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イオの末裔
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。


アルゴー探検隊の冒険
第六章 古代の大航海者たち

1.古代の大航海の記録

 アルゴー探検隊は、未知なる世界でさまざまな困難と戦いながら航海を続けた。しかし、未知の世界を目指したのは伝説の英雄たちだけではなかった。古代の人々は非常に古くから未知の海に乗り出し、世界を広げようとしていたのである。

①エジプト人のブントへの航海(前1500年頃)

 地中海周辺にある国に残されている比較的大きな航海の記録で最も古いものは、エジプトのサフラー王に関するものだと考えられている。前2500年頃、サフラー王が香を手に入れるため、ブント国(ソマリアの紅海岸)(★34)に船を送ったのである。しかし、この記録には詳しい事柄が書かれていなかった。前1500年頃にハトシェプスト女王がやはりブントに派遣した船隊については、テーベにある女王の神殿の壁に碑文と彫刻が残されている。そこには大型船5隻が描かれており、香、コクタン、象牙、肉桂樹、化粧品、猿、犬、豹の毛皮などが輸入されたことが記録されている。

②フェニキア人のアフリカ周航 (前600年頃)

 エジプト人よりもはるかに大きな航海が前600年頃にフェニキア人(★35)によって行われたことがヘロドトス(★36)によって伝えられている。
 エジプト王ネコ(★37)が紅海から東周りに出発して、ヘラクレスの柱(ジブラルタル)を通って帰ってくるという方法でリビア(アフリカ)を周航するようにフェニキア人に命じたのである。船乗りたちは 3年間かけて、命令を実行した。食料がなくなると陸に上がり、穀物の種をまいて、それが実るまで同じ場所にとどまるという悠長な航海だった。ヘロドトスは、アフリカ南端を西航中に太陽を右手に見たという航海者たちの証言を信じることができず、航海自体に疑いを抱いていると記している。

③カルタゴ人のアフリカ大西洋岸航海(前500年頃)

 カルタゴの王だったともいわれるハンノは、前500年頃にカルタゴからシエラレオネまでのアフリカ大西洋沿岸を探検航海したことを自らの航海記に記録している。ハンノの目的は植民市の建設で、60隻の船に植民男女 3,000人を乗せてカルタゴを出発した。それぞれの船には50の櫂がついていた。
 ハンノはジブラルタルを越えてから2日間で最初の都市セレに着いた。それから何日かを経て、ある湾の奥に小さな島を発見し、そこにケルネという植民地を建設した。
 これでハンノの当初の目的は果たされたが、彼はさらに南へと探検の航海を続けた。
 ハンノはセネガル河を逆上り、獣の皮を着た住民に出合った。それからワニとカバがいっぱいの大きな川に入り、一度ケルネに戻った。再び出発したハンノはベルデ岬、ガンビア川を越え、ビジャゴス諸島に着いた。ここではちょうど祭りが行われており、 ハンノはパイプ、シンバル、タイコによるアフリカ住民の音楽に出合った。探検隊は恐れをなし、その土地から逃げ出した。
 4日後の夜、ハンノはギニア沿岸でワラや切り株を畑で燃やす炎を目撃し、「炎に覆われた土地」だと航海記に記入した。
 シエラレオネでハンノは野蛮人に出会った。野蛮人は体中が毛に覆われており、大部分は女だったが、通訳は彼女たちのことを「ゴリラ」と呼んだ。「我々は追跡し、3人の女を捕らえたが、彼女たちは歯と腕で攻撃を加え、我々の仲間になることを同意しなかった」という。
 ここを最後にハンノの探検航海は終わった。食料がなくなったからだった。


◆脚注◆

★34 ブント地方
現在のソマリア地方。

★35 フェニキア人
シリア中南部の海岸沿いの地帯(フェニキア)に住み、海上貿易業者として前1200年頃から東部地中海で活躍し始めた人々。現在のアルファベットの元となったフェニキア・アルファベットの考案者として知られている。ギリシアの暗黒時代には東部地中海の制海権を握っていた。

★36 ヘロドトス
前484年頃~前425年頃のギリシアの歴史家。現存する最古の歴・史書『歴史』の著者。彼自身、エジプトからバビロン、黒海へ至る大旅行を行った。

★37 エジプト王ネコ
エジプト第26王朝の王(在位前 609年-前594年)。フェニキア人にアフリカ周航を命じた彼は、ナイル河と紅海を結ぶ運河開堀を試みるなど、積極的に貿易政策を推進した。
アルゴー探検隊の冒険目次
海の冒険者たちトップページへ
●第一章:世界最古の海洋冒険伝説「アルゴー探検隊」//|1.ギリシア神話のアルゴー伝説2.アルゴー探検隊はいつ遠征したか?
●第二章:英雄イアソンと伝説の王国イオルコス//|1.イオルコス王家の正統・英雄イアソン2.伝説の王国イオルコス(その1)3.伝説の王国イオルコス(その2)4.伝説の王国イオルコス(その3)
●第三章:アルゴー号の乗組員//|1.ギリシア中から集まった50人の英雄たち2.神と英雄3.犠牲の儀式と信託
●第四章:アルゴー号//|1.アルゴー号の建造2.ミノアの船3.古代船の建造方法4.古代船の艤装
●第五章:アルゴー探検隊の冒険航海//|1.アルゴー号の出帆2.女だけのレムノス島3.キュジコスの巨人4.ヘラクレスとポリュペモスの脱落5.拳闘家ポリュデウケスの活躍6.ピネウス王と怪鳥ハルピュイア7.ボスポラス海峡のシュンプレガデス8.黒海沿岸をどこまでも東へ9.アレス島とステュンパロス湖の鳥
●第六章:古代の大航海者たち//|1.古代の大航海の記録2.古代人の航海方法
●第七章:アイエテス王との闘争//|1.アイエテス王の館アイア2.王女メディアの恋と2つの試練3.金羊毛皮の獲得4.古代ギリシアの軍隊と武器
●第八章:アルゴー探検隊の帰還//|1.コルキス人からの逃走2.アルゴー号の最後の冒険
海賊学

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 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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