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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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イオの末裔
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アルゴー探検隊の冒険
第四章 アルゴー号

2.ミノアの船

 古代ギリシア人、とりわけミケーネ時代から古拙時代までのギリシア人の船が、技術的にどのような変遷を経て進歩したのか? これを年代記的に記述するのは不可能に近い。
 おおよそはっきりしているのはそもそもの始めには、ギリシア人といえども大して立派な航海者だったわけではなく、自分たちだけの力ではエーゲ海や黒海を横断するような船を造り出すことはできなかっただろうということである。

 船を造ること、さらには偉大な航海を行うということに関して、ギリシア人に大きな影響を与えたのは、第一にミノア(クレタ)人(★28)であり、その次にはフェニキア人だった。ここではアルゴー号により近いと思われるミノア人の船を参考にしたい。

「ミノアはわれわれの知るかぎり立派な艦隊を有した最初の国だった」
 と、古典古代の歴史家ツキジデス(★29)は書いている。この言葉の通り、クレタ人たちは実際に立派な艦隊を持っていた。

 原ギリシア人(ギリシア人の祖先)がギリシア半島に移動してきた前3000年頃は、ミノア文明の最盛期であり、ミノア人たちはクレタ島を中心にエーゲ海に君臨していた。原ギリシア人は、ミノア文明の影響を受けないわけにはいかなかった。ミノア人の船がどのようなものであり、彼らがどの程度の艦隊を有していたかは、はっきりとはわかっていない。しかし、前1500年頃のものとされるテラ島の壁画を見れば、彼らの所有していたものが艦隊と呼べるものであったことや、おおよその船の形を想像することはできる。

 テラ島の壁画には大きな船と小さな船の2種類が多数描かれている。大きな方は、美しいヘサキと四角い帆を持った立派な船で、多数の漕ぎ手、おそらくは20~30人によって推進している。進行方向後方に櫓を持った男が立ち、舵を取っている。漕ぎ手以外にも多数の人間が乗船している。

●ミノアの船のイメージ

 小さな方の船は、造りも飾りも大きな船ほど立派ではなく、帆も持ってはいない。数人の漕ぎ手の力だけで進んでいるのがわかる。
 どちらの船も衝角を持っているとは断言できない。大きな方の船が仮に船尾方向に後進しているというのであれば、船首に衝角らしきものがあるといえないこともないのだが。また、描かれている船は軍船といって差しつかえないだろうが、だからといってミノア人たちが軍船とは別に商船を持っていたということはできない。同じ種類の船が軍船にも商船にも使われただろうというのが大方の見方である。

 また、船の形はオリジナルなものだったかもしれないが、四角い帆に関しては、おそらくはエジプト船の影響を受けていただろうと考えられている。ミノア人たちは、エーゲ海周辺だけでなく近東やエジプトとも交易を行っていたのである。

 ミケーネ時代のギリシア人の船は、おそらくこのようなミノア人たちの船を正当に受け継いだものだろうと考えられている。もちろん、ミケーネ時代の船についてもクレタ時代の船と同様に確実な資料が存在しているわけではないが、発掘された粘土板や壷の絵や叙事詩などから、ある程度のことが想像されている。ピュロスの城砦から発掘された粘土板には、軍船の「漕ぎ手」に関する記述が残されており、1部隊に600~700人の漕ぎ手が存在していたらしいことや、1隻の船が15対の擢(30擢)を備えていたらしいことがわかっている。したがってピュロスの場合、1部隊に20隻以上の船があったことになる。

●二段櫂船のイメージ

 ホメロスは前9世紀頃の詩人であるが、その叙事詩がどの程度正確にミケーネ時代のことを伝えているかには留保すべき点が多い。
 しかし、彼の叙事詩には、しばしば船が描かれており、ミケーネ時代を知るための数少ない手掛かりとなっている.それによれば、ホメロスが考えたミケーネ時代の船は、だいたいが約50人乗りだった。
 オデュセウスが漂流した時の船には52人が乗り組んでいた。『イリアス』には船に関する形容が多いが、「黒塗の船」「ヘサキの反り返った船」といった形容詞から、当時の船が塗装されており、立派なヘサキを備えていただろうと想像できる。アルゴー探検隊の船も50擢船である。
 また、イオルコスから出土したミケーネ時代の壷絵には30擢船が描かれている。最後に、この時代の船の最大の特徴といえるのは、戦士自身が船の漕ぎ手を兼ねていたことである。戦士と漕ぎ手の奴隷とが甲板によって隔てられるのは、古拙時代後半に2段擢船が登場してからである。

 古代ギリシアにおいては、ミケーネ時代、暗黒時代、古拙時代を通じて、以上に述べたような1段の船が主流だったと考えられている。古拙時代の前7世紀頃、50権を持ち非常に細長い「ペンテコントレス」という船が登場するが、これはその長さゆえに非常にもろく、遠洋航海に耐えるものではなかった。そこで、以降のギリシアの船は漕ぎ手を幾層かに積み重ね、船を安定させる方向へと向かった。こうして登場するのが有名な2段擢船、3段擢船であり、古典時代には3段擢船がギリシアの主力船となるのである。


◆脚注◆

★28 ミノア(クレク)人
前2600年~1400年頃にクレタ島を中心にして、クレタ文明を築いた人々。ミノア人はクレタ島を本拠地とし、大艦隊を有して、東地中海の制海権を握っていた。

★29 ツキジデス
前460~前400年頃。アテネの歴史家。ペロポネソス戦争に取材して政治・軍事史8巻を著す(第8巻のみ未完)。自らもその戦争に参加したが、任務に失敗し20年間の亡命生活を送った。
アルゴー探検隊の冒険目次
海の冒険者たちトップページへ
●第一章:世界最古の海洋冒険伝説「アルゴー探検隊」//|1.ギリシア神話のアルゴー伝説2.アルゴー探検隊はいつ遠征したか?
●第二章:英雄イアソンと伝説の王国イオルコス//|1.イオルコス王家の正統・英雄イアソン2.伝説の王国イオルコス(その1)3.伝説の王国イオルコス(その2)4.伝説の王国イオルコス(その3)
●第三章:アルゴー号の乗組員//|1.ギリシア中から集まった50人の英雄たち2.神と英雄3.犠牲の儀式と信託
●第四章:アルゴー号//|1.アルゴー号の建造2.ミノアの船3.古代船の建造方法4.古代船の艤装
●第五章:アルゴー探検隊の冒険航海//|1.アルゴー号の出帆2.女だけのレムノス島3.キュジコスの巨人4.ヘラクレスとポリュペモスの脱落5.拳闘家ポリュデウケスの活躍6.ピネウス王と怪鳥ハルピュイア7.ボスポラス海峡のシュンプレガデス8.黒海沿岸をどこまでも東へ9.アレス島とステュンパロス湖の鳥
●第六章:古代の大航海者たち//|1.古代の大航海の記録2.古代人の航海方法
●第七章:アイエテス王との闘争//|1.アイエテス王の館アイア2.王女メディアの恋と2つの試練3.金羊毛皮の獲得4.古代ギリシアの軍隊と武器
●第八章:アルゴー探検隊の帰還//|1.コルキス人からの逃走2.アルゴー号の最後の冒険
海賊学

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