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イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。


アルゴー探検隊の冒険
第四章 アルゴー号

3.古代船の建造方法

 ある伝説では50人の英雄たち全員が協力し、1日でアルゴー号を造ったことになっている。その真意はともかく、建造方法についても見てみよう。

 古代の船は、ミノア人の時代から十分に高度な木建造であって、専門の船大工を必要としていた。クレタ時代の存在は確証できないが、ミケーネ時代のピュロス粘土板には、税金の一部を免除される人々のリストの中に「船大工」を意味する単語が登場している。以降、専門的な船大工は確実に存在しており、遠洋航海の際には必ず船に乗り組んでいた。
 時代は下るが、ローマ時代には大きな港ごとに船大工の団体が存在していた。エジプトでも作業中の船大工を描いたレリーフが発見されている。
 これら船大工が使用していた道具は、古代を通じて基本的に変わっていない。彼らの道具の代表的なものは手斧、キリ、木槌、金槌、のこぎりだった。

 ホメロスによれば、オデュセウスはカリュプソの島(★30)を出るに際して、青銅製の両刃の剣、手斧、キリ、木の留め釘などで船を造った。当初青銅製であったものは後の時代には鉄製になっている。
 ギリシアの船大工がどのようにして船を造ったか、ミノアやミケーネについて詳しいことはわからないにしても、ギリシア・ローマ時代の記録からおおよそのところは想像されている。

①材料
 まず材料だが、ギリシアの場合、船は松材で造られた。船首材のように頑丈さを必要とする部分は樫材が使われた。
 フェニキアやエジプトはレバノン杉を使った。
 ギリシアというと岩山ばかりで森林など存在していないようだが、古代には山は緑で覆われていた。森林が失われたのは畑を作るためにそれを焼き払い、また、放牧していた羊が若芽をことごとく食い尽くしてしまったためだった。悪い方向に向かい始めたのはプラトンの時代あたりからで、古代を通じて森林は割合に豊富だった。

②骨組みを造る
 材料がそろったら骨組みを造る。骨組みには竜骨、船首材、船尾材、肋材があった。
 最初に竜骨を据えつけ、その上に切り込みを入れた桧材を下から順に組み上げた。これらは頑丈に接合されなければならないので徹底的に釘づけされた。紐で締められることもあった。竜骨には本竜骨と補助竜骨があり、肋材をはさみこむように2重になっていた。反り返った船首や船尾も数本の木材の組み合わせだった。

③船体の装着
 骨組みの周りに船体が接着された。通常、船体の板は平張り被覆で板の緑に作られたホゾ(凸)とホゾ穴(凹)によって接合した。ホゾ穴の部分に釘を打って凹凸を固定した。下から順番に板の一部分を重ねていく、いわゆる重ね張り被覆の船は極めて少なかった。船体と骨組みは頑丈に釘づけされた。さらに船体の周りには形が崩れないように帯び板が張られた。こうして全体の形ができた後で、漕ぎ手の腰掛けとなる梁受材が取りつけられた。

④継ぎ目をふさぐ
 しかし、これだけでは船は完成しなかった。これだけでは海水が染み込んできて船が沈むのは目に見えていた。最後に船体の継ぎ目をふさぐ作業が行われた。填隙材にはリンネルの屑が使われた。さらに吃水部にタールや桧脂が塗られ、必要なら船全体が装飾された。2段擢船や3段擢船の時代になると、鋼や鉄で吃水部が補強されることもあった。1960年代に発掘されたキレニア船は前4世紀頃の商船だったが吃水部が鉛の薄板で守られていた。


◆脚注◆

★30 カリュプソの島
カリュプソは『オデュッセイア』に登場するニンフでカリュプソの島に召使いのニンフたちとともに住んでいた。カリュプソの島に流れついたオデュッセウスを夫にしようと望み、彼を8年間も島内に閉じこめた。
アルゴー探検隊の冒険目次
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●第一章:世界最古の海洋冒険伝説「アルゴー探検隊」//|1.ギリシア神話のアルゴー伝説2.アルゴー探検隊はいつ遠征したか?
●第二章:英雄イアソンと伝説の王国イオルコス//|1.イオルコス王家の正統・英雄イアソン2.伝説の王国イオルコス(その1)3.伝説の王国イオルコス(その2)4.伝説の王国イオルコス(その3)
●第三章:アルゴー号の乗組員//|1.ギリシア中から集まった50人の英雄たち2.神と英雄3.犠牲の儀式と信託
●第四章:アルゴー号//|1.アルゴー号の建造2.ミノアの船3.古代船の建造方法4.古代船の艤装
●第五章:アルゴー探検隊の冒険航海//|1.アルゴー号の出帆2.女だけのレムノス島3.キュジコスの巨人4.ヘラクレスとポリュペモスの脱落5.拳闘家ポリュデウケスの活躍6.ピネウス王と怪鳥ハルピュイア7.ボスポラス海峡のシュンプレガデス8.黒海沿岸をどこまでも東へ9.アレス島とステュンパロス湖の鳥
●第六章:古代の大航海者たち//|1.古代の大航海の記録2.古代人の航海方法
●第七章:アイエテス王との闘争//|1.アイエテス王の館アイア2.王女メディアの恋と2つの試練3.金羊毛皮の獲得4.古代ギリシアの軍隊と武器
●第八章:アルゴー探検隊の帰還//|1.コルキス人からの逃走2.アルゴー号の最後の冒険
海賊学

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イオの末裔
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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。
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