することはできなかったから、経験や勘に頼る以外になかったのである。


◆脚注◆

★38 オデュッセウス
ギリシア神話の英雄の1人でホメロスの『オデュッセイア』の主人公。トロイア戦争にもギリシア軍の武将として参加し、その優れた知謀によって木馬作戦を考案し、トロイア陥落に大きな貢献をした。『オデュッセイア』はトロイア戦争から帰国する際にオデュッセウスが経験した苦難に満ちた冒険物語。彼が故郷イタケーに帰国したのはトロイア出発後20年日のことだった。
アルゴー探検隊の冒険目次
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●第一章:世界最古の海洋冒険伝説「アルゴー探検隊」//|1.ギリシア神話のアルゴー伝説2.アルゴー探検隊はいつ遠征したか?
●第二章:英雄イアソンと伝説の王国イオルコス//|1.イオルコス王家の正統・英雄イアソン2.伝説の王国イオルコス(その1)3.伝説の王国イオルコス(その2)4.伝説の王国イオルコス(その3)
●第三章:アルゴー号の乗組員//|1.ギリシア中から集まった50人の英雄たち2.神と英雄3.犠牲の儀式と信託
●第四章:アルゴー号//|1.アルゴー号の建造2.ミノアの船3.古代船の建造方法4.古代船の艤装
●第五章:アルゴー探検隊の冒険航海//|1.アルゴー号の出帆2.女だけのレムノス島3.キュジコスの巨人4.ヘラクレスとポリュペモスの脱落5.拳闘家ポリュデウケスの活躍6.ピネウス王と怪鳥ハルピュイア7.ボスポラス海峡のシュンプレガデス8.黒海沿岸をどこまでも東へ9.アレス島とステュンパロス湖の鳥
●第六章:古代の大航海者たち//|1.古代の大航海の記録2.古代人の航海方法
●第七章:アイエテス王との闘争//|1.アイエテス王の館アイア2.王女メディアの恋と2つの試練3.金羊毛皮の獲得4.古代ギリシアの軍隊と武器
●第八章:アルゴー探検隊の帰還//|1.コルキス人からの逃走2.アルゴー号の最後の冒険
海賊学

 小説
イオの末裔
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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